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ヤギさん郵便No.86「53秒」


NHKのど自慢がやってくる、この記事を見たとき胸が踊った。
学生の頃にカラオケボックスで友達と歌ったことを思い出した。
「あと10分でお時間です」とボックスの内線でお知らせがくると、盛り上がる曲を入れてみんなで歌った。

友達に連絡をした。
あの頃歌ったあの曲で、のど自慢出てみない。
すぐに返事は返ってきた。


のど自慢は、ネットで調べると応募は3000通以上あり予選会に進めるのは200組。狭き門である。
しかし、予選会参加の通知が届いたのである。

予選会の会場は大ホール。
客席には予選会参加者と一般のお客さんも入っている。
思い切り元気に楽しく歌おう!
これだけを決めてステージで熱唱。
ステージに出ると緊張はしなかった。
ただ、めちゃくちゃ楽しかった。
あの頃のように。あの頃以上に楽しかった。

歌った時間53秒。
たった53秒の幸せな時間だった。


のど自慢に出ようと誘ったのは私。
だけど、誘った私が引いてしまうくらいのスピードで出るって返事が返ってきた。
歌い終わったあとで、友達へ聞いてみた。
「のど自慢に出ようと誘われたら迷ったり悩むと思うけど、出るって即答やったのはなんで」

「のど自慢に出ようと誘うまでに、ずいぶん考えて連絡してくれたと思うから。悩んだ上で誘ってくれたのだから私から断ることはない」

こんな返事をする友達をカッコいいと心から思った。

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