雑記 316 清里萌木の村の不思議な人形達
夜が明けた。
風が強く吹いて、木立が揺れる。
昨夜は雲が厚く星を沢山見ることが出来なかったが、明け方外に出て幾つか撮影に成功した人がいた。
あまりの寒さに、部屋の中のベッドでぬくぬくとしていると、明け方外に出る決意がつかなかった。
氷柱が屋根から伸びて、あと少しで地面につく。
降って間もない雪が30センチ以上積もっているので、歩きにくく、スノーシューを履いていても、それごと雪の中にズブズブ何度もめり込み、恐らく後に筋肉痛になるだろう。
東京に帰る時は、たいてい、途中で降りて、清里に寄る。
萌木の村の広場の先の方、メリーゴーランドの先に、メイフェアという店がある。
いつから、この人形達がいたのか記憶にないが、不思議な一角が、ショーケースの中にある。
どの人形も何か物言いたげで、客をウインドウの中から見ている。
この人形は、とても嬉しいことがあったのだろう。
喜びが今にも胸を突き抜けて口から飛び出してきそうだ。
また、こちらは物思いに沈んでいる。
夜店が閉まって、店主が明かりを消し、非常灯の緑のランプだけになった店内で、
彼等は、このショーケースから外の世界に連れ出してくれる人が、明日こそは現れるに違いない、明日こそは現れてほしい、と気持ちをたかぶらせているように思えた。
もちろん、あまりに高いので、私は、買えない。
怖いもの見たさ、と言うが、全く、このちょっと不気味なそれぞれの表情は、繰り返しメイフェアまで足を伸ばし、ショーケースの中を覗き込みたくなる。
今日もまた行ってしまった。
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