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雑記 294 梢を渡る冬の風

朝から風が強く、僅かな隙間を吹き通る風が
「ヒュー ヒュー」
と音を立てていた。
時に風の音は高くなり、また、弱まり、時に口笛を吹くように、時に悲しげな旋律に聞こえる。

外に出ると、空の高いところの梢を吹き渡る風が、
遠い彼方からゴウゴウと音を立てていた。
木立の高いところで枝枝が風に揺らいで擦れ、
遠くから近くに、近くから遠くへ、と
壮大な音の連鎖が空に響き渡って、
強くなり弱くなり、呼吸しているようで、
いつまでも耳を澄まして聴いていられる。

気温は陽が出て、2℃ほどに上がり、
空気は新鮮で、何度も深呼吸する。

日常の、人と人との、煩わしいと言えなくもない関わりから解き放たれて、全くの別天地に身を置く。
生きるためには、あれこれやらねばならないことが多く、立ち止まることもなく走り続けている自分にとって、この何もない、自然の中に身を置くことは、何よりの癒し。
「原点に立ちもどる」ために、私は時々、このように都会を脱出する。


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