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コシタ、2歳になったってよ。親2歳になってオオシタも考える。

我が愛する娘の名前はコシタ。
もちろん本名ではない。
大下の子なのでコシタだ。
生まれる前からハンドルネームがある現代っ子だ。

ダウン症という超個性的な染色体を持って生まれた彼女は成長がゆっくり。
大体一般的なお子さん(いわゆる健常児)の1/2の速さで成長する。

時々「かわいい時期が長くていいですね」なんて慰めのような言葉を聞くが、とんでもない。
かわいい時期が永遠なのは親の贔屓目として置いておこう。

成長の早さがゆっくりということは、途中で成長が止まるということだ。
身体・知能などが一体どこまで成長できるのか。

保育園・学校・社会といった「最大多数個人の最大幸福」のために設計された場とのズレ、それがダウン症の子を産んだ親の最初に感じる絶望ではないだろうか。

ましてはコシタは3月後半という早生まれ中の早生まれ。
ましてや完治していない心疾患もあり、ダウン症の同級生の中でも一番小さい。
保育園にいる0歳児の子よりも小さく、現在やっと8.8kg。

まだまだ保育園でできない遊び、まだ噛む・飲み込むが難しい食べ物も多いし、ベビーシッターなど彼女の成長と家族を支えるサービスなども断られることが多い。
社会に対して広がっていくズレを毎日実感する。


・・・なんて悲観的な書き出しで始まったが、今ここにある現実、毎日はまったくもって悲観という言葉とかけ離れている。

すごいんだ。
コシタがパワフルすぎるのだ。

ここまで書いたような親による未来への体や成長、社会への不安、ハンディキャップを吹き飛ばすレベルで元気でマイペースで力強いのだ。


具体的には、朝寝ている母の顔面にジャンピングプレスをかけ、母の鼻から出る鼻血に「おぉー」と拍手を送る。
ガラガラをスプーンに、コップをお皿に見立てて、親に「あーん」を強要してくる。ガラガラは親の口のサイズギリギリの大きさなのだが、力づくで突っ込んでくる。
ウサギの人形を力一杯抱きしめたあと、「ヤー!」と言いながら2mほど後方に振りかぶって飛ばす。
実家の親とFacetimeをすれば、画面がびしょびしょになる程キスの嵐を送る。

彼女はそんな毎日を過ごしている。

いや、まずさ、顔面は本当にやめておくれ。


そんなコシタのことを、Facebookではよく動画付きで、ダウン症に関するお話と一緒にアップする。
多くの友人にとってはコシタの成長記録はまだしも、ダウン症に関するお話は「知らんがな」だと思う。
なんなら実は不妊治療をしている最中で、人の子供の動画なんて見たくもないという人もいるのも知っている。(本当に申し訳ない。気にせずミュートしておくれ)

でも書きたい。

なぜか。

ダウン症とは何か、を知って欲しいからである。


遺伝子の設計図の違いなので、治るとかそういう性質なものではない。
合併症がいろいろある。
成長の過程で健常児と速度がずれる、そのことで社会の動きからこぼれ落ちることがよくある。また、それは自治体によって大きく差が出る。

これを私はコシタを産んで、『当事者の親』という名の『当事者』になるまで知らなかった。

だから不安だった。

不安の原因は『知らなかった』。

だから『知る』ことで、多くの不安が消せるのではないかと考えている。


コシタ、2歳。
くしくも世界ダウン症の日である3/21の2日前に生まれたベイビー。

https://jdss.or.jp/wdsd2021/

そしてオオシタ家としては、6月に下に弟が生まれる予定だ。

この2人と、親として、家族として、大人としてこれからどんなことをしていきたいかを日々考える。

この『知らなかった』不安を、私の感じた感情を、経験を。
まだ見ぬ誰かの、またはもう近くにいる人の何かのお役に立てることができそうな気がしている。
そんなことを考える親2歳。

親としての野望も、コシタたち子供との日々も天秤にかけず、両方満たして楽しんで生きる。

そのためにできることがたくさんあるな。
巻き込み、巻き込まれていきたいなと感じている。


近しい友人たち、力をお貸しくだされ。
遠い友人たち、力をお貸しくだされ。


あ。コシタが昼寝から目覚めた。


あ。障子が破れてる音がする。


慌てて締めるが、そんな親2歳の所信表明。

この子たちが生きやすい社会はきっと、誰だって生きやすい社会。
結局交わるのさ。

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願わくば障子の穴以上に、世界が広がりますように。
障子の穴が増えませんように。

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