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雑談でDXできるの?ー職場における「雑談論争」に終止符か!?

コロナ禍の在宅ワークで顕在化した「雑談問題」について、各職場で様々な取り組みが行われていると思います。前回の記事では、Teamsのチャットを使った取り組みをご紹介しました。

本記事では、社内横断Yammerコミュニティ「やわデザ」で始まった「やわらか雑談企画部」という横断的な活動についてご紹介します。

「雑談」といっても奥が深い

2021年3月、「雑談」について学び、「雑談」をきっかけに楽しくアクションを起こす活動として「やわらか雑談企画部」を立ち上げ、「やわデザ」メンバーに参加を呼び掛けたところ、なんと86名の社員が入部を希望。多くの組織で「雑談」が課題になっていることが、浮き彫りになりました。

「やわらか雑談企画部」のメンバーの多くが「職場における雑談」の重要性には賛同しつつも、「雑談」に関するプロではありません。まずは私たちがその道のプロ(テーマに関する書籍)から学ぶところから活動をスタート。

プロから学ぶ場として3回のオンライン読書会(約30名が参加)を開催し、お互いの学びをシェアすることで、「雑談」や「コミュニケーション」について学びを深めました。例えば、以下のような気づきや学びがありました。

  • 雑談とは、親しい人との会話、仕事の会話に続く、「第三の会話」である

  • 雑談で一番大切なのは「相手に興味をもつこと」

  • 雑談が一流の人は、「場の空気」を作れる

  • 話題自体だけでなく語彙力も必要

  • 言葉を変換することによって相手の心に伝わりやすくなる

  • リモートワークでは察してもらうことが難しい。自分の状況や気持ちは雑談レベルで発信した方が、よいチームづくりにつながる

Wordで14ページに及ぶ多様な意見が集まる

読書会の後に行ったのは、「雑談にまつわる課題」についてのディスカッションです。今回、新たな試みとして、同期型×非同期型のハイブリッドで行いました。

読書会の後にディスカッションを行った

テレワークの特性をうまく活かしたユニークな手法により、雑談にまつわる「現状の課題」や「ありたい姿」などについて、なんとWordで14ページにも及ぶ多様な意見やアイデアを集めることができました(社内には全文を公開中)。

失われた「職場における雑談」とは?

リモートワークによって失われたものとは?

「オフィス中心の働き方で日々行われていた自然なおしゃべりのことを、私たちは『雑談』という名称で呼んでいたでしょうか?」

「雑談」について考えるセッションの中で、そんな問いかけがありました。

言われてみれば確かにそうです。同僚や上司に「雑談をしよう」とあえて話しかけていたケースはきっと少なくて、多くは以下のように、別の目的がある中で自然に行われていた会話のことを、「職場から失われた雑談」と私たちは呼んでいるのではないでしょうか。

  • オフィスの廊下で、同僚とすれ違った時にかわす挨拶と何気ない会話。

  • ふと思いついた考えやアイデアなどを、隣の席の同僚と共有する行為。

  • ランチタイムにお店で食事をしながら、同僚との間で交わしていた相談や情報交換。

  • 出勤途中で一緒になった同僚や上司との歩きながらのやりとり。

  • 会議室で打合せの前後に交わされていたプロジェクトメンバーとの談笑。

  • 出張の行き帰りに電車やタクシーの中で行われていたおしゃべり。

つまり、リモートワークではこのような「目的や結論のない会話」が失われてしまいました。なぜなら、誰かと一緒にいた(物理的に場を共有していた)からこそ生じた「共有時間」を埋めるためにこれらの会話が自然に生まれていたからです。

しかし、この何気なく行われていた「目的や結論のない会話」に、実は大きな価値が隠されていたのではないか、というのが「雑談は必要」と主張する意見の背景にあります。

目的や結論のない会話の価値

上述した「目的や結論のない会話」の価値や効果とは一体何でしょうか?

それは、相手と良好な人間関係を築くために不可欠な行為にほかなりません。私たちは「目的や結論のない会話」を通じて、無意識に相手と信頼関係を築き、その関係を維持向上してきたのです。それらの行為は、間接的にチームや組織のパフォーマンスに影響を与えているということを誰もが想像できるのではないでしょうか。

もし良好な人間関係が築かれていなければ、仕事の相談もしづらくなります。その結果、仕事の悩みを一人で抱えてしまい、大きなミスにつながる可能性もあります。

昨年、多くの企業が大きな問題もなくテレワークに移行できたのは、これまで長い間(意識せずに)貯めてきた「信頼の蓄積」がベースにあったからだと考えるべきです。

たかが雑談、されど雑談

雑談は「必要」か「不要」かといった意見の対立において、重要なのは「良好な人間関係」の先に生まれるたくさんのメリットや効果(下図)の共有だと思います。

「良好な人間関係」の先に生まれるたくさんのメリットや効果

リモートワークで失われてしまった「目的や結論のない会話」を職場に取り戻すことは、一緒に働く仲間に対する思いやりとも言えます。ただタスクをこなすだけ、事務的なやり取りが行われているだけの組織に明るい未来があるとは思えません。

つまり、(在宅ワークによって)誰かと物理的に場を共有することで生まれていた「共有時間」がなくなった今、以前は当たり前に行われていた「目的や結論のない会話」を、何らかのカタチで「オンライン」上に再構築する必要があるのではないでしょうか。

これは在宅ワークに移行した多くの職場にとって新たなチャレンジです。変化が当たり前になりつつある時代だからこそ、何も手を打たないままでは組織にとって大きなリスクになりかねません。まさに、「たかが雑談、されど雑談」です。

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