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消防設備点検の電子申請について考えたこと

川崎、横浜をメインに活動する消防設備会社、長沢防災の吉川です。
昨日たまたま父(消防設備士)と消防設備点検の電子申請について話をしたのですが、調べていて感じたことがあったのでそれをメモ書きしたいと思います。

※先に言い訳をさせていただくと、現段階で本当にメモ書き段階なので、考え方に間違いがありましたら、ぜひご教示いただけますと幸いです。

川崎市では電子申請ができる!
消防設備点検をしたら、1年または3年に1度点検結果報告書を提出しなければなりません。この報告書は書式はデータで存在するものの、通常は点検した防火対象物がある地域の消防署へ紙媒体で提出する必要があります。
しかし、一部では電子申請なるものができ、なんと長沢防災がメインで活動する川崎市でも、消防設備点検の電子申請を受け付けているというのです!

何が良いのか電子申請
この電子申請ができるとどんなメリットがあるかというと、たぶんこんな感じだと思います。

・消防署への紙媒体の提出手間がなくなり、交通費、移動時間、または郵送費といった経費が不要になる。

・上記手間、経費が無くなることで点検費用を抑え建物所有者、発注者の皆様の負担を軽減できる。
(微々たるものかもしれませんが、ちりつもかと…)

一見すると利用することで点検者も発注者も得をするWin-Winな仕組みのように思えますね。
ですが、ちょっと調べていくうちに少し様相が変わってきます。

ここが変だよ電子申請
①導入のハードルが高い。
確認してみると、まず個人にしろ法人にしろ報告者はICカードが必要になります。
またそのICカードを読み取るリーダー(端末)も必要になります。用意するのはもちろん報告者です。

②『電子』と名が付くだけでハードルアップ
これは父の意見なのですが「電子申請のやり方を覚えるくらいなら、今まで通りに消防署へ報告書を出しに行った方が早い」と真っ向から否定が入ります。
紙ベースで生きてきた方ほど、この傾向は強くなるのではないでしょうか?

電子申請ができるのは点検結果に不備がない場合に限る
こっちの方がもっと話が厄介です。
点検は消防設備に問題がないかを確認するために行いますが、川崎市のホームページによると、

電子申請ができる消防用設備等点検報告は、点検が適正に実施され、防火対象物に消防法令上の違反がない場合に限ります。

と書いてあるのです。

点検していてオールグリーン、指摘なしの建物(防火対象物)なんて、新築や築浅ぐらいなもので、何かしら不具合があるものです。
(何なら新築でさえ、どうして消防検査通ったんだろう?と疑問に思うような状況に出くわします。)
この『消防法令上の違反』というのは不備、不具合など指摘に挙げられるものを指すのだと思われます。
だとすると、点検前の時点では電子申請が使えるのか、紙で報告書を提出しなければいけないのか、決めることができなくなります。

報告の形式を決められないとどうなる?
電子申請できるのか、紙で報告しなければいけないのかを決められないということは、点検見積の時点で電子申請による経費削減を見込みにくくなる、という事に繋がります。
一般的に、『提出した見積より安くなります』という話は通りやすいですが、『当初の見込み通りにいかなかったため増額させてください』という話は非常に承諾を得にくいです。
折角Win-Winになりそうな話だった電子申請ですが、受け付けてもらえる報告書が『違反なしのみ』となるだけで一気に狭き門に早変わりしてしまうのです。

長沢防災ではどう動く?
現在のところ長沢防災では電子申請ではなく紙の報告書のみで対応しようと思います。
これは代表となった私を知っていただくためのロビー活動的な側面もありますが、やはり準備段階でのハードルの高さ、使い勝手の悪さが大きく影響します。
ただ、消防署に直接話を伺った訳ではないので、まずは消防署へ現状を聞きつつ、可能であれば一度導入してみるところまで手を進めたいなと思っています。
その辺り、進捗はまたご報告します。

【合同会社長沢防災ホームページ】
https://nagasawabousai.com

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