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THE FIRST SLAM DUNK

「映画のようなアニメ作品」は年々増えてきているとかんじるが、そこへじっさいに映画らしさを知覚できるものはそこまで多くない。たとえば先ごろの新海誠監督『すずめの戸締まり』などはどこまでもアニメの領分にとどまる作品だったとおもう。ロードムービー調の道中場面や写実的な風景の採択にはたしかに映画と類似する側面があるが、最終的には自己閉塞に終始してしまう点はあまり映画らしくないとかんじる(すくなくともサダイジンの憑依ではぐらかされた、あの叔母への仕打ちはあんまりだろう――身近な他者にも

    • 細田守『竜とそばかすの姫』(の、寓喩と演出についてのメモ)

      とかく細田守は誤解されやすい作家だとおもう。前作『未来のミライ』など顕著な例だったが、映像的な技巧によって観客の解読を惹起する側面がこと細田作品については「なぜかいつも」おしなべて閑却され、おおむねリアリティや蓋然性の側からのみ評価されがちなのだ。これには徴候的なものさえ感じられてしまう――とはいえ実際のところ、この作り手がいつも寓話性とリアリティとの折衷に苦心しているようにみえるのもまた事実で、正味この夏の新作『竜とそばかすの姫』についてもその印象はまったく変わらない。あま

    THE FIRST SLAM DUNK

    • 細田守『竜とそばかすの姫』(の、寓喩と演出についてのメモ)