トンガリ団とキャンプのお話

笠置キャンプ場で火災騒動があって、警察に被害届が提出される騒ぎになった。その事件のあらましと、それをキッカケにネット上の論争に発展した話を前回のエントリーで書いた。タイトルに記している「トンガリ団」とは、焚き火を集団で楽しむ団体のことで、前回のエントリーでも「焚き火団体」として、態度の悪さや不誠実さに触れている。このエントリーでは、彼らについてもう少し丁寧に書きながら、何かと目にする「キャンプマナー」についても少し触れていきたいと思う。
なお、注釈として先に書いておくが、「トンガリ団」は12月7日に火災騒動を起こした犯人ではない。↓前回のエントリー

トンガリ団と焚き火

名前の由来は、ワンポールテントという、三角錐の形をしたテントを使うメンバーが比較的多かったことで名付けられたそうだ。数十人、多いときは40人ほどが集まり、真ん中で巨大な焚き火を楽しんでいる。側から見ればキャンプファイヤーのようなものである。ある種名物的な存在のようで、キャンプYoutuberが参加するなど、キャンプを楽しむ人たちの中では一定の知名度があるようだ。

重複するが、彼らは複数人で大きな焚き火を楽しんでいる。動画などで確認できたのは、男性の腰近くほどある丸太にバーナーで火をつけてスウェーデントーチ(知らん人はググって)をやっていたり、1tにも及ぶ薪を集めて全長7mもの大きな焚き火を楽しんでいた。

団体に他する周囲の反応

SNSで交流がある人や面識のある人は好意的に受け取る人もいるが、懸念を抱く人は当然一定数いる。Youtubeの動画には「集団で大きな焚き火をしているのが怖かった」という趣旨のコメントもされている。
俺にも、「あの人達の焚き火は危ないと毎回思っていた」というDMが何通か届いており、地域住民からの通報を受けて対応した過去がある事実を確認した(それがトンガリ団ではないということなら訂正してください)。

周囲から見たら異様な行為であり、場合によって不安を覚えることは、トンガリ団およびその焚き火に参加している面々も自覚している。事実、例に挙げたYoutubeのコメントにも「周りから見たらそうですよね」という旨の返信が動画投稿主からついていた。

トンガリ団の問題

批判的な声があがると彼らは「笠置キャンプ場の管理人さんから許可を得て行なっています」「周囲に配慮して行なっています」「迷惑がかからないようにやっています」と主張する。しかし、現時点で得ている情報では「嘘」だ。
現に地域住民からの通報を受けた過去があり、キャンプ場は「もう二度とやらんといてと注意した」としており、また、そのような大規模な焚き火を許可したことは「一切ない」と回答している。

そして、トンガリ団が「火災騒動の犯人と誤解されるだろ!」怒る発端となったツイートの添付画像(2枚目)を見てもらいたい。

ツイ主の「危ないのではないか、許可されているのか」という趣旨の問いに対する回答で、そこには「薪を乾かしているだけ/それぞれで炊事に使うと聞いていた」とある。つまり、焚き火自体を許可しているわけではないことが、ここからでも分かる。

ただし、動画やツイッターなどでも「許可を得た」と主張する以上、俺や管理人の与り知らない誰かに許可を得たのかもしれない。それが事実だとしたら俺も訂正するが、それはそれで大きな問題である。組織として許可していない行為を、誰かの一存で許可したとしたら、運営組織でガバナンスが機能していないということであり、下手したら運営停止になるのではないかと心配になる。

事件を誘発した可能性

前回のエントリーと重複するが、否定できない。
廃材を燃やすだけなら河原でこっそりやればいいし、他のキャンプ場だってあるだろう。目隠しして笠置を選んだわけでもあるまい。そこには「ここならやっても大丈夫」と思わせる何かがあったのだろうと俺は想像する。犯人が供述しようとしまいと、その「何か」がトンガリ団である可能性がある。
最近では、頻繁に「焚き火の片付けが十分じゃない」「ゴミを放置する」など、キャンプマナーの悪化や心配の声が挙がっている。これらは、悪意ある人間がやっているケースもあるし、純粋に「素人さんが玄人さんの真似をした結果、無自覚に行き届かなかったケース」も含まれている。特に焚き火の後始末については。
故に、「トンガリ団の日頃の立ち居振る舞いが、あのような犯人が焚き火をしようと着想するヒントになったのではないか」と心配する、懸念する声が一定数あることは理解できるし、正当なものだ。
もっというと、これまでの経緯から考えて、事件直後であれば「あの犯人はトンガリ団ではないか」と具体的に団体名を出して疑う声が上がっていても、なんら不思議ではないし正当な心配の範疇だと考えている。

トンガリ団の前提

▼悪徳業者が違法焚き火
▼団体の行いと絡めた心配のツイート
▼団体および関係者が犯人だと誤解されると激怒
▼ツイ主に過度な攻撃・周囲が応援
▼団体の過去・現在の立ち居振る舞いが問題視
という流れで話が進んでいったのが、今回の騒動である。まず、この流れを理解したうえで論点を整理し、それぞれのスタンスと照らし合わせて整合性のある対応を判断する必要があると考えている。各論点ごとに、それぞれ対応が違うわけで、すべてを一括りにして「誰が悪い」と決めることができないからだ。

まず前提として、「トンガリ団および関係者」には、日頃から交流があり、かつ今回の騒動でトンガリ団の言動を擁護・肯定した人々を含む。トンガリ団は公的な団体ではなく名簿が存在するわけでもないだろう。単なる有志の集いであるので、「私は団体じゃない」「私は関係者じゃない」という主張はナンセンスであり、これまでの言動から判断されるものと考える。

論点と団体の対応

1.本当に誤解させたか否か
2.焚き火が無許可だった(間違いがあれば訂正ください)
3.ツイ主への過度な攻撃
4.「3.」を正当化する論拠の虚偽

1.誤解させたか否か
これも前回のエントリーと重複するが、誤解させたことを否定はできない。しかし、短文投稿というのは、どの内容であっても誤解を生み得るものだ。このエントリーでさえ誤解を生む恐れは十分あるだろう。
故に俺は「誤解が生じた場合はその後のコミュニケーションで解決すれば良い」と考えている。補足し、質問に答え、その中で意図の正しい輪郭が浮き出るものだ。
今回のツイートについても、そのようなコミュニケーションがあり、その後さらに補足もされている。故にツイ主は十分に対応しており「謝罪」の必要はないと考える。
なお、あのツイートで誤解する人は、「トンガリ団に批判的な目を向けている人」か「トンガリ団に批判的な目を向けている人を敵視してる人」くらいだろう。知らない人から見れば、「昔から笠置キャンプ場では大きい焚き火をする人たちがいて心配する人たちがいたんだな」としか思わないし、それ以上を想像する手立てがないからだ。

2.焚き火が無許可だった
この件については、キャンプ場から要請があった場合にはキャンプ場に謝罪するべきだろう。無許可による焚き火で不利益を被るのはキャンプ場だからだ。ツイ主への謝罪は必要ないと考える。

3.ツイ主への過度な攻撃
アカウント上では秘匿にしていた個人情報を晒し、また事業に影響を与え得る言動をとった、かつその行為を止めなかったトンガリ団および関係者は、ツイ主から要望があった場合は謝罪をするべきだろう。これらはツイ主への攻撃であり、またその根拠が虚偽であるためだ。現在、過度な攻撃の中心人物、関係者らからの謝罪の事実はないと承知している。

4.「3.」を正当化する論拠の虚偽
ツイ主への攻撃を正当化するための論拠として、「誤解させたツイートの存在」と「マナー違反をしていない」という2つが挙げられる。前者は早々に補足されるコミュニケーションが行われ、解決済み。後者については「焚き火が無許可だった」という事実があるのでマナー違反どころか根本的にルール違反であり、団体および関係者は、その主張の誤りを公に認めるべきだ。

スタンスとの整合性
彼らは「誤解されるツイートをするな」と怒ったわけだが、「じゃあ誤解される焚き火をするのが悪いんじゃないの」「誤解される態度をとっているのが悪いんじゃないの」と言われたらどう答えるのか気になるところだ。その都度、謝罪しただろうか。その都度、嘘のない補足をしただろうか。相手に求めていることを、自身らができていたか、今一度考えて対応を精査するべきではないかと考える。

キャンプマナーは誰が決める?

ここからは俺の主観も交えた個人的な見解である。
焚き火マナーについては程度も規模も様々だ。なかには法律をもとに一般で許容される軽微な焚き火について「50cm×50cm」「100cm×100cm」と定義を試みる人もいるが、法律が「軽微なもの」と曖昧な表現にとどまっているため画一的に共有するのは難しい。
故に、「軽微」の定義は「キャンプ場が決める」と考えている。極端な話「10cm四方まで!」と言われればそれが限界だし、「200cm四方までOK!」と言われればそれもOKだろう。そもそも「焚き火禁止」だってある。
余談だが、俺が調べたところによると愛知県にはかつて格安で焚き火ができるキャンプ場があったが、度重なるマナー違反と管理の難しさから、「炭火を含めた全ての焚き火が禁止」になった場所がある。これもキャンプ場の判断であり、そこを利用する人はそのルールを遵守すべきだろう。

さて、ここまで批判してきたトンガリ団の大きな焚き火についても、キャンプ場がOKを出していて、公にルールを定義していたなら俺はOKだと思っている。もちろん批判はあるだろうし、それは自由だ。ただし、その批判に対峙するのは団体ではなく、ルールを規定したキャンプ場になるし、周知やなにかあった際の責任を負うのもキャンプ場になるだろう。逆に言えば、今回の件では、批判に対峙するべきなのは団体および関係者である。
一般論として、直火でやるのであれば、「市販されている2〜3人用の焚き火台くらいのサイズが許容される限界」にとどめておけば間違いはないと思う。

そのほかのルールについては、キャンプ場の案内を丁寧に読むこと。これに尽きる。細かく準備されていないところもあるので、その場合は聞く。焚き火の方法、ゴミ、消灯時間など。もし、管理人さんが「お任せしとるよ〜」なんて感じだったら、それは「なんでも許す」ではなく「あなたの良心と一般論に従ってください」という意味なので、自信がない人は、他のキャンプ場のウェブサイトに記載されている規定を参考にしてはどうだろうか。
炭は水をかけるか火消し壺などを使って完全に消火し、炭を捨てる場所がなければ持ち帰りましょう。(完全に消火しないと車が火事になったり中毒になったりするので気をつけてね)

終わりに

ぶっちゃけ、「あんなツイート1つでぶち切れてるキャンパーたちこっわ」から始まった俺による一連の批判だが、「あんなツイート」程度にブチ切れていたキャンパーたちが、俺には何も批判、反論、釈明をしてこないのが不思議でたまらない。

俺は、不安を抱く人たちをないがしろにするトンガリ団の立ち居振る舞い、あるいは虚偽、主張の矛盾については批判するが、画一的に「大きい焚き火がダメだ」という主張はしないし、彼らが改心して、ルールに従ってグループで焚き火をするのも否定はしない。
ただ、キャンパーたちの利己的なマナー違反によるキャンプ場閉鎖や直火禁止が急増している今、これまで向けられてきた批判や心配の声を、もう少し真剣に考えて見てはどうだろうかと俺は思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?