田舎でのんびり起業は地域個人客「だけ」に頼らない
僕は今八ヶ岳南麓(山梨県北杜市)で暮らしています。「新しい働き方。暮らし方」でハッピーになろう!という企業パーパスのひとり法人を立ち上げてコンサルティングや地方関係人口創出に関することが仕事です。(ヘッダー画像はnoteギャラリーから挿入しました。dongmuさんありがとうございます!)
今回は「田舎でのんびり起業は地域個人客"だけ"に頼らない」というタイトルでターゲット市場について考えてみます。
田舎でのんびり起業とは?
僕がおすすめしている「田舎でのんびり起業」はお金よりも人生を大切にするライフスタイルです。もちろん生きていくにはお金は大事。だけどお金だけを目的にしたギラギラ起業とはちょっと違う。人生を楽しむための起業です。詳しくはこちらの記事も参照ください。
田舎で地域個人市場「だけ」を狙うのは辛い
「田舎でのんびり起業」をした場合、誰があなたの顧客になるのでしょう?ビジネスである以上顧客がいてお金を支払ってもらわなければ成り立ちませんよね。
地域でビジネスをやっているのだから、地域に貢献したい。これは一つ正しい考え方だと思います。どの地域にも社会課題があって、それを解決できる事業は素晴らしいことです。
ただし僕は地域の個人市場「だけ」を狙う事業はなかなか難しいんじゃないか?と考えています。というのは田舎とは人口が少なく、しかも平均年収も低いエリアだからです。
売上は単価 x 販売件数で決まります。ひとり当たりの購買力が低く、市場も小さいわけですから、それは難しいですよね。
田舎と都市部では人口規模が全然違う(ざっくり1/10)
田舎と都市部では人数が全然違います。東京であれば市部であっても10万人以上の人口が当たり前です。八王子市は58万人、町田市で43万人。府中市、日野市、調布市だって20万人を超えています。首都圏は急行一駅ごとに県庁所在地があるレベルの人口規模なんですよね(甲府市って19万人なんですよ…)。
僕が暮らしている山梨県北杜市は4.3万人。お隣の長野県富士見町は1.4万人ですからね。東京郊外と比べると話になりません。北杜市は町田の1/10、富士見町は多摩市の1/10です。
田舎で都市部と同じような事業が成り立ちにくいのがこの人口の少なさです。田舎では自治体全体で都市部の各駅停車しか停まらない駅1つ程度の市場しかないんです。(ただし定食屋や居酒屋のようにあえて商圏を狭くすることで常連客を作るビジネスもあります。)
田舎と都市部では平均収入が全然違う(ざっくり1〜2割低い)
次に年収を比べてみましょう。平均収入が一番高い都道府県はもちろん東京都です。2023年のDoda調査(都道府県別に見る日本の平均年収)を参考にするとこんな感じです。
東京都 455万円(男性 514万円 / 女性 400万円)
日本平均 414万円(男性 464万円 / 女性 356万円)
ちなみに第2位は神奈川県、第3位は千葉県。いずれも首都圏です。僕が暮らしている山梨県と比べてみましょう。
山梨県 384万円(男性 421万円 / 女性 327万円)
いやあ、この差は大きい。山梨県は日本平均と比べても低いんですよね。ざっくり15%東京より低い年収です。女性はさらに差が広がり2割近く低い年収です。
年収=購買力といえますから田舎で高単価のビジネスを立ち上げるのは難しいですよね。
田舎でのんびり起業は地域個人客「だけ」に頼らない
では田舎で事業を行うならどうしたらいいのでしょうか?もちろん地域個人客は大切な常連客です。田舎で事業をするなら地域顧客は大切にしたいですよね。
答えは地域個人客「だけ」に頼らないビジネスモデルを作ることです。地域個人客も大切にしつつ、でもそれだけに頼らないモデルです。
地域外集客:特に都市部から集客できれば顧客層が広がる
地域個人だけでは市場が限られるので地域外からの集客も考えてみましょう。特に都市部から集客できれば顧客層は大きく広がります。
例えば週末は都市部からの観光客向けの高単価商品を中心に展開する、という方法です。普段の平日はリーズナブルな価格設定とすることで地域個人の常連客も維持できます。
これはカフェなどの飲食、民泊やサウナなどの施設事業で活用できる手法ですね。平日料金と週末料金を変えることで都市部の顧客から売上を得ることができます。
コーチ・コンサルティングなどオンライン事業でも地域外からの集客は重要です。田舎は人口が少ないのです。コーチやコンサルティングといった高額サービスに継続的にお金を払ってくれるクライアントは限られますよね。
僕も八ヶ岳に暮らしていますがクライアントのほとんどは地域外です。
B2B事業:法人・自治体向けのB2B事業は安定性が高まる
個人向けだけでなく法人向けの事業と組み合わせるのも有効です。
法人向け事業は個人向けよりも単価を高く設定しやすいのです。例えば個人向けコーチングならば毎月10万円の売上を作るのは大変なことです。セッション単価が1万円として毎月10人のクライアントが必要になります。
ですが法人向けコンサルティングならば1社のクライアントで毎月10万円というのも珍しくありません。企業にとって10万円の経費というのはそこまで高額ではないからです。
僕も個人向け事業(コーチングや不動産運用)と法人向け事業(コンサルティング)を組み合わせて売上安定を目指しています。
他にも田舎でも事業を安定化させる方法はある
田舎で起業して事業を安定化させるために地域外顧客や法人顧客の開拓を紹介しました。他にも田舎で事業を安定化させる方法はあるのでちょっと紹介しておきますね。
希少性:オンリーワンの事業なら高単価を維持できる
実は田舎では顧客(需要)よりも事業者(供給)が強いこともあるんです。というのは田舎は人口だけでなく事業者の数も少ないからです。
都市部のように相見積で他の事業者と比べる、という選択肢がないんです。地域に一つしかないような希少性が高い事業ならば単価が高くても顧客は逃げません。
実際僕も暮らしている家を二重窓にするリフォーム工事を地域の工務店に依頼した時にこれを実感しました。一切の値引きはなく、補助金申請では事務費用もしっかり載せられましたが他に選択肢もなくそこに工事をお願いしました(あ、工事内容には満足しています。念の為)。
スモールビジネスの例では蜂の巣除去などの便利屋なども考えられますね。その地域のオンリーワンになってしまえば田舎でも高単価で事業できるものです。
田舎は市場が限られるために全国チェーンや大手資本の参入が難しくなります。強力な競合がいないのでスモールビジネスにも活躍のチャンスがある、ともいえます。
複数の収益源:事業収益にこだわらず投資収益も考える
事業収益以外にも収益源を作れるようにしてみましょう。例えば株式配当や不動産運用(家賃収入)などです。
僕は会社員時代から不動産運用をやっています。起業初期の売上不安定な時期に安定した家賃収入があったことにかなり助けられました。
「田舎でのんびり起業」といっても事業だけで実現する必要はありません。田舎でのんびり暮らしを実現するために活用できる収入があるならどんどん活用していきましょう。
実際田舎で客も少ない店を営んでいる人って他にも収益源があるケースが多いものです(竿竹屋はなぜ潰れない?という本が昔ありましたよね)。
シニア起業の場合は年金もありますね。年金だけでは不十分でも小規模な事業で得る売上があれば年金と合算して豊かな暮らしを手に入れることができます。
参考情報:田舎でのんびり起業を考えているなら
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田舎、といってもあなたが気に入ったところが一番なので八ヶ岳にこだわる必要はありません。でももし八ヶ岳南麓に興味があるなら八ヶ岳で移住・起業を考えている人向けの交流・体験プログラム「ヤツクル」を運営しています。よかったらこちらのメルマガにも登録してみてください
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