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第20回Mt.富士ヒルクライム 68分50秒

富士ヒルクライムに初めて参加してきたのでレポート。
結論から書くと『68分50秒』でシルバーを獲得することができた。2ヶ月間の努力が報われて良かった。

練習あるのみ

FTP向上のために3月下旬にZwiftを契約した。普通にローラーやっても手を抜いてしまうのでワークアウトでケツを叩いてもらう。ドMではない。ローラーはGT-Roller T1、たまにF3も使った。
目標に向けてトレーニングすることや、ヒルクライムレースの経験がほとんどないので、初動では色々なワークアウトやイベントをやっていた。少ししてから「SSTを多目にやるべき」「モチベーションを高めるために週一回は峠に行く」という感じになった。SSTはShortメインだけど、全部Medでやってたらタイムは結構違った気がする。
試走は5月前半、遅くとも中旬にやるべきだった。その時点で実力を把握できていれば、多少無理してでもゴールド狙いのトレーニングに切り替える選択肢もあったし、5月下旬に間食しまくって減量失敗することもなかったと思う。

当時はアンハッピーメーター使ってたからFTPは+15Wで見てくれ

「遠慮するな 今までの分食え…」

レース前日は14時過ぎに会場入りした。EXPOが結構見どころがあったので来年はもう少し早く現地入りしたい。YONEXさん、CARBONEXの試乗をやるなら事前アナウンスして欲しかった。会場を一周した後は自転車仲間と合流してお喋りを楽しんだ。
雨が降り出したので宿へ移動。おやつ代わりに食パン一斤とバナナ1本食べながら明日の準備をする。夕食は19時過ぎに食べた。メニューはミートソースパスタ、バナナ1本、ヨーグルト。この日は朝昼含め炭水化物中心のメニューで3,151kcal摂取になった。
20時30分には布団に入ったけど22時頃に目が覚めてしまい、以降は寝たり起きたりを繰り返した。キューピーコーワヒーリング効かない…

決戦の朝

3時起床。外は豪雨だ。朝食におにぎり3つ、バナナ1本、ヨーグルトを食べる。出発まで時間があるので朝風呂にも入った。ホットオイルとレインジェルを塗りこみ、ウェアを着たら準備完了。最後にリポビタンDを飲む。5日前からカフェイン断ちしてた影響かすごいやる気がみなぎった。プラシーボかもしれんけど。5時に宿を出ると雨は止んでいた。
会場までは自走。距離7km、獲得標高190m。テンポ走しながら無酸素強度を3回叩いてアップ完了。

今の私にできること

一応作戦を立てた。できるだけ前の方でスタートして、ゴールドトレインの追い抜き様にちょっと乗って離脱、シルバートレインがきたら合流してゴールを目指す。賭けの要素が強いけどぼっち参戦だから仕方がない。単独走ではシルバーはギリギリだと思ってた。(ZwiftのClimb Portal Mt.Fujiが78分ジャスト。パワメが15W程度下振れしてるから74~75分と予想してた)

ステージで求められるもの

5時30分頃に会場入りした。フリーエリアの前の方で待機しようと思ったら、何故か既に第3ウェーブの誘導が始まっていた。予定通り1組目3列目の好ポジションを取ったと思ったら、係員から前に詰めるように促されてまさかの先頭に。
自転車仲間と雑談しているとあっという間にオープニングセレモニーの時間になった。100均のカッパを脱ぎ捨て、スピードジェルを飲む。ほどなくして選抜がスタート。次は第3ウェーブ1組目がスタートラインに並ぶ。右から2番目にいたはずなのに後ろの人が前に入ってきて気がついたらド真ん中に。
(え…?私ここで良いの…?シルバー狙いだよ!ゴールドじゃないよ?!)
プレスにカメラを向けられる。こうなったら…
(強者感を出すしかねぇ!!!!)
トップチューブに座って、肘をハンドルバーに乗せて、手をハンドル前で交差させる。視線はゴールを見据えるように真っすぐ。とんだピエロだぜ。

百鬼夜行

プォォオオオン!!
スタート合図が鳴り響く。華麗にクリートをキャッチしていざスタート。すると右隣の人が
「壁やりまーす!」
(壁ってなに!?!?!?君はぬりかべの子孫か何かなの!?)
すぐに集団コントロールする役割か何かだと理解したけど(あってる?)、序盤からやってくれるぜ…!これが富士ヒルか…!
すぐに右からスルスルと関西のチーム『615六甲朝練』が4~5人上がってきた。賑やかなチームで横で聞いてるだけでクスッとさせられる。周りの緊張も和らいでいたと思う。目標を聞いたら、年代別優勝とゴールド狙いの人たちで構成されてた。化け物揃いだ。陽キャで強いだと?神様、私にも片方くらい授けてくれても良かったんじゃないか?

国際交流は難しい

スタートの計測ラインを越える。計測開始。少しづつペースは上がるけど「よーいドンッ!」って感じではない。ペースが一気に上がったのは料金所手前から。先頭グループにいては自滅してしまうので歩道側へポジションを移す。集団中頃まで下りて、私よりちょっとだけペースの早い人を探して後ろについた。千切れても無理に追いかけたりしない。後ろからどんどん人が来るので、どんどん乗り換えていく。10分もすれば先頭集団は遥か彼方。落伍者があちこちにいる。
一合目駐車場を11分15秒で通過。落伍者の一人がローテのサインを出してきたので頷いて応える。グータッチもした。洋画みたい。ただ私より少し速かったので
「結構いっぱいいっぱいなので落ちるかもしれません」
「I saw…」
「おーけーおーけー」
「year」

外国人だった。後から調べたら台湾の「TeamCYTO」の選手。聞いても半分くらいしか理解できない気がしたので適当に答えた。私の英会話スキルは英検4級レベルだからな。ちなみにこれは「英検4級にはスピーキングないだろ」というツッコミを期待しているのだが、調べてみると今は5級でもスピーキングをやるらしい。グローバル化する社会が怖い、助けてエキサイト翻訳。気が付いたらその人はローテすることなく落ちていった。

親切心は余裕のあらわれ、強者の証

5km地点:16分5秒
(前にも後ろにも誰もいない、誰か来てくれ…)
落伍者もいなくなって一人で走ってる。後から分かったけど、私は70分ペースで走っていたから、ゴールドトレインには乗れず、シルバートレインは追いついてこない、ぼっち状態になるのは確定的に明らかだったのだ。作戦崩壊。次第にパワーが落ちてL3で走る場面も増えてきた。クソザコメンタル。
2分後、後ろから微かに声が聞こえたので振り返ると大集団が見えた。先頭はまさトゥーさん。視認してから30秒で抜かれた。速い。太ももでけぇ。後続は縦長のトレインになっている。適当な位置にジョインしたいなーと思って並走していると
「入ります?」
「ありがとうございます」

親切な方がいるものだ。集団中頃に入れてもらった。しかし、ジリジリと車間距離が開いていく。やはりゴールドトレインは無理だと再認識。先ほどと同じ戦略で後方へ下りていく。書いてて思ったけど、私をゴールド狙いと勘違いして後ろについた人はブリッジさせられるわけだから迷惑極まりない存在だなw 2合目看板を27分14秒で通過したタイミングで落伍した。

マイペースで走るのは楽しい

10km地点:30分00秒
タイム表を全く見ずにFTPだけチラ見して走ってた。踏めてる感覚があるので楽しい。この辺りでは私とペースの近い落伍者がバラバラと散らばっていた。距離は縮まらないけど離されることもないので、「負けてられないぞ!」って気持ちでL4~L5で踏む。ここで声かけして野良トレインを組めるようになればタイムは縮むんだろうな。陽キャになりたい。神様?聞こえてます?
3合目を38分14秒で通過。
40分経過したタイミングで3組目のゴールドトレインが現れた。車間距離が開いていて今にも分解しそうな雰囲気。ペースが合う人がいないのでこれは見送った。少し遅れてピンクジャージの方が追い抜いていく。今度はペースが近いので後ろにつかせてもらった。ジャージに自動車に貼る高齢者マークがプリントされたけど、少なくとも私より速くここまで走ってきたことは間違いないので遠慮はしない。

そんなつもりはなかった、いやマジで

15km地点:45分25秒
向かい風が吹いていたので大沢駐車場まで風除けにさせてもらった。とは言え流石に引かせっぱなしも申し訳ないので声掛けて先頭交代。後ろについたのを一度確認したが、次に確認した時にはいなくなっていた。はたから見ると『おじいちゃんに散々前を引かせた挙句、発射台にした』画になった(実際の年齢はもちろん知らないが)。鬼畜の所業である。ちなみに鬼キャラの中では「レミリア・スカーレット」が好きです。
4合目を53分12秒で通過。また一人で走ってる。
スプリントポイントで4人組のゴールドトレインがきたので2分ほど引いてもらった。

未熟者

20km地点:60分9秒
(あれ?シルバー余裕じゃない?)

気がついたらシルバー圏内に入ってた。でも今からゴールドを狙うのは絶対に無理なので何とも言えない感情で走ってる。一回も5合目まで走ったことがないからこういうことになる。試走は大切
奥庭公園看板を63分40秒で通過。一人でえっちらおっちら坂を上っていく。振り返ると少し後ろに3人組が見えた。上り切ったタイミングで追い抜いていく。
(ラッキー!後ろにつかせてもらうZE☆)
と思った矢先に3人目がいきなり脱落。上りで力を使い果たしたか?1人目は2つ目のトンネル入口手前まで43~45kphで引いてくれた。ナイスファイト!2人目になるとスピードが40kphを割った。ヤバい!と思ったけど、こういう時にすぐ前に出たら悪いのかな?と思ってすぐに動けなかった。
レースの経験不足とシルバーが確定したことでハングリー精神が欠乏してしまったことが原因だ。死に物狂いで1秒を削る峠のタイムアタックと違って、75分未満ならオッケー!という緩さを受け入れてしまった。クソザコメンタル再び。
結局トンネルを抜ける前にサインが出たのですぐさま先頭交代。1人目が回復できてるのか疑問だったのと、たぶん一人で走ったほうが速い気がしたので交代は考えずに全力で踏んだ。47kphまで出せてたからROVAL Rapide CLX50を持ってきたのは正解だった。平地が終わって雪崩の復旧区間に入ろうかというところでELVESのバイクが飛び込んできた。
「頑張れー!」(ここからロングスプリントする気か!スゲーな!)
と思ったら区間を抜ける前に交代サインだしてきた。おい!ww 
「ごめん・・・!」
「大丈夫ですよ!行きましょう!」
一気に斜度が上がる。幸いまだ脚は残ってる。前を走るペースの落ちた参加者が横に広がってて危ないので声を張る。
「頑張れ!頑張れ!ラスト!ラスト!」
前の人たち、いるかどうか分からない後続、自分を鼓舞してペダルを踏む。3つ目のトンネルに突入。壊れた人形のようにもう一度声を張る。
「頑張れ!頑張れ!ラスト!ラスト!」
トンネルを抜けたらダンシングで一気にスパート。手の感覚が薄くなってるけど、ブラケットを握ってることだけは分かる。32秒きっちり踏んで計測ラインを抜けた。

自己評価と他己評価

走り終わった直後の感想は「案外短いんだな」というものだった。踏むべきところで踏んでないんだと思う。コースが頭に入ってるヤビツや都民の森の方がよっぽど辛い。それ以外にも反省点や改善点は多く、「もう一回走りたいな」って気持ちが強かった。
荷物を回収して坂を上っていると8人組でゴールドを目指したはやとさんとメンバーをお見かけした。彼らの挑戦は当人たちのnoteとかブログを読んでほしい。はやとさんがゴールドを逃した件は、あまりにも衝撃が大きかった。信じられなかった。意味がわからなかった。それなのに、自分が一番ショックを受けているはずなのに、私がシルバーを獲得したと話したら「獲れると思ってましたよ!頑張りましたね!」と言ってくれた。下山後、同じくメンバーの一人だったnYoloさんからも「凄い!頑張りましたね!」と私の背中を叩きながら労いの言葉をかけてくれた。この二人の言葉はシルバーを獲ったことよりもずっとずっと嬉しかった。今まで「凄い!」「速い!」「やりましたね!」って言って貰えることはあったけど、努力を褒められたのは自転車人生で初めての経験だったと思う。
会場では他にもお会いできた方、お会いできなかった方がたくさんいたけど、この場で皆さんの健闘を称えられればと思います。本当におつかれさまでした。

SPECIAL THANKS

ACTIVIKE にっしーさん
私が今自転車に乗れているのは間違いなくにっしーさんのおかげだ。彼にとって私は客の一人でしかないけど、私にとっては大恩人になる。去年の夏にフィッティングを受けていなければ、1000kmブルべも、キャノボも、富士ヒルシルバーも全てあり得なかった。ゴール後に会場でお見かけしてお礼を伝えたら、「ロング(ライド)の人ですよね?おめでとうございます!」と私の事を覚えてくださっていて嬉しかった。それと、ブログやX(twitter)で発信しているトレーニングや食事、富士ヒル対策もかなり参考にさせてもらった。来年はプラチナリングを獲るお姿を是非拝見したい。

U2 BIKES 中塚店長
富士ヒル前に自転車のメンテをして頂いた。ADDICT号は今年で14年目、総走行距離は不明だが5万kmは超えている。蓄積したダメージも大きく、中には大半のショップが匙を投げそうな問題も見つかったが快く対応してもらえた。これがなければ、タイヤがチェーンステーに擦った状態で走るか、代車を用意するところだった。本当に助かりました。

最後に

来年は65分切り、ゴールドリングを目指すことにした。
1年間ずっと頑張るのは無理だけど、少なくとも冬から準備を始めて万全の状態で臨みたい。


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