子供が細菌性髄膜炎になった話。その3

「あんな検査されてあんな辛い思いをさせて◯ちゃんの事抱っこするの悪いなって思った」と本当にバカな事を考えるなこの人と思った。

子供の安全を祈っての事でそれの為に辛い思いをさせてしまう事が悪い事なわけがないのにね。

「顔色悪いなって思ったのに熱も測らなかったし母親失格だよ」

妻は経緯のなかで自分が気付ける落ち度を責める事を続けた。妻の人間性の中に責任を全て負いたがる性質を持っているのだが悪い事が起きるとこうなってしまう。
「顔色が悪い事を俺だったら気が付けなかったと思うしそれに気がつけたら大丈夫」
掻い摘むが俺が気がつけない部分は君が気がつく。君が気がつけない部分は俺が気がつく。同じ場所を見る人間じゃないから今病院にいるし、家族としては違う人間が同じ方を向いていた方が絶対に強いし他の事でも子供にとっては良い方向になると思うと言ったような話をした。
妻は少し落ち着いたようだった。
「入院したら少し会えなくなるから抱っこしてあげなよ」と声をかけると「うん」と頷いた。

そのうちまた診察室に呼ばれた。ベッドの上の子供の左手にはシーネを着けられていて点滴を入れる針セットがつけられていた。新生児だから手の甲側から針を入れて手のひらが動かない様にシーネで固定しているようだった。お医者から抱っこしてもらって良いですよと言われて妻に「抱く?」と聞くと頷いてベッドから子供を抱き上げた。
お医者から今から上の入院病棟に移ってから髄液の検査をしますという事で看護師に連れられ移動した。

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