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絶望の果てに

あるところである人が溜息混じりに呟いた。
「わたしってほんといつまでもどうしてこうなんだろ。」
それを聴いたある人が、
「それはあなた、まだ自分に期待するものがあるからよ!わたしなんて砂漠を彷徨った挙句、一雫の水もないようなところまで自分に絶望したもの。まだまだ絶望が足りないのよ。」
と弾けるように笑った光景をずっと覚えている。

タロットの物語は、自らが積極的に外側の世界にアプローチをしていく前半の世界と、自らの内面の世界に入っていく後半の世界がある。

前半の周囲を変えていけた世界から、後半の自分が変わっていかなければならない世界。
ひとことで言うならば、もう自分の思い通りにならない世界だ。
それはこんな並びになっている。

もう今までのやり方では無理なんだと自分の限界や不可能を受け入れる「力」
固定観念に縛られて動けない「吊るされた人」
終わりを受け入れる「死神」
終わってしまった世界で、なんとかバランスを取ろうとする「節制」
けれどなにかに依存し囚われてしまう「悪魔」
積み上げてきたものが破壊される、壊れることを受け入れる「塔」

もう駄目なんだ。動けないよ。もう終わるんだ。
なんとかしなくちゃ。なにかに縋りたいよ。
でもやっぱり壊れていってしまう。

これでもかというくらい、周囲に対する期待を、そして自分に対する期待を奪われ、手放して行かねばならない道程が続く。

こんなはずではなかった自分。本気出してないだけだと思いたい自分。何者にもなれなかった自分。愛されたかった自分。
それは虚しく哀しい。

絶望の果てを見よ、というタロットは厳しい。
けれど同時に、期待するものを失くしても大丈夫なのだ、裸の自分になってもいいのだと、語りかけてくれる。
タロットを辿ってきた、いにしえの人たちも傷ついて傷ついてきたのだと思う。

「だけどよー、いろいろと、あきらめきれないよなぁ。」
そう呟いてタロットは、愛を乞いながら何者にもなれなかったわたしと、砂漠の星を一緒に見上げてくれるような気がするんだ。


〜mamanmiyukiタロット〜
制作 : mamanmiyuki
メーカー:LaMer
カードサイズ:61×112mm


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