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往復小説

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嘗ての往復書簡をコンセプトにMASATO氏と始めた往復小説。2019/8/22:天外黙彊氏も加わり、小説によるコミュニケーションを公開しております。ココでは私のパートを公開。一話… もっと読む
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#白い眼

短編:白い眼

よく晴れた夏の日。 世界は力強さに溢れていた。 自然の英気を浴びながら、不意に最後の時を思う。 (死ぬには最高の日。) 先住民の言葉。 「こういう日を言うんだ」と感じた。 姉の所属する交響楽団のコンサートを聴きに親戚一同で訪れたこの地。 誤魔化し難い疲労感を抱えながも精神的には充足感に満たされる。 普段寝たきりの彼にはいい気分転換。 一時的とは言え、音楽は精神を切り替える。 姉は嘗ての教え子に囲まれ、この夏の陽気のような晴れやかな声や笑顔に溢れていた。 (俺は今日この