往復小説

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short‐short:普通の形

手を伸ばしている若い男性が視線に入った。  スーパーのペットボトル・コーナー。  視線はその二段目。  見ると、セール中とある。  彼は悔しそうに…

小説 : 小さな嘘

6月下旬の新宿は、雨と埃と微かな夏の匂いがする。  地下鉄を降りて、地上への階段を上がったとき、そんな事を思ったので、隣を歩く彼女に話してみた…

short‐short:景色

仕事柄の癖のようなもの。 誰にしろあるだろう。 真剣に取り組んであれば当然のことに思う。 僕は人間観察かもしれない。 この前、親父に怒鳴られた。 …

短編:白い眼

よく晴れた夏の日。 世界は力強さに溢れていた。 自然の英気を浴びながら、不意に最後の時を思う。 (死ぬには最高の日。) 先住民の言葉。 「こうい…

短編:いただきます

泣くとは思わなかった。 人が何を思って泣くか、わからないものだと彼は思った。 自分にとっては単なる無意識の行為、習慣に過ぎない。 とても泣くほ…

short-short:サンタ

「サンタさん来るかな?」 今日はクリスマス。 街は色づき華やいでいる。 娘の父親が失踪して1ヶ月が経つ。 彼は何時もこう言っていた。 「俺は猫…

short‐short:秋

「秋か」 路上に花が開いていた。 遠目でもわかる。 その様は飛び降りを想起させる。 コンクリートにまかれた脳漿。 手を合わせたい気持ちになる。…