見出し画像

財産分与の対象とならない建物についても審判で明け渡し命令可能 最高裁判断

こんにちは、スマート法律相談の弁護士のカツベです。

離婚した元夫名義の建物に元妻が住み続けている場合、財産分与の家事審判で明け渡しを命じることは可能か――。この点が争いとなった家事審判の許可抗告審決定で、最高裁第1小法廷(木沢克之裁判長)は命令ができるとの判断を示した。6日付。

離婚調停や審判の手続きを知らないと最高裁の判断の対象がやや分かりにくいですが、もともと、財産の分与に関する処分の審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることは条文によって認められています(家事事件手続法第154条)。

本最高裁決定は、財産分与の対象とならなかった財産(建物)についても給付を命ずることができるかが争われました。

財産分与の対象とならない財産とは、いわゆる特有財産(民法第762条)で、婚姻前から所有していた財産や婚姻中に自己の名で得た財産がこれにあたります。

例えば、夫が結婚前に相続で取得した持ち家は、特有財産にあたるので財産分与の対象とはなりませんが、こういった場合も、妻側が家に住み続けたいと主張することがままあります。

そういった場合、持ち家は財産分与の対象とならないことを家事審判で確定させてから、改めて建物明渡訴訟をする必要があるかが争われたようで、最高裁判所は別途民事訴訟手続きは不要という結論をとりました。

家事事件手続法第154条の文言解釈としても、もともと給付を命ずる対象が財産分与の対象財産に限られているわけではないですし、別途民事訴訟をするというのも迂遠(財産分与の対象とならない時点で明渡請求の要件事実を満たすため、給付を命ずることに障害はないと思われます)なので、妥当な結論ではないかと思います。

許可抗告とは

家事審判に不服があるときは,2週間以内に即時抗告の申立てをすることにより,高等裁判所に審理をしてもらうことができます(家事事件手続法第85条)。

この高等裁判所の判断に対する不服申立が許可抗告(民事訴訟法337条)で、最高裁判所の判例と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合に、最高裁判所に抗告することができます。

基本的に法律と裁判例に沿って法解釈をする弁護士はにとって、許可抗告は重要であるといえます。

LINEチャットボットで法律相談を受け付けています

「スマート法律相談」は法律相談に回答するLINEのAIチャットボットです。
「個別相談」で弁護士に直接質問することもできます。

↓↓↓↓↓ 友だち追加はコチラ ↓↓↓↓↓

画像1

リリース時に朝日新聞にも紹介されました!

スマート法律相談は、株式会社リーガル・テクノロジーズと、証券会社のシステムを開発する株式会社トレードワークス様が共同で開発しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?