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SMS認証代行(二段階認証代行)で逮捕 安易な小遣い稼ぎは危険

こんにちは、スマート法律相談の弁護士のカツベです。

 捜査関係者などによると、逮捕容疑は2019年7月19日、札幌市豊平区の男(29)がスマホ決済サービス「PayPay(ペイペイ)」に登録する際に必要な2段階認証のため、自分が契約した格安SIMに記録された電話番号や番号に送られる認証用のコードを1回伝えたというもの。

事情を知らない方には、この行為の何が悪いのか、また、適用されている「私電磁的記録不正作出・同供用」という罪がどのようなものか、理解しにくいかも知れません。

「私電磁的記録不正作出・同供用」は刑法に規定されています。

刑法
(電磁的記録不正作出及び供用)
第百六十一条の二 人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪が公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3 不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第一項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。
4 前項の罪の未遂は、罰する。

ここでいう電磁的記録とは、認証コードのことのようです。

通常、Paypayなどのアカウントを作る際には、携帯電話番号が必要です。

二段階認証は、アカウント登録時に、メールアドレスの他、携帯電話番号を登録させ、携帯電話番号へのショートメール(SMS)に認証コード(4~6桁の数列や文字列など)を送り、登録者に入力させて、本人確認をします。

携帯電話不正利用防止法により、携帯電話の契約には本人確認が必要なため、携帯電話番号を保有しているなら本人確認済のユーザーであるとみなす意味があるのと、通常、携帯電話番号は1人1つしか持っていないため、なりすましで複数アカウントを作成するのを防止する意味もあります。

逮捕の背景

オークションサイトやフリマアプリで「SMS認証代行」という出品を見かけることがあります(最近は規約で禁止されているためかほとんど見ませんが)。

出品者は、通話機能のない格安SIMを複数購入しておき、購入者が希望するSMS認証を代行することにより対価を得ます。

購入者の動機は色々(オークションサイトで複数のアカウントを使って価格つり上げ行為をする、詐欺に利用する、等々)ですが、自分でSIMカードを契約するより安くアカウント作成ができるというメリットがあります。

音声通話機能のないSIMカードは、携帯電話不正利用防止法の対象外であるため、本人確認書類の送付が必要ありません。そのため、このようななりすましが横行してしまうと、詐欺や不正行為をしたアカウントの保有者を特定することが困難になります。

SMS認証代行はグレーという認識の記事も散見されます。

確かに、他人のアカウント作成のためにSMS認証を代行してあげるという行為は発覚しにくいのでしょう。
(本件は、もともと、「PayPay」と「ヤフオク!」を連携させて得られる特典を不正利用したとして昨年逮捕・起訴された男性の認証代行をしたため発覚したようです。)

しかし、認証代行単体でも立件されますし、下手をすれば詐欺の幇助ともなりかねない行為ですので、このような危険な小遣い稼ぎは即刻やめるべきでしょう。

アカウント自体を販売していたら?

SMS認証だけを代行するのではなく、格安SIMで自らアカウントを作成して譲渡した場合も、同様に「私電磁的記録不正作出・同供用」となります。

逮捕容疑は18年7~10月、運営会社の利用規約に反し、フリーマーケットアプリの「メルカリ」「ショッピーズ」のアカウントを不正に複数作成した疑い。

もともと、「私電磁的記録不正作出・同供用」罪の典型例は、帳簿や口座残高の書き換えでしたが、アカウントや認証コードの不正作成も処罰の対象となります。

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