見出し画像

【青学WSD】「WSDの3カ月を振り返る~学びの5か条おすそわけワークショップ~」をおすそわけ

2019年9月から3カ月間、青山学院大学社会情報学部のワークショップデザイナー育成プログラム(以下、WSD)を受講してきました。
その集大成ともいえる最終日、WSDでの学びを振り返る省察のワークショップ(以下、WS)を自分たち向けに作り、実施。
自画自賛で申し訳ないけれど「このWS、さまざまな現場でも使えるんじゃないか?」とグループでも盛り上がり、せっかくなら多くの人に知ってもらいたい、そう思っておすそわけさせていただきたいと思います。

そもそもWSDを受講した理由

「学びの振り返りのWSを紹介します!」といっても、そもそも何を学ぼうとしていたのか、まずは僕が3カ月前に考えていたところからお話しさせていただきます。
僕は普段仕事で、Educational Designer と名乗り、対話やワークショップを用いた人材育成・組織開発を教育機関の教員(主に保育園の保育士)向けに研修やプロジェクト、あるいは大学で学生に授業という形で実践しています。そんな中で、よりWSについての理論的な枠組みやデザインについて体系的に学ぶことで、質の向上につながり、さまざまな現場に還元していくことができるのではないか?と考えたのが最大の受講理由でした。

10年前に子ども向けワークショップに出会い、その協働性や「ある決まった正解」にとらわれない学習手法や学習観にさまざまな可能性を感じ、その後も大人向けのワークショップに参加しながら我流で磨いてきた学びの場づくり。一方で「どんな現場でもフィットするだろうか」「参加者にとって無駄のないワークショップになっているだろうか」と自問することも。勘と度胸に頼りすぎていることが課題でした。

そんな期待を込めて臨んだWSD、改めて気づきと発見の連続でした。ただ、あまりも濃密すぎた3カ月の学び。自分の血肉になっていることもあれば、残念ながら記憶から薄れてしまっていることもある。せっかく体験した多くの出来事を再び思い出し、省察することで良質な経験に昇華したい、そんな思いを込めて振り返りWSづくりに臨んだのでした。


WSづくりスタート~コンセプト決定~

画像1

今後WSDを受講する人がいるとネタバレは避けたいので、かいつまんでになる部分もありますが…
はじめましての方もいる6人のメンバーで一緒にWSを作ることになりました。
メンバーは、かややん、せー、ながやん、ナベ、めぐるん、僕でした(敬称略)。

まずはコンセプトづくり。どんなゴールがいいんだろう…
さまざまな案が出た中で、ひとつの方向性が。

「家に帰ってからも一人で出来ること」ではなく「今この場でこのメンバーだからできること」。
この学びを「自分の今後に活かす」というのは大前提として、体験を共有しながらもそれぞれに違った学びを得ている他者を「自分の今後」にどう盛り込むことができるのか。

「自分が一番学んだことをシェアする?」「この人にこの学びをプレゼントしたいと思えるものをみんなで探すのは?」「それにはその人がどんな今後を目指しているのかわからないと…」

そうこうしているうちに「おすそわけ」というコンセプトが。

画像2

各自が「自分の今後」について考えシェアしたうえで、自分たちが学んできたことの中からその人にフィットする、あるいは大切にしてほしいことをおすそわけすることに。
自分以外の5人のメンバーから学びのおすそわけ。今後WSDerとして大切にしていくべき5か条にしよう!ということでコンセプトが決定しました。

おすそわけのリソースは…?~学びのタイムラインを作成しよう~

「おすそわけ」「5か条」というコンセプトは決まった。けれど「自分の中にあるもの」だけでその人にフィットするものを見つけられるだろうか…。

そこで作成したのが「学びのタイムライン」。
WSDで経験してきたさまざまな出来事を時系列に並べ、そこで学んだこと、気づいたこと、大切にしたいと感じたことなど、全員の脳内を可視化することに。
これについては実施の感想で詳しく。

プログラム完成!~プログラムデザインはこんな感じになりました~

おおまかなしかけやステップが見えてきたので、各工程を並べながら実施時間を割り振っていきます。

① イントロダクション(簡単な流れの説明)とタイムライン作成【15分】
→個人ワーク10分+ふせんの貼り出し、シェア、書き足し5分
② 自分の将来イメージをシェア【15分】
→個人ワーク8分程度+シェア6分(1人1分)
③ 他者へのおすそわけをふせんに書き出す【10分】
→個人ワーク(10分)/①で作成したタイムラインの中から選んでも、自分で新たに考えてもOK。単語でもメッセージでもOK。
④ おすそわけタイム【15分】
→2人組(2分)+2人組(2分)+2人組(2分)+3人組(6分)※移動や延長用に3分
⑤ 一言チェックアウト【5分】

全部で60分のWS。
基本的な設定として、「中長期で一緒にプロジェクトを実施してきた仲間同士の振り返り」のため自己紹介やアイスブレイクは省略しています。

必要な備品(タイムライン用の模造紙やワークシート)を制作して、いざ実施!

実施と感想・振り返り~これ絶対ほかでも使える!~

このあとは上記のプログラム通りに進みます。
全体的な感想・振り返りとして、

・さまざまなプロジェクトの振り返りに汎用性のある実践的なWSではないか
・タイムライン作成からおすそわけまで、詰込み感がある。今回はどうにか時間内に収まったが、純粋に参加者として取り組んだというよりも全員の協力のもとで、時間内に収める努力をした印象もある。時間に余裕があれば対話の時間を丁寧に取るなどブラッシュアップの余地を残している。

それでは、一つひとつの工程を振り返っていきます。

① 簡単なワークの流れの確認をした後に早速タイムラインづくりに突入!

画像3

・時系列にとらわれず自分の書きたいところから書いてOK
・何枚か溜まってきたら模造紙に貼りに行ってOK
・すでに貼られたものからインスピレーションを受けてもOK
というルールのもと、想定以上に出るわ出るわで模造紙があっという間にいっぱいに。
みんなが書いたものを眺めると、自分だけでは思いつかなかった言葉や経験が。また違ったグループで起こった出来事の共有も行われ、ナルトの多重影分身状態に(個人の経験の集合知化!マニアックかな…)。

<感想・振り返り>
ぴったり15分で行いましたが、もっと時間があれば、もっとじっくりタイムラインを眺めながら「これってなに?」「こんなことあったね」「同じ単語書いてるけど、それぞれにどんなことを感じたの?」などじっくり対話しても面白いと思います。

② 自分の将来イメージを言語化し、他者へ共有。
これは自分の中にあるものを他者にシェアしてその後のおすそわけがその人にフィットするために実施。
学んだことを次にどう生かしていくかのイメージを各自持てていれば難易度は高くないものの、僕自身は2つほどあげよう、と考えているうちに一つをかいたところでシェアタイムが来てしまいました。記載した内容とその理由などを含めて1分程度で全員にシェアしました。

<感想+振り返り>
ここでの発言がその後のおすそわけの内容、質に大きくかかわるため、参加者の目線合わせ、必要に応じてガイドが必要になります。
実施して感じたのは、現状課題に感じていることやどんなことを大切にしたいのか、といったことを聞けると、このあとそれに応じたおすそわけがしやすくなるかなという印象。詳しくは次のステップで。

③ 他者へのおすそわけをふせんに書き出す。

画像4

②で聞いた将来イメージに合わせて、一人ひとりへその人にギフトしたい学びのおすそわけを考え、ふせんに書き出していきます。こんなことをしたい人にはこんな言葉や気づきがあったからそれを贈ろう、と考える時間は非常に楽しい時間でした。ここでは①で制作したタイムラインから自分で書かなかったものをチョイスしても、自分の中から新たな事柄をひねり出してもOK。自分にとってはそれほど重要視していなかった言葉も、他者へおすそわけする目線で見直すと、新しい価値を見出したり、解釈の置き換えが起こる自己対話の時間でもあります。
いきなり「その人にあったアドバイス(おすそわけ)をして」といわれるとなかなか難しいですが、タイムラインを全員で可視化することで自分たちの持っているリソースを洗い出すことができているので、ハードルが下げられていることを感じました。
一方で、そうはいっても難しい人は難しい!このレベルの内容はとっくに本人も自覚しているだろうから…と頭を抱え、ちょっと視点を変えてみたり、いろいろな葛藤、試行錯誤がありました(結果的に喜んでもらえたようです)。
あわせて、ここで書いた他者へのおすそわけも持ち帰れるように個々人で携帯で撮影することをおすすめしました。

<感想+振り返り>
②の感想+振り返りでも書いた通り、将来イメージに大きく左右されるため、ここのイメージができていなかったり、その人の想いやレベル感がわからないと書くのに苦労します。
一方で情報がありすぎるとそれに縛られ、一般的なものしか出てこなくなる危険性もあり、プログラムデザイン的に一番難しいのでは?と感じています。
あくまで「あなたがおすそわけしたいこと」なので、ユニークな内容があってもOK。変にかしこまらず自由に相手のことを思いやって考えよう、とガイドすることが重要だと感じました(僕自身は過剰に責任を感じてかしこまってしまうタイプのため余計にそう感じました)。

④ おすそわけタイム
時間の関係もあり、全体で一人ひとりにおすそわけ、という方法ではなく、小グループを作って複数人同時におすそわけを交換するという設計にしました。まずは正面の人と2人組で。次は片側3人が横にひとつずつズレて2人組で。その後もう一度同じことを行い、残った2人と3人組でおすそわけを交換していきます。大体ひとり1分ほどでおすそわけの内容とその理由を伝えていきます。「子ども向けに実施したいと言っていたので、このときのこの経験から、こういうことを大切にこれから実施していってほしいと思い、この学びをおすそわけします」といった具合。受け取ったおすそわけは、自分にはなかった視点が多くあり、自分の将来イメージから他者はこんなことを大切だと感じるんだ、という新しい発見が多くありました。

<感想+振り返り>
今回は時間の関係で小グループでの実施をしましたが、これが時間内に収まり、またひとつひとつのおすそわけに感情移入しながら受け取ることができた要因だと感じています。物理的な距離感、大切。
加えて3人組でシェアした時には、同じ人に対してほかの人がどんなおすそわけをどんな想いを持ってしたのかを聞くことができ、これもいい効果を発揮していました。1グループの人数によっては、この手法を積極的に取り入れるのもいいかも。

⑤ 一言チェックアウト
最後のチェックアウトは簡潔に。おすそわけを受け取って、感じたこと、新しい気づきや心動いたことをシェアします。僕の場合は、複数の関係者視点に立ったおすそわけが多く、自分の仕事にさまざまな関係者が存在していること、またその人たちの視座の違いを改めて考える機会になりました。
ここまでを超絶駆け足、詰め詰めで行ったので、2,3分余らせてWS終了。
終了後はタイムラインやそれぞれのおすそわけを眺めていました。

<感想+振り返り>
このWSは「自分の新しい5か条」を作り、今後に繋げていくことを目的としているので、ここに大きく時間を割く必要はないと実施して改めて思い至りました。

まとめ

画像5

さて、おすそわけWSについて、いかがでしたでしょうか?
まだまだ改良の余地を残しつつも、いろいろな場面で使うことができると感じています。
今回は6人グループで実施したため「5か条」としていますが、グループサイズによって「3か条」になっても「7か条」になってもOKというところも柔軟性が高いのではないかなと思っています。そのときは、おすそわけの設計は調整が必要かもしれません。

実践してみた方がいれば、ぜひ実施した感想を教えていただけると!
また一応グループでWS名を付けているのでなるべく踏襲いただけると。

「○○(チームやプロジェクト名)の△ヵ月を振り返る〜学びの△か条おすそわけワークショップ~」
※△には該当する数字を入れてください!

最後にこのワークを一緒に作ったかややん、せー、ながやん、ナベ、めぐるんに感謝と拍手を。
※グループのメンバーに記事執筆の承諾は得ていますが、この記事は一切個人の主観で書かれたものです。文責はすべて植竹にありますので、ご了承ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?