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「本を囲んだ語り部屋」2024/8/25中野信子さん『エレガントな毒の吐き方』

日曜朝のX(Twitter)スペース「本を囲んだ語り部屋」
8/25は中野信子さんの『エレガントな毒の吐き方』を取り上げました!!

副題は『脳科学と京都人に学ぶ「言いにくいことを賢く伝える」技術』となっているこちらの本、flierの要約にはこのようなまとめが書かれていました。
『相手との関係を断ち切るわけでも、黙って我慢するわけでもない。ふんわりと言い返して、相手が真意に気づいて行動を改めてくれたらOK、そうでなければ「なんて鈍い人!」とこっそり嘲笑して留飲を下げる――これが本書の提案する知的戦略「エレガントな毒の吐き方」だ。』

人間の脳は本来、ヒエラルキーで上位に立つために相手を言い負かす傾向があるそうです。しかし現代においては集団の中に様々な関係性があり言い負かすことは必ずしもいい結果となりません。その中で“言いにくいことを賢く伝える”コミュニケーションは脳科学的に見ても合理的という中野さんのメッセージは印象に残りました。

語り部屋では冒頭、この本で紹介されている京都人の「イケズ」について語り合いました。その中では、モデレータ仲間からの「イケズ」は相手の言語リテラシーを測り、コンテクストリテラシーを求めているという指摘は印象に残りました。コンテクストを理解するためには、言葉だけでなく文化なども含めた周辺知識が必要となります。自分の言葉の奥にあるコンテクストを想像できる相手であるかを見極めているコミュニケーションとして捉えることもできるかもしれません。長らく日本の都であった京都はさまざまな人が集まる土地であり、次に誰が権力を持つか分からないからこそ敵をつくらないことが一種の生存戦略だったとの指摘も本書には書かれていました。言葉を通じた生存戦略という視点は良い刺激となりました。

そしてハイコンテクストな言い回しの意味についても語り合いました。先ほどの生存戦略にもつながるのは、相手しかわからないコミュニケーション戦略です。イケズで有名なのは「元気なお子さんやねえ(=うるさいよ、静かにさせなさい)」とうフレーズですが、分かる人は「嫌みを言われている」と気づくが、そうでない人にとってはただの褒め言葉であるという点は特徴的です。コンテクストが分かる人だけが理解できるため、理解できない人はコミュニケーションに巻き込まずに済むというメリットがあります。現代ではSNSで言葉が一人歩きして炎上するケースもありますが、これはローコンテクストであるが故のデメリットかもしれません。ハイコンテクストは一般的にはコミュニケーションロスやミスが生まれやすくなると言われますが、ハイコンテクストだからこそ守れる人間関係もあると気づくことができました。

人間が他者とつながるためには言語が必要であり、言語には様々な知恵がつまっています。例えば最近では「よろしいでしょうか」を「よろしかったでしょうか」という「た」を用いる用法が増えていますが、これは過去形を用いることで表現を柔らかくする効果があるということを聞いたことがあります。現在形ではなく過去形を用いることで柔らかくする用法は日本語だけでなく「Would you」「Could you」など英語など様々な言語にもあり、話者の意図や気持ちを現実から離すことで、より丁寧に相手に伝えられるという効果があるそうです。

改めて中野さんの「エレガントな毒」というキーワードから、したたかに、しなかやに生き抜いていくための様々な知恵に気づくことができますね。合理的な知恵から学び、今日からのコミュニケーションに活かしていきたいと思いました!

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