見出し画像

「本を囲んだ語り部屋」2024/2/25外山滋比古さん『忘却の整理学』

日曜朝のX(Twitter)スペース「本を囲んだ語り部屋」
2/25は外山滋比古さんの『忘却の整理学』を取り上げました!!

『忘却は困ったことではない。それどころか記憶と同じくらい大切な心的活動だと考えるべきである。記憶と忘却は、「車の両輪のようなもの」と言うこともできるが、呼吸のようなものと考えた方が妥当だ。息を吸わなければ吐けないように、忘却しなければ記憶することもできない。』

忘却はすべてを忘れることではなく、その取捨選択は個人的で個性的であると書かれていました。忘却は創造的なはたらきの基盤であることに目を向けるべきというメッセージは非常に印象に残りました。

意図をもって忘却するためにはどうしたらよいのか?という問いから始まった語り部屋、みんなでワイワイ語らいながら深めていきました。

廊下をもので埋めては通りにくいように、頭の中も情報で埋め過ぎないことが大切という話は身につまされます。その中で本を読みながら時に何か感じることがあればパタッと本を閉じる時間を作るというモデレータ仲間のお話は印象に残りました。こちらの本でも情報過多の時代におけるインプレッションとエクスプレッションのバランスについて書かれていますが、外的な刺激を受けながらも自分の思考の時間を大事にしようとする姿勢は大事だと感じました。

そして「忘却の編集力」という言葉も印象に残りました。自分でも1年前のある人の言葉が今の自分につながっているとふと思い出すことがあります。当時やり取りしたいろいろな言葉が自分の中に一旦沈み、何かのきっかけである言葉が浮かび上がってくるような感覚です。「忘却の編集力」という言葉から、記憶と記憶をつなげることもある一方で、忘却によって自分にとって意味あるものを浮かび上がらせることもあるように感じました。

また身体性と忘却力も面白いテーマだと感じました。特にランニングなど自分と向き合うスポーツにおける思考と忘却の関係は興味深いです。今日話をしていただいたアスリートのリスナーの方は走っている最中には考えているが、走り終わるといろいろ忘れているというエピソードを紹介いただきました。その話から思い出したのは『走るときについて語るときに僕の語ること』という本も書かれている村上春樹さんです。村上春樹さんは小説家の大事な資質として集中力あげており、毎日コツコツと書き続けるためには集中力を持続させるための体力が大切だと言います。まさに健全な精神はに健全な肉体に宿るということを思い出します。走ることで考えることと忘れることの両方を鍛え集中力を養っているように思いました。ぜひ身体性と忘却力の関係についてさらに深めていきたいと思いました。

忘却をネガティブに捉えていた自分の思い込みが解かれていく感覚が楽しい時間となりました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?