【魔法の矢】



むかしむかし」ではじまるおはなし。
「めでたしめでたし」でおわらないおはなし。


暴君がいた。
圧政を嘆いた老騎士が、
亡村の少女を魔女の森で育てた。

数年後、
少女は暗殺者として王城へ向かう。
魔女に授かった魔法の矢には、
持ち主の姿を見えなくする魔法がかかっていた。



門番は、彼女を無視した。
召使も、彼女を無視した。
老騎士すら、彼女を無視した。

少女は誰にも見咎められることなく、
玉座へと辿り着く。

質素な弓につがえた矢は、
まっすぐに飛び、



暴君の肩を貫いた。



暴君は叫び、助けを求めたが、
彼の姿は誰にも見えない。

声は徐々に小さくなり、
やがて、聞こえなくなった。



魔法の矢を手放した少女は兵士に捕まり、
その後は行方知れず。

暴君の葬儀は、カラの棺で行われた。

老騎士は若い新王の後見人となり、
国は豊かに、長く栄えた。


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「……これが、この地域に伝わる【見えない矢】または【魔法の矢】という伝説のあらすじです。」


「このおはなしは実際にあった歴史がベースになっていて、老騎士・バイダンを首謀者とする一派が、当時の王・アイザル2世の暗殺を企て、その息子クライゾを……あ、細かい話は省略しますね? とにかく、」


「この伝説は、本当にあったことらしいんです。」


「もちろん、魔法の矢というのは暗喩であり、王城の人間には既に老騎士による根回しが済んでいて、暗殺者の少女を見て見ぬふりをした。その際に目印とした品が【魔法の矢】の正体である、というのが歴史家の間での通説です」


「しかし……」


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※分岐

①【魔法の矢】は、
本物の魔法の品(マジックアイテム)だった。/暗喩であり、ただの目印だった。

②このあとの主な舞台は、
王城になる/街になる

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《本物・王城へ》

《本物・街へ》

《ただの暗喩・王城へ》

《ただの暗喩・街へ》

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