Inside Theater VOL.1「SECRET CASINO」体験記
つい先ほど、「SECRET CASINO」に参加しましたので、一体これは何だったのかについて、記事を書きながらまとめたいと思います。
以下、ネタバレは無いのですが、しかし「何が起きるか分からない」ドキドキを持ったまま体験したほうが、制作者の意図に沿っていると思いますので、参加予定の方は読み飛ばした方が良いです。参加しようかどうかまだ分からない方は、特設サイトのURLを貼っておきますので、こちらを見てからご判断ください。
\『SECRET CASINO』特設サイト/
https://mysterycircus.jp/secretcasino/
これはイマーシブシアターだった
端的に言えば、WEBとZOOMを使って行われる体験型インタラクティブオンライン演劇です。始まる前に電気を少し暗くしてくださいと言われるのも、まさに没入体験のためですね。これから参加される際は是非とも部屋を薄暗くしてください。そして、物語へは参加者が積極的に干渉し、リアル脱出ゲームに近いゲーム性があります。
でも、ジャンル名の掛け合わせだけでは無い何かがあってそこが重要だと思ったので、それを書き留めようというのが今回のnoteの主旨です。
どんな体験だったか
NYの有名なイマーシブシアター「スリープノーモア」の参加者は物言わぬ幽霊でありアノニマス(匿名)ですが、この「シークレットカジノ」はドレスアップして顔出しして参加します。ビデオ・マイク・チャットなしの匿名にもなれますが、全員が無発言では物語はバッドエンドを迎えるしかないでしょう。
参加者は(私の回は87名いました)は、ある依頼付きの招待状を受け取って参加します。最初の20分間は、カジノ・バー・ライブ・マジックの4つの部屋を行き来して世界を楽しみます。たまに通話が許可されて、部屋主と会話することもできます。バーテンダーとお話したり、マジックを体験したりが、普通に体験できます。
その後、物語は進みチャットが解放され、インタラクティブなドラマが始まります。参加者全員が協力してある目的を遂げようとするところは、リアル脱出ゲームに近いです。
そのゲームの仕掛けが、まさにこの世界を体験型劇場に変えるやり方でした。技術的には昔からよくある仕掛けではありますが(謎解きでは無い)、ZOOMとの組み合わせは初体験です。参加者としても慌てるもんだから、より没入しました。
間違いなく面白かった
いやぁ、体験して良かった。面白かった。ちょっと涙した。3000円は私にとっては適正価格です。さらに言えば、先行事例としての価値はかなり高い。この形の公演は一回限りでは無いでしょう。
凄いところ
・成立させるため役者の即興能力がとても必要。参加者をいかにコントロールするか、リアル脱出ゲーム的なデバッグも必要。作るのは難しそう。
・設定を本当のこととして体験できてしまう興奮があった。
・チャットを使った一体感も、凄かった。みんな仲間、みんな必至。
戸惑ったところ
・e-plusから来る購入時に来るメールからログインしようとしてできなくて、焦った。インサイドシアター事務局からメールが来ていたことに、ギリギリになって気づいた。
・自分の部屋の電気はスマートライトだけども設定が消えていたため、照明を暗くするのに手間がかかった。事前に言っておいて欲しかった。
・ほかにも、客の環境にいろいろと事前準備が必要。PCやZOOMの設定はもちろん、お酒を用意したり襟のついた服を着たりした方がより楽しめる。そのまま見れる劇場と比べ、別種のハードルがある。
・演者とどこまで会話して良いのか、分からなかった。見つけてしまった秘密を演者に話しても良いのか悩んで、結局話さなかった。いま思えば話しても良かったんだろうな。新しい遊びなので暗黙のルールがどこにあるのか考えてしまう。
これは新しく何を成し遂げたのか
通常のリアル脱出ゲームだと、少人数のグループに分かれて進行されます。しかし、シークレットカジノは大人数でいっぺんに進行します。その分、長い芝居を可能にし、それがストーリー面からの感動を呼びました。
通常の演劇とも明らかに違うのは、キャラと会話をすることにより、キャラに対して知人として感情移入をするところ。私がキャラを知ってるし、キャラも私を知っている。この相互関係は新しいように思います。
最後にカーテンコールが無かったのも、これを分かっていたからじゃないかな。キャラから演者になって世界を終わらせる必要性については、作品によって違いがありそうですが、今回は、この世界と地続きのままでした。
今後の展望について
多分これ、多くの問題点に立ち向かいながら新しい体験を届けることに成功した、パイオニア的な作品になると思うんですよ。サービスとしては整っていましたが、しかし、一体これのどこに最も価値があるのかは多分まだ判明していません。
最初の20分をもっと長く体験させる形の公演もありでしょう。世界観を自由に楽しむことに重きを置く。演劇界のオープンワールド!
キャラと知人になることに重きを置くのは危険が伴うものの、かなり良さそうです。役者のファンとは全く違う強固なリピーターになるでしょう。
参加者同士のコミュニティ形成という道もまた危険性はありますが、あり得そう。公演中、事件を共に体験した仲間という意識は強くありました。チャットで提案された方々の頼もしいこと。素晴らしい体験でした。
またこういうのが出たら参加すると思います。思いますが、「こういうの」かどうか分かるためには、ジャンル名が欲しいですね。
なんだろう。とりあえず今なら、MMOイマーシブシアターでしょうか。もちろんInside Theater VOL.2にも期待しておりますが、1ジャンルになるほどになれば、それは楽しい未来だと思います。
\『SECRET CASINO』特設サイト/
https://mysterycircus.jp/secretcasino/
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