見出し画像

第111回:最新解説!規制改革実施計画2024の目玉とは?

1)規制緩和の今後を見通す!規制改革実施計画とは

規制改革実施計画が6月21日に閣議決定されました。骨太の方針や成長戦略と同様に、すべての閣僚合意によって決定される政府最高レベルの意思決定である閣議決定によるものです。私はこの3つの閣議決定が政策提案に関わる人にとっては最重要のものと考えています。

 規制改革実施計画は、その名のとおり規制を変えていく(多くの場合緩和)、ということに重きが置かれています。

 役所の政策ツールのひとつに「規制」があることについては、以前からお伝えしています。規制の本質は「人の行動を強制的に変える」ことにあります。各省庁は、社会を変えていくために、規制の一つである法律を使うことがあり、そのため、各省庁が仕事をすればするほど規制は増えていきます。

 一方で、時代が移り変わるにつれて、いらなくなる規制も増えてくるはずです。例えば工場などのクオリティを担保するための設備管理が事業者に義務付けられているとします。

デジタルが発達していないころは、人が直接工場に出向いて、その状況を確認する、という規制が必須だったかもしれません。でも時代は変わりました。

デジタル技術も発達してきていますので、もしかしたら監視カメラだけで十分事足りるかもしれません。

そんな時代の変化を敏感に察知して、各省庁の規制をアップデートするために、規制改革実施計画は毎年出されているのです。全国一律に規制緩和を実現できるという意味で、強力な力を持っていると言えます。

 なお、規制改革を一部の自治体や企業単位で規制の特例を設ける(一定の条件の下で規制を緩和する)ツールはほかにもあります。

・自治体単位でルールを緩和する仕組みである「国家戦略特区」
・企業単位、プロジェクト単位で実現する仕組みである「規制のサンドボックス制度」
 ※新たなビジネスモデルの実施が、現行規制との関係で困難である場合に、実証により得られた情報やデータを用いて規制の見直しに繋げていく
・規制の解釈・適用の有無を確認する「グレーゾーン解消制度」
・企業単位で、規制の特例措置の適用を認める「新事業特例制度」

 

この記事では、全国一律に規制緩和を実現しようとする「規制改革推進会議」という組織と、その答申から生まれる「規制改革実施計画」について解説していきます。

・規制改革推進会議とはどのようなスケジュールで、政府内でどのような位置づけを持つのか
・その答申に影響を及ぼすメンバーとは
・影響力を持つメンバーにいかにアプローチするか
・規制改革実施計画2024の「目玉」とは

政策提言を考えていくうえで「基本のキ」といってもいい「骨太の方針」「成長戦略」と共に閣議決定されるものであるにも関わらず、ニュースなどでもちょっと地味?な扱いを受けるようにもイメージされる規制改革実施計画。その本当の姿について知ってみてください。


 (執筆:西川貴清、監修:千正康裕)

ここまで御覧いただきありがとうございます。単品記事は1本1,000円ですが、定期購読すると月々3本2,000円でお得です。また、初月は購読料無料となっております。ぜひ定期購読をご検討ください。

ここから先は

10,285字
この記事のみ ¥ 1,000

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?