ウクライナ情勢雑感その4
前回の投稿から少し時間が立って、戦況で大きく変わったということがあるとすれば、ロシア軍が予想外に苦戦という情報が増えてきたということ。
これはあまり予想していなかった事態で、もちろんいいほうに事態が転がっているということなのでうれしい予想外ではある。が、どうしてこのような状況が生じたかということに考えてみると、
西側(特に英米)の諜報力が想定以上
西側(特に英米)のウクライナ支援が想定以上
ロシア軍の見通しの甘さ、準備不足
など。その中でも特に1番目の諜報力については、特筆すべきものがあるようだ。
テレビの報道番組を見ていて知ったのだけれど、2014年のクリミア半島へのロシア侵攻の際に、当時のアメリカは侵攻の事実を掴んでいたにも関わらず機密情報の漏洩を恐れるあまりに秘密にしすぎてせっかくの情報を台無しにしてしまったという経験があり、今回は知り得た情報を、情報源の特定に臆することなく、早期に世界に向けてシェアする方向性に切り替えたという。
実際にロシアが侵攻するということをバイデン大統領が2月24日の侵攻以前に伝えていて実際にそうなった。これをもってアメリカがロシアの侵攻を呼び込んだみたいなことも言われたが、実際にはそういうことではなくて、上記のような判断の上での早期情報公開だったわけだ。
そうした観点から見るとたしかに、最近だとプーチン氏に情報が届いていないとか、そういうことがすでに報道官から述べられているけれどもこうした情報が確証のない状態で述べられるはずもなく、とはいえかなり重要な情報なので、いかに先端の情報がリアルタイムに世界に向けてシェアされているのかというのが実感できる。アメリカの大きな戦略の変更であり、とてもよく機能していると思う。
* * *
ただこうしたロシア軍の意外な?苦戦、戦況の変化によって何かが変わるのかというと、たぶんまだ変わらない。なぜなら戦況が変わったからといってプーチン大統領が自らの主張を崩すとは思えないからだ。彼が主張を崩すときは彼自身がロシアの首長の座を降りるときであり、それを彼自身が行うとは到底いまのところ考えられないからである。
こうしたことによって、ロシア軍は東地区への重点攻撃に作戦を変更しているらしい。ウクライナ全体はだめでも、東地区はなんとしてでも奪取したい、ロシア系住民が多いからそれぐらいならできるだろう、みたいなふうに思ってるんだろうとおもう。そのために、こうしている間も、
東地区でロシアに制圧されてしまった地域から人民のサハリンへの輸送が開始
化学兵器、核兵器の利用についての偽旗作戦
自らが爆撃した地域で食料の配給などを行い国内向けの偽情報の生産
などを実施して、実質的な東地区の奪取に力を注いでいるように見える。
第三者的に見ていると、実際にウクライナの東地区の住民たちがマリウポリであれほどの爆撃が起きているので、そんな要求に対しても最後まで抵抗すると思うけれども、実際に被害にあっている現場がどのような状況になっていて、住民たちの心情がいかほどのものかは、想像の域を超えているのでなんとも予測しがたいが。
基本線としては、大本に立ち返って、そもそもロシア進行以前の起点に戻らなければならない。そして、そこから先ロシアがウクライナに対して行った蹂躙にたいして完全なる補償を償わなってもらう。国際社会のルールに基づくとはそういうことなのだろうと思う。
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