Jazz練習帳-1926年にLouis Armstrong and His Hot Fiveによって録音された『Muskrat Ramble』を学ぶ
目標
ジャズピアニストEthan Iversonが自身のブログで、初心者はLouis Armstrong(ルイ・アームストロング)やLester Young(レスター・ヤング)の引用とあとはブルース風のフレーズを合わせてインプロすればいい、と書いていた。この『Muskrat Ramble』は、Armstrongの演奏のなかでは比較的コピーして演奏しやすいと言える。
トランペットやコルネット以外の楽器の人もArmstrongのソロを覚える価値はあるだろう。リズムや、ひとつひとつのフレーズが意味を持っているような簡潔さなど、学ぶところは多い。
クラリネット、コルネット、トロンボーンのトランスクリプションも上げておく。当時のニューオリンズの集団即興のやり方が短く(1920年代のレコーディングのためなので)まとめられている。
概要
録音日、場所、演奏者、作曲者
1926年2月26日、イリノイ州シカゴ
Louis Armstrong (cornet)、Johnny Dodds (clarinet)、Lil Hardin (piano)、Kid Ory (trombone)、Johnny St. Cyr (banjo)
作曲者としてはKid Oryがクレジットされている。この録音のための器楽曲。
楽曲の構成
テーマ (前半)8+8 (後半)8+8 (aa'bb')
トロンボーンソロ 16 (bb')
コルネットソロ 16 (bb')
クラリネットソロ 16 (bb')
テーマ前半のヴァリエーション 16 (aa')
コーダ風のテーマ前半のヴァリエーション+短いエンディング 16+2 (aa'+エンディング)
aa'の和声構成
(a) I / V7 / V7/ I
I / iii (第2転回、ヴァリエーションではVII7) / VII7/ iii V7
(a') I /V7 / V7 / I
VI7 / II7 / V7 / I
bb'の和声構成
(b) V7 / V7 / I / I
V7 / V7 / I / I
V7 / V7 / I / I
VI7 / II7 / V7 / I
Armstrongのパートを覚える
移動ドで歌って覚える
下はCメジャーに移調されたArmstrongのパート(トロンボーンソロの部分一部省略)である。階名唱するなら、移動ドでやってみてほしい―任意の音を最初の音にして、それをドとして歌う。階名唱が苦手ならスキャットでもラララでもよい。声が出ないところはオクターブ下げるなど、無理しなくてよい。要は「音がわかる」ことが目標だ。
また、リズムだけを取り出して手拍子することを勧める。
コルネットソロにどんな音が選ばれているか注意する。コードの構成音を逐一拾うようなことはしていない。
クラリネット、コルネット、トロンボーンパートのトランスクリプション
各楽器のキーで書かれたスコア
音程のあいまいなところ、聴き取りにくい箇所は、私の考えで定着しておいた。レコーディングを聴くと、キーはだいたい実音でGのように聞こえるものもあるが、後のライブ演奏などの録音ではAbで演奏されているので、Abで書いた。アーティキュレーションなどは書き込んでいないので、録音を聴いて参考にしてほしい。
実音スコア
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