銀玉鉄砲
子供の頃、感情を表に出すのが苦手だった。小学生の3~4年の時くらいか、近所のお姉さんと他の何人かに混ぜてもらい、銀玉の鉄砲で今でいうサバイバルゲームのような遊びをしたことがある。そのお姉さんは小学生高学年、ぽわ〜んとした雰囲気の顔とちょっと冷静なところがあるような人だった。胸がとても大きなお姉さん。サバイバルゲームでお姉さんが敵側になった。場所は神社の境内。木々や名前のたくさん彫ってある大きな石板、離れの倉庫、神主さんの詰め所、裏の林や林道。隠れる場所がちょうどよくある。背後を取ろうと倉庫の裏の細い道を進む。角を曲がったところでお姉さんとばったり出くわした。お姉さんと目があう。ドキッとした。それを表情に出すことが恥ずかしく、無機質に銃を構える。そこが戦場だからではない。「無表情ね。何考えてるの?」僕はそれには答えず鉄砲を打った。玉が当たったかどうかは思い出せない。当たっていて欲しいような、外れて欲しいような。そのお姉さんと遊ぶのは最初で最後だった。
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