第3回 君はミカンを語れるか?

【すぐにでも文章が書けるようになっちゃうぞ講座:第3回】


□簡単な実践に入っていきますよ。

さぁ、めっちゃ簡単にコラムが書けまんねん講座(講座の名前が毎回……以下略)も第3回に入ってまいりました。

きっと皆さんは懸命に漫才を聞いて笑っている事と思います。

これからも、それはそれで聞き続けてくださいね、ま、面白いですから苦にはならないと思いますよ。

で、今回は実践編でございます。

すこーしながいですが、ちょっと頑張りましょう。


●ここにミカンがございます。

はい、ではここからは妄想の世界です。

あなたの目の前にミカンが一つあると仮定しましょう。

実はコラムに限らず文章を書くうえで、この妄想というか想像力っていうのはかなり重要ですので、できるだけ詳細に思い浮かべてください。

私はミカンなんて産まれてこの方見たことがないっていう人は、まぁそりゃドリアンだろうがマンゴスチンだろうがジャボチカバ(南米原産)だろうが、あなたの好きな果物を想像してくださいね。

果物なんて見たことがない人は……もう、何でもいいから想像してください。

ただ、果物でなくてもあなたの好きなものですよ。

マッチョなお兄さんとか、美少年とか。メロンパンの耳だとか。

はい、想像しましたか?

では次、今あなたは電話かスカイプかライン通話か、はたまたテレパシーでも宇宙とのチャネリングでもなんでもいいから、声だけでだれか相手とつながっているのだという状況を想像してください。

そしてその通話相手は「ミカン」を知らない。

まるっきり、ほんとにもうみじんも知らない。見たことも聞いたこともない。

ミカンと聞いた途端に「え?その娘可愛いの?」とか言うくらいに、なぁんにもまったく知らない。

で、あなたは身振りも手振りも使えません、もちろん画像送信とかも不可。

そんな状態で、ミカンを全く知らないその人に、ミカンとは何なのかを伝えてみましょう。


●説明の第一歩は基本情報

まずは、説明するためにミカンの特徴を抑えましょう。

甘い、丸い・オレンジ色・表面がぶつぶつ・いい匂い・コタツに合う・値段が安い・体にいい……等々。

はい、これどう思います。じつはこれ100点満点でいうと2点です。

説明する上で、まったくダメダメな特徴ですね。

相手はミカンの事まるっきり何も知らないのです。

上の説明聞いて、荒れ気味のオレンジ色の肌で(肝臓悪そうだな)甘い誘いが得意な、いい匂いでコタツの似合うお手頃価格な売春婦と思うかもしれない。

しかも体にいいんですから、これは!なんて思っちゃうかもしれない。

結果、みかんちゃん(年齢不詳)を探して夜の街をさまよったらえらいことです。

人生狂います。

……ま、まぁそれは極端ですが、にしても、そんな、ミカンについてまったく知らない相手に対して、一番に伝えなければならない大事なことは何なのか。

それは当たり前の基本情報です。

そう、つまり。「ミカンは果物で、野球のボールくらいの大きさ」から始まらないといけないわけですね。

実は現実のブログでもこれが出来ていない人が結構多い。

自分が知っていることは当然相手も知っているはずだ、という思い込みからいったい何の話をしているのかさっぱり見えない。

文章は書くためにあるんじゃなくて読むためにあるんです、いつも読み手を意識する。これ一番大事なんですね。

だから、読んでる人に伝わってなきゃダメなんです。

それを踏まえてミカンの説明です。

あ、文章で考えなくていいですよ、自分で「言っている」という形で考えてください。


●みかんを食べたいと思わせてなんぼ。

じゃぁやってみましょう。

「えっと、ミカンっていうのは、まず果物なのね、食べ物なのよ。で、まるっくて野球のボールくらいの大きさかな、味はあまいの、匂いもよくて、からだ、にいいんだよ、あと皮むくのよ、汁気多くて、それで、すっぱみもあって、あ、そう、中が小房に別れててね……」

はい、じゃぁこれなん点でしょう?

これ、30点ですかね。

何がいけないのか、それは説明する場所がバラバラに出てるところ。

基本情報をまず抑えて(ここは良い)。そのあと、味、つぎ匂い、そして健康面、食べ方、そして特徴、ここでまた味、で最後にまた特徴。

流れがハチャメチャで行ったり来たりしています。

これじゃぁ読みにくい。

ではここで、ジャンル別に分けてみましょう。

「えっと、ミカンっていうのは、まず果物なのね、食べ物なのよ。形は丸くて、野球のボールサイズ。で、味は、甘くて、ちょっとすっぱみもあって、で、匂いはとてもいいの。あと皮をむいて食べるんだけど、中が小房に別れてて、汁気も多いのよね。で、体にいいの」

ほらすっきり、これで大体70点ですね。

ここで、ちょっと工夫をしてみます。これにストーリー性をつけるわけです。

ミカンの説明にストーリー性?とお思いかもしれませんが、こういう感じです。

「えっと、ミカンっていうのは、まず果物なのね、食べ物なのよ。形は丸くて野球のボールくらいで、それで、外側がちょっと堅い皮に覆われているんだけど、それに指を入れて剥いていくと中から小房に別れた中身が出てくるのよ、もうこの段階で超いい匂いなのね。それをひとつづつに分けて、中の汁を吸うように食べるんだけど、これが結構汁気が多くて、それが甘いの。で、ちょっと酸味もあったりして、あと止まらなくなっちゃうのよねえ。しかも、これで体にいいんだからね。」

はい、おいしそう、はい食べたい。

ね、なんかすごくいい感じになってきたでしょ。

じゃぁこれは、他と、何が違うのかってことなんですけど、まず一番違うのは話の流れ。

この説明だと、話の流れがミカンを実際食べる時の時系列になっているんです、実はこれがストーリー性の第一歩。

物語は時間軸で動くものですから。

そしてもう一つが、目的。

最後の奴は、もうただの説明ではなくて、大好物を相手におすすめしようとしているのがありありとわかりますよね?

好きだから「食べてほしくて」伝えたい。

そう、この「食べてほしくて」が、説明の目的なんです。そして、よい文章に必要なのがこの目的なんですね。

説明を聞いた後、相手が「ミカンってさっぱりわからん」だと0点。

「ミカンってそういうものなんだねぇ」で、50点。

「ミカンってそういうものなんだ、食ってみたいなぁ」で100点というわけです。

ここで、おいおい、説明しろって言っただけでお勧めしろって言わなかったじゃないか!とお思いの方もいるでしょう。

おっしゃるとおりです。

しかし、おっしゃるとおりですが、実は相手が食べたいと思わせるように説明した方が、よりよく「わかる」はずなんですよね、ミカンの事が。

つまり説明としても、より分かりやすくなっているはずなんです。

もちろん勧めるんじゃなくて「やめた方がいいよ、食べるの」でもいいんですが、このように説明っていうのは「なんで説明したいのか」という目的が入った方が伝わりやすいんです。

と、言う事で本日のまとめ。

「ミカンを売ってるつもりで説明しろ」

と、いうわけで、今日からいろんなものを説明しようとしてみてください。

身の回りにあるどんな些細なものでも構いませんので、それを全く知らない人にしゃべりだけで説明する練習。

これで、相手を意識してより分かりやすく伝える。

というスキルが身につきます。


文章マスターまで、あと一歩です。



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