実写版ぐらんぶるを観て
こちらは、八月七日公開の実写映画『ぐらんぶる』を、原作漫画・アニメ好きのスキューバダイバーがダラダラと書いた感想文となります。
記事の前半は映画のネタバレなし、後半は原作漫画ネタ含む映画のネタバレあり、となっております。お暇な方で、実写映画『ぐらんぶる』が気になるよ、という方のみご覧下さい。
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私の趣味はスキューバダイビングである。
あの透明な青い世界、海面に見える美しい太陽、色とりどりの魚たち、無重力の感覚は荒んだ心を綺麗にしてくれる。ダイビングは私のヘドロのような心を、洗濯してくれる手段なのである。
今年、生活環境が変わり、休みが取りやすくなった。よっしゃ、それならばダイビング旅行にニ〜三回くらいは行こう! そんな私の画策は、世界中で流行している新コロナによって水泡と帰した。現在進行系で、泣きたい。
だが、私には、まだひとつ、ダイビングに関する楽しみが残っていた。
そう、実写映画『ぐらんぶる』である。
──『ぐらんぶる』。
それは現在『good!アフタヌーン』で連載されている漫画であり、数年前にはアニメ化された、ダイビングのインカレサークル(※)を舞台にした日常時々ダイビングの作品である。
※複数の大学の学生が、大学の垣根を超えて入会できるサークル
同じダイビングを主題にした作品に高校生のダイビングを描いた漫画・アニメ『あまんちゅ!』があるが、『ぐらんぶる』はその作品にちなんで、よくこう評される。
そう、“汚い『あまんちゅ!』”だと。
なにせ『ぐらんぶる』は、飲む飲む飲む脱ぐ脱ぐ脱ぐ、登場人物の殆どが基本的に衣服を着てない、ちょっと(ちょっと?)お下品な、どんちゃん馬鹿騒ぎ作品なのである。
私は『ぐらんぶる』という作品を、原作漫画・アニメもどちらも楽しく嗜んでいたのだが、実家映画化すると知った瞬間思わず呟いた。
「正気か?」と。
しかも主演は獣電戦隊キョウリュウジャー キョウリュウレッドである竜星涼さん、仮面ライダービルド 犬飼貴士さんといった、未来明るいイケメン俳優である。
心の底から、思った。
「企画した人、正気か? 企画と事務所オーケー、よく通ったな?」と。
役者さんにも未来と人権がある。これはきっと、実写映画によくある、爽やかな青春ラブストーリーになってしまうに違いない、そう思っていた。
ところがどっこい。
何故か上映開始から一年経っても映画館で上映されているトリガー作劇場アニメ『プロメア(※)』の前に流れた予告編を観て、私は思わず心の中でつぶやいた。
「制作陣は、ホンマに『ぐらんぶる』をやろうとしている……」
主演二人はまごうことなく全裸だし、ムキムキマッスルメンズがそれはもう楽しげに裸で踊り狂っている。原作であったたくさんの全裸男性との渚での追いかけっこまで再現されている。
ケチをつけるなら、キャラクターの髪色や髪の長さが違うこと、股間が原作では●なのに対し、実写映画ではモザイクであることくらいだ。
予告を見た瞬間、私は「やべえぞ、この映画……」と期待する気持ちを抑えられなかった。
※『プロメア』は現在アマゾンプライムビデオで視聴しているので、見たことない人は是非とも見てください。
そして、八月七日の公開初日を迎え、私は迷うことなく映画館に足を運んだ。
物理的に服を脱ぐと痴女で捕まってしまうのできちんと洋服は身にまとっているが、いわば心の衣類を全て脱ぎ捨てて全裸待機の状態であった。
そして、実写映画『ぐらんぶる』の世界に飛び込むこと二時間。
──結論から言って、最高でした。
原作以上に脱ぐ、脱ぐ、脱いでいる。
あれ? おかしいぞ、冒頭はすごくきれいで素敵なダイビング映画な雰囲気が醸し出されていたのに、気がつけば先程から画面が肌色祭りである。
竜星君は日焼けしたしっかりした肌色、犬飼君は日焼けしてない薄い目の肌色。
主演二人と、彼らが属するダイビングサークルの先輩たちが服を着ているカットを探すほうが大変だ。
しまった。だんだん私の脳みそが、画面からあふれる肌色と乳首のせいで、ゲシュタルト崩壊を起こしてきた。このままでは、衣服を着ていることの方が奇怪に思えてしまう……!!
それくらいに、この映画は『ぐらんぶる』であった。むしろ、特定のシーンに関しては、漫画や原作以上にはっちゃけているのではないだろうか?
主演の親が四回泣いたという予告のキャッチフレーズも頷ける。
映画館で見ている我々は思わず声を出して笑ってしまうほど、主演二人の衣服の脱ぎっぷり、そして心の鎧の脱ぎっぷりは潔いものだった。確かにこれが自分の息子なら、大声で笑い倒して一生ネタにするか、せっかくイケメンに産んだのにとさめざめ泣くかの二択しかない。
原作漫画やアニメファンの方には「え〜『ぐらんぶる』実写化とか、ちゃんと脱いでます?」という方もいると思われるが、断言しておこう。
「安心してください、履いてません」、もしくは「パンツしか履いてません!」と。
ここまで己を脱ぎ捨てて全力で、主人公伊織とその相棒耕平を演じた、竜星君と犬飼君には最大限の敬意と称賛を払いたい。
ブラボー! いい身体、いい尻をありがとう!!
勿論、主演二人以外も最高だった。
ヒロイン千紗役の乃木坂46の与田さん。正直、前夜祭などで喋っているのを見て、こんな可愛くて天然ぽい子に、クーデレ千紗をやれるのか疑問に思っていた。けれども、映画の中の彼女は、可愛くてちょっとクールな女の子を演じてくれていた、とにかく可愛かった。
千紗の姉の奈々華役、朝比奈さんは、原作漫画・アニメ以上にパワフルなシスコンぷりを披露してくれていた。プロレス技、とっても最高でした。
バイのセクシー女性梓さん役、小倉さん。ありがとうございます、たわわなおっぱい、女性の私から見てもごちそうでした……。たゆんたゆん……。
愛菜役の石川さんに関しては、はじめは愛菜ショートカットじゃないし、大きい子なのかとガッカリしていたのだが、コメディな演技がとても良かった。
寿先輩や時田先輩を始めとするピーカーブーの先輩方。はっちゃけた飲み会の演技がとにかく素晴らしかった。そして何よりも、ありがとうございます。いい裸体、心の栄養剤になりました。
そして最後に、この映画で主演以外ですごい人を忘れてはならない。そう、千紗と奈々華の父役、髙嶋政宏さんである。正直、この方が一番、よくこの台本でこのオファー受けましたね!?となった。いいのか、東宝芸能。
正直なところ、今年に入ってから、趣味であるダイビング旅行は潰れるわ、他の趣味である同人イベント、舞台(2.5次元舞台や宝塚)の観劇予定は潰れるわで、かなり気が滅入っていた。
だが実写映画『ぐらんぶる』のおかげで、ダイビングの疑似体験ができたし、久しぶりにマスクをしながらではあるが声を上げて笑うことができた。すかっと、頭の中を空っぽにして、笑うことができた。
そういった意味では、見てよかったと心から思う。(ダイビングシーンで、ダイビングに行きた過ぎて泣いてしまったのはまた別の話)
最近あんまり笑ってないなと言うあなた。
ダイビング興味あるなというあなた。
特撮ヒーローが好きだったというあなた。
可愛い女性が好きなあなた。
男性の裸を堂々と見に行きたいあなた。
新コロナで大変な時期ではあるけれど、もし、映画館に寄ることができるのであれば、実写映画『ぐらんぶる』を見るのも良いのではないでしょうか。
ちょっと心の衣服が脱げて、スッキリするかもしれません。
というわけで、実写映画『ぐらんぶる』感想でした。
ご拝読、ありがとうございました。
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さて、ここからは、映画のネタバレあり感想となる。
私は原作漫画・アニメが好きで、基本的に実写映画『ぐらんぶる』は楽しめたし、ほぼほぼ満足である。
ただ原作漫画・アニメファンとして、ここは残念だったなー、と思うところがちょっぴりあるので、そのメモ書きだと思っていただければ幸いだ。
伊織と耕平がピーカーブーに所属するまで、私は楽しかった。尺が長いことは確かであるが、全裸トランポリンや、全裸校内ダッシュの下りは、思わず声を上げて笑ってしまったし、はっちゃけっぷりは原作漫画・アニメ以上ではなかろうか。
ただ個人的に勿体無いなあ、と思ったのは、学祭のミスコンと、伊織が同級たち自室で千紗の関係を詰め寄られるくだり。このあたりのテンポとか展開が、原作漫画やアニメを知っているともたついたように感じてしまった。
多分、千紗の下りはスーパーボールはうまくやれないもんね、とは思うものの、大暴れさせる必要はあったかなとは思わなくはない。伊織の自室のやり取りも、ギャグのテンポが私の肌感には合わなかったかな、という感じ。
ダイビングショップのウエットスーツのシーン。不満とかではないが気になったのは、原作やアニメのエヴァのプラグスーツではなく、ダーリンインフランザキスに変わっていたこと。権利関係だろうか、それとも制作陣が好きなのか。オタクなので思わず気になってしまった。
あと、ミスコンの賞金が、原作・アニメ:沖縄旅行から、映画:マイ器材を買う費用に変更されたのは、舞台が、原作・アニメ:伊豆→映画:離島(言及されてないがおそらく沖縄)に変更されたからだろう。
それはわかるのだが、ダイバーとしては、普通初心者にフル装備買わせないよ……。レンタルさせてくれるよ……。この映画見てダイビング始めようと思った人が器材買わなくちゃ! ってなったらどうするの……。そんな具合にもどかしくなってしまっただった。
あと、細かいところだけど、経験者の千紗や他のピーカーブーのメンバーのウエットスーツが綺麗すぎるのも地味に気になった。まあ、これは、こだわりの部分なので特に……。
そして、最後に。
ここからは映画のオチのネタバレになるので、映画をまだ見てない人は、スクロールなんてせずに、そっとこの画面を閉じていただきたい。
いいですね?
さて、原作・アニメの熱烈ファンが実写映画を見たときに一番引っかかるのが、伊織と耕平がダイビングに拘った理由だと思う。
映画は、先程も述べたとおり、離島である。本土に脱走できない彼らは、実は、脱走する手段としてダイビングに目をつけていた。ダイビングのライセンスを取れて喜ぶのも、実は脱走の手段を手に入れたからだった、というのが作中貼られていた伏線であり、オチだ。
このあたりは、原作やアニメで、千紗に「新しい世界を味わうこと」をダイビングの目的と語っていた伊織を知っている人間からすると、かなり不服に思うと思う。
ダイバーとしては、そこに、タンク一本で離島から本土まで渡れるわけねえべ、というのも足されるが、それはそれとして。
私は「最終的に伊織も耕平もダイビングの楽しさに目覚めたからそれでいいや。まあ、作品のロケとか設定的に、舞台を離島にしないとだったんだろうし、仕方ないよな。許容範囲かな」と納得はしている。
でも原作・アニメがめちゃくちゃ好きな人にとってはこの部分が、最大のネックになりかねないのが、ちょっとだけ気になるのであった。
そういうわけでエンディング映像も可愛いし、上記のような点もあるものの、私は概ね実写映画『ぐらんぶる』に満足したし、もう一度見たいし、早く円盤を買って作業中に垂れ流しにしたいと思っている。
でも、原作・アニメのファンにとっては、ちょっと違うかなあと思う人がいるかもしれないし、そういう人の気持ちもわからなくないよ! というところである。
逆に、原作漫画やアニメを全く知らない人からすると、頭を空っぽにして楽しめるのではなかろうか。
というわけで、実写映画『ぐらんぶる』感想、今度こそ、ここでおしまいです。
長々とした感想でしたが、最後までご拝読くださり、ありがとうございました。
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