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臆病な女子にライセンスを! 第15話 トラブル

2段階の教習はほぼ路上教習となる

2回だけ方向転換や縦列駐車の練習があった
その練習は所内教習だ
久しぶりの所内教習が新鮮に思えた

急ブレーキの体験もあった

左後ろの座席にシートベルト無しで座って、時速7キロでの急ブレーキ
びっくりしたのは、体が浮いたこと!
次に、シートベルトを着けて座って、時速20キロでの急ブレーキ
当然だけど着座姿勢が保たれたままだった…シートベルトありがとう
さらに、私の運転で時速40キロでの急ブレーキ…車って本当に直ぐには止まらないのね

2段階の後半は3人までの教習生が1台の教習車に乗車して、交代で運転する観察学習が6回実施される
高速道路の教習もその中に含まれる
当然メンバーは、私と矢倉さんと佐藤さん
みんなの運転が見れる、絶好のチャンスだわ

最初の複数教習は、自主経路設定っていう課題
ある場所から目的地までの順路を自分で考えて走行するというもの

でも、ある場所はいつも練習してる順路の途中で指定するって、Tさんが事前説明してくれた

しかも、今日の教習担当はTさんだ!ラッキー

ガレージで、教習車のトランクに荷物を置いて、日常点検して
問題は、運転の順番ね…

(T)「ジャンケンで勝った人から運転の順番を選べます」
(三人)「ジャーンケーン、ポン!」
(佐藤)「勝ったー!私は2番目!」
(藤原・矢倉)「ジャーンケーン、ポン!」
(矢倉)「勝ったー!1番に運転する!」
(藤原)「私は、3番目か」

前の二人の運転が上手だったら、プレッシャーがかかるな…
Tさんの前で下手な運転したら、恥ずかしいな…

でも、点検してた時に気がついたけど、この教習車の前タイヤ
右にいっぱい向いていた
右にはガレージの柱があるし、ちょっと危ないよ

(T)「では、矢倉さん出発しましょう
タイヤの向きに気を付けてください」
(矢倉)「了解しました!」
(佐藤)「大丈夫?」
(矢倉)「任せてー!Tさん、初めまして!よろしくお願いします」
(藤原)「矢倉さん、調子に乗ってると危ない…」

私がタイヤの向きを伝える間もなく、矢倉さんはアクセルを踏み込んだ…

『バッカーン』

嫌な音と衝撃が座席に伝わる
血の気が引くのが分かった
事故った!?

その瞬間に、TさんがシフトレバーをPにして、STOPボタンを押していた

(T)「矢倉さん、トランクを開けて!全員荷物を持って、車から離れて!」

Tさんは、そう叫ぶと損傷個所をすばやく確認して、校舎のほうへダッシュしていった

矢倉さんは呆然としていた
佐藤さんは信じられないという表情で教習車を見つめていた
私はTさんの姿を目で追っていた

(矢倉)「大変なことしちゃった…」
(藤原)「みんな、怪我はない?」
(佐藤)「何が起こったの…」

教習車の前をまわって見た…
教習車の右側ヘッドライトの辺りが壊れていた
ボンネットが少し浮き上がっていた
これじゃ、教習はできないよ
どうなるの?

しばらくして、Tさんと校長先生が、走ってきた

(T)「別の教習車を使います、みんな準備して」
(校長)「ヘッドライトは駄目だな、バンパーとボンネットは修理が利くかな」
(T)「すみません、私の不注意でぶつけさせてしまいまい…」
(校長)「とにかく、教習を再開して、ロス時間はインターバル時間を充てて」
(T)「はい、処置をお願いします」
(校長)「路上教習中、無理をしないように、教習生の様子に注意して教習を実施するんですよ」
(T)「了解しました」

Tさんと校長先生が状況確認している間に
私がリードして日常点検を済ませておいた

矢倉さんは震えている
佐藤さんは動揺している
私が一番に運転するしかない

(藤原)「Tさん、私が一番に運転します」
(T)「藤原さん、ありがとう!頼みます」

(矢倉)「ごめんなさい、ごめんなさい…」
(T)「矢倉さん、良いんですよ
私の不注意でした
皆さん体に異常はないですか?」
(三人)「大丈夫です」

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