【朝映画】「アーニャは、きっと来る」20201213

イギリスとベルギーの共同制作の映画。舞台は、第二次世界大戦下の南仏のピレネー山脈に面した村。ナチスドイツが、フランスを占領下に収めた頃のお話。原作は、映画にもなった「戦火の馬」も書いたマイケル・モーパーゴ。市井の人々からの視点で、第二次世界大戦下の、ユダヤ人迫害を描いた映画だった。強い情動を誘うような起伏がある映画ではないんですが、終わる頃には涙が出てしまいました。


①概要

主人公のジョー・ラランド(ノア・シュナップ)は、南仏のスペイン国境に面した村に住む少年。ある日、羊飼いの仕事をしていたところ、ベンジャミン(トーマス・クレッチマン)と出会うが、ベンジャミンは迫害を免れて逃げてきたユダヤ人で、村外れの山奥に住む老婆(謎の男の母、アンジェリカ・ヒューストン)の所に、多数のユダヤ人の子供たちと隠れ住んでいることを知ってしまい、手助けをするようになる。そんな中、村にもナチスドイツの占領軍が駐留するようになり、早くスペインに亡命しなければいけない状況になっていく。
スペインへの亡命までの間、ジョーを取り巻く様々な大人達、亡命に一緒に協力してくれる祖父(ジャン・レノ)、村の子供たちに対しても優しくしてくれる
ドイツ軍のホフマン伍長(トーマス・クレッチマン)、ドイツ軍を恨む父親(ジル・マリーニ)と会話をする中で大人になっていく、そんな話。

②感想

映画の主題からは、離れてしまうかもしれないが、自分の考えやスタンスがあるからそこにあう組織・集団に属することなんてほとんどなくて、組織・集団に属していることで出来上がっていく考え方やスタンスばかりなんだなあと思った。だからこそ、組織・集団の対立が脳死で個人への批判・迫害につながってしまうんじゃ無いだろうか。
上記のような、映画とは関係なさそうなことを、ジョーは育った村の環境なのか単にまだ幼いからなのか、組織・国に帰属している認識事態が弱いからこそ、経験や自分の経験、純粋な自分の感情からスタンスをとり行動していく姿や、明確に組織に属して立場がありながらも、自分個人の感情や考えを持ち続けようとする(しかしとれる行動には限界がある)ホフマン伍長の姿を見て、考えてしまった。

③一番好きなシーン

どうしてもネタバレになってしまうが、以下に記述する。
ベンジャミンがナチスに捕まって、収容所に送られる。その後、山奥で1人でいるジョーの所にホフマン伍長が訪れる。ベンジャミンはどうなったか尋ねるジョーに、ホフマン伍長は「わからない」と答える。それに対して、ジョーはとても慕っていたホフマン伍長に「知るのが怖いのか」(うろ覚え(オイ)、確かこう言ってた。)という皮肉をいう。
多分、映画中ずっと、大人に対して口答えとかをしてこなかった(母と喧嘩のシーンはあったけど、口答えとかではなかった)ジョーが、大人に対して明確に敵意・悪意を向けた瞬間だった。これは、ショックな経験や、戦争とかの状況を理解していき、ジョーが大人になったことを見せた瞬間だったんじゃ無いだろうか。
一番好きなシーンでもありながら、映画中で最も象徴的で、一番哀しいシーンだった。

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