政策考論:103万の壁の適正化
こんばんは。Sagishiです。
今回は、政治に関する政策・課題について、つらつらと検討を書いていきます。
・103万/130万/150万の壁の適正化
年収が103万を越えると、所得税の支払い義務が発生します。そのため、パートタイム労働者は税金の支払いを敬遠して、年収を103万以下に抑えようとします。これを「103万の壁」と言います。
この制度は1987年から開始しましたが、当時の東京都の最低賃金は497円でした。現在の1041円とは倍以上の差があります。よって、法律の制定時の時給で103万に達するよりも、現在のほうが圧倒的に短い労働時間で達してしまいます。
この制度があるせいで、パートタイム労働者の労働時間は、理不尽かつ意味不明な制約を受けているといえます。
また、「103万の壁」以外にも、社会保険扶養から外れる「130万の壁」や、扶養控除の該当から外れる「150万の壁」など、様々な制約があります。パートタイム労働者の年収は、制度によって意図的に抑えられており、経済にも影響が及んでいます。
・適正化案①/単純に壁を押し上げる
迅速に結果を得るために、単純に壁の金額を押し上げる必要があります。
例えば、130万/150万/180万のように、ざっくりとした金額設定でもいいので壁を押し上げるべきです。この単純増の制度改正をするだけで、パートタイム労働者は年間200時間以上、1ヶ月以上、追加で労働をすることができるようになり、経済的な効果が期待されます。
「180万」まで上がれば、ひとによってはパートタイムではなく、契約社員として労働に従事することもできて、労働の選択肢も増えるでしょう。
・適正化案②/最低賃金に連動
現在の制度だと、最低賃金が上がるにつれて、パートタイム労働者の労働時間がどんどん減少します。最低賃金が上がるたびに制度をチューニングする必要があり、なかなかに非効率的です。
そのため最低賃金に連動して、この金額の壁が上昇するような仕組みにできないかを検討するべきでしょう。
・適正化案③/壁の一律化
そもそも「所得税」「保険」「扶養控除」と何段階かに分けて、細かく壁を設定しているのが、この制度を分かりにくくしています。
この細かい区分けに合理的な理由があるのか、調査をするべきでしょう。そもそも、103万とか130万とか以下の年収のひとから所得税を取ることの意義もどれほどあるのか、よく検討すべきです。
例えば、壁を一律に「150万」に揃えるだけでも、制度はシンプルになります。このような考えから、制度を合理化できるはずです。
・適正化案④/扶養制度の見直し
さらに延長の議論として、ゆくゆくは「扶養制度」じたいを見直したほうがいいという説があります。
扶養は、そもそもが「家族戸籍」的な考えを前提にしています。しかし、マイナンバーが普及して、旧来の家族単位の管理から、より個人単位への管理、つまりは「個人戸籍」へと戸籍の制度の重心が移行しつつあります。
わざわざ「家族」単位でひとを管理しようとするから、給付金の支払い先を世帯主にしなくてはいけない、法的な責任や優先権が世帯主にあるなど、ひずみが生まれます。
「個人」単位で管理すれば、純粋のその個人の属性や年収だけで税制度を設計できるので、現在よりシンプルになり、合理化できるはずです。
マイナンバーと扶養控除は、根本的なところで制度理念に相反があります。「税金」を免除する条件に家族戸籍が必要とされる合理的理由は、現代では薄まっているはずです。同性婚者など、制度に適合しないひともおり、改善が必要でしょう。
詩を書くひと。押韻の研究とかをしてる。(@sagishi0) https://yasumi-sha.booth.pm/