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押韻論

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日本語の押韻の基礎的な考察や研究
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#詩歌

詩型論:「複数音制約」と押韻詩型

 こんばんは。Sagishiです。  今回は、前回書いた「複数音制約」と絡めて、日本語の押韻詩の詩型論を書いていこうと思います。連載記事的な。 1 前段/モーラリズム 以前書いた詩型論では、日本語の二重韻律構造をもって、韻律定型を構築することの難しさを記述しました。  しかし、結局のところ日本語はモーラリズム言語なんだから、モーラを基礎韻律単位として詩型を構築するしかない、と考えを落ち着けました。よって今後は、どのようにしたらモーラリズムを使って詩型を構築できるのかを考

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日本語の完全韻の定義(2023年暫定版)

 こんばんは。Sagishiです。  今回は、日本語の完全韻(Perfect rhyme)について、その定義をまとめる記事を書きます。2023年の暫定版になります。 1 表記法の説明 日本語の完全韻(Perfect rhyme)の説明をするまえに、日本語音声の表記法について解説をします。  まず子音等の表記は、以下の独自の表記法に従います。既存のIPA(国際音声記号)に複数の課題があるため、独自の表記法を構築しました。  また、音節主音(音節核を持つ)母音には、以下の

日本語の詩歌の脚韻はどのようなスタイルにすれば良いのか-翻訳を通して考える-

 こんばんは。Sagishiです。  今回は、詩の邦訳の脚韻について書いていきます。  日本の詩歌の翻訳をみると、なかなか原詩通りにrhymeをしているものが少ないです。しかし、その希少なrhymeを取り入れている翻訳も、どことなくぎこちなさがあるようなものも多いです。  日本の詩歌文学においては、まだrhymeというものが浸透しておらず、技術的にどのように扱えば良いのか、どのようなrhymeをすれば良くなるのか、自然になるのかが、あまり周知されていないと思います。

詩型論:日本語の押韻詩の詩型に関する考察

 こんばんは。Sagishiです。  いよいよ押韻詩の詩型に関する考察をしていきたいと思います。 1 詩行の音数 最初から残念なお知らせですが、現在のわたしは、現代日本語東京方言を使った詩歌で、詩の一行の音数を決めることは事実上不可能だと考えています。理由を以下に列挙します。 1-1 韻律単位の問題  現代日本語東京方言は、モーラリズムの言語ですが、話中では軽音節(1モーラ音節)と重音節(2モーラ音節)が任意のタイミングで出現します。  現代日本語東京方言の自然な日

押韻する現代詩を書くことは不可能ではない

 こんばんは。Sagishiです。

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