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文学・詩歌

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文学関連の記事や詩論、詩歌および押韻詩
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2023年12月の記事一覧

詩型論:「複数音制約」と押韻詩型

 こんばんは。Sagishiです。  今回は、前回書いた「複数音制約」と絡めて、日本語の押韻詩の詩型論を書いていこうと思います。連載記事的な。 1 前段/モーラリズム 以前書いた詩型論では、日本語の二重韻律構造をもって、韻律定型を構築することの難しさを記述しました。  しかし、結局のところ日本語はモーラリズム言語なんだから、モーラを基礎韻律単位として詩型を構築するしかない、と考えを落ち着けました。よって今後は、どのようにしたらモーラリズムを使って詩型を構築できるのかを考

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詩歌:滅びの華

 肩書きに生きれば、ひとは虚飾、  年老いた者は日没に遊び、葡萄酒を餐む、  光沢ある肌の滅びを捕食。  旧い友人が置いた葉書の紐をほどく、 「善良の波のまえに父はいた」読む、  肩書きに生きれば、ひとは虚飾、  慈愛のない路に、斃れる子の孤独、  コーカやウィを売る商人は富む、  光沢ある肌の滅びを捕食。  鉛の輝き、囁き、沈鬱なる太陽の予告、  だれもが真実に歩み続けるが、行く先は虚無、  肩書きに生きれば、ひとは虚飾、  闇を掘る墓守が、戸の隙間を覗く、