トランビで事業を買って、3ヶ月で売ってみた。
こんにちは。やすまさ(@yasumasa1995)です。
僕は社会人2年目の2020年3月にWEB事業を72万円で買収し、3ヶ月後の2020年6月に131万円で売却して合計100万円以上稼ぐことができました。作業時間は40〜50時間ほどなので、時給2万円程度で働いたことになります。
個人で事業を買って、事業を伸ばして売却するということは、副業で最も効率よく稼げてビジネススキルも身につく一石二鳥な方法です。
このnoteでは、サラリーマンが副業で事業を買って、業績を改善し、売却することで大きな利益を得るための方法論を僕の実体験とともにまとめます。
補足
ちなみにこの経験については、このnoteを読んだTRANBIさんの方からご連絡がきて、取材いただき、公式サービスサイトに成功事例として掲載されました!
また、五味田匡功さんの『会社を買って、起業する。超低リスクで軌道に乗せる「個人M&A」入門』という書籍で僕の個人M&Aの事例をご紹介いただいております。
2020年6月の収支
2020年3月〜6月の僕個人(プライベートも含む自分の家計)の収支はこんな感じでした。
3月に事業の購入で大きく赤字を出して、4月、5月は着実に売上を伸ばし、6月は事業譲渡が完了して月収が「1,923,807円」とこれまでの人生で1番お金を稼ぐことができた1ヶ月でした。
今回の事業を買って売るという挑戦は、「お金を稼ぐため」にやったというよりは面白そうだから挑戦した側面が強いです。とはいえ、お金が増えるのは嬉しいことです。
24歳の僕にとって100万円は大金です。それが意外と難しくない方法で、しかも短時間でできたということが驚きの体験でした。
あまり綺麗ではないですが、Jカーブを描いているのがわかるかと思います。
(余談ですが3月は事業とは別に金貨も購入しているので赤字額が大きくなっています。)
3ヶ月で100万円稼いだカラクリ
たった3ヶ月で事業を買って売って100万円稼いだカラクリはとてもシンプルです。100万円の内訳はこんな感じでした。
・インカムゲイン(営業利益):445,636円
・キャピタルゲイン(売却益):584,880円
事業売買プラットフォームTRANBI(トランビ)への手数料込みで事業を¥725,120(税込)で買って、
約3ヶ月間で18名のユーザーから¥445,636の売上を立てて、
実質経費はドメイン代の¥1,650のみだったため売上¥445,636-経費¥1,650=営業利益¥443,986をあげ、
¥1,310,000(税込)で事業を譲渡(=売却益¥584,880)して、
¥443,986+¥584,880=¥1,028,866を稼ぎました。
やはりインカムゲイン(事業の営業利益)に加えて、キャピタルゲイン(事業の売却益)も狙えることが事業買収の最大の魅力だと思います。
2020年5月はゴールデンウィーク中の施策がうまくいったこともあり、30万円以上の営業利益を出すことができました。このタイミングで事業譲渡の口頭内示を獲得しています。
ちなみに約3ヶ月で44万円を稼いでいる事業なので、本当はもっと高額でも売却できた可能性が高いです。ただし、伸びているうちに早く売りたかったので安めの評価額で売っています。
本気で交渉すれば「400〜500万円」の評価額までもっていく見込みは全然あったかと思います。年間の見込み営業利益が150万円と仮定して、営業利益の3年分が450万円になるためです。単純なPLベースでみると割安な価格で売却しています。
なぜ僕が事業を買おうと思ったか?
「事業を買った」という話を友達にすると「なぜ買ったのか?」と必ず聞かれます。「面白そうだから」というのが正直なところですが、目的は自分なりに考えて、他の機会とも比較検討した上で「事業を買う」という決断をしています。
僕が事業を買った背景には5つの理由があります。
【1】副業で効率良くお金を稼ぎたかったから
僕の夢は日本の産業保健を変革し、過労自殺をなくすことです。本業はこの「夢を実現できるかどうか」を最も重視して機会選択しています。そのため、本業は重視しつつも、個人で新しいことに挑戦したいという思いは前々から思っていました。
しかし、本業に支障のない範囲で、週の稼働時間は8時間程度以内で、効率良くお金を稼ぐ方法は実はあまりありません。
例えば、クラウドワークスやランサーズで簡単な作業を時給手取り1000円で引き受けても、週8時間の作業工数で月3万円程度です。それであれば本業を頑張って昇級したり資格を取得した方が投資対効果が良い気がしてしまいます。月3万円副業で稼げても、疲労が蓄積し、本業のパフォーマンスが落ちてしまっては本末転倒だからです。
株式の短期売買や投資信託の長期投資もしていたのですが、短期的な利益を追求するのは割に合わないことが多く難しかったです。株式は価格の変動幅が大きく、精神的な負担があるので無意識的にでも本業のパフォーマンスが落ちます。投資信託での積立投資は年利3~7%程度なので、元手が数百万円のうちは年数万円しか増えません。
そう考えると、事業を買って経営し売却するという方法は、レバレッジを効かせた投資であると同時に、「好きな時間に好きなだけ働いて、成果の分リターンを得られる」ので自分にはぴったりでした。仮に失敗しても、勉強になるし、楽しいし。
結果論ですが、労働集約性の低い事業を買収し、時給換算で2万円ほどと、サラリーマンでは考えられないくらい短時間でお金を稼ぐことができています。
ちなみに「なぜお金をそんなに稼ぎたいのか?」という疑問もあるかと思います。別に生活するには困っていません。物欲もないし、車も時計もマイホームもいらないなと思ってる人間です。そのため「リスクをとってまでお金を稼ぐ意味があるのか?」と不思議に思われることもあります。
「楽しくて新しい学びが得られる機会に挑戦するのが好きだから」というのが1番です。資本主義に生きる以上、お金が循環する仕組みを学ぶことは人間を学ぶことに等しいので楽しいです。その次に「将来の自由を手に入れたい」ということが大きいです。若いうちに稼いで、30歳までにアーリーリタイアができるレベルで資産所得を得ようとしているので、若いうちに稼いで純金融資産を蓄えておこうとしています。
【2】「100万円」の使い道に悩んでいたから
僕は新卒1年目に「毎月8万円以上貯金して年100万円貯めること」を目標にしていました。その結果100万円を貯金できたものの、使い道を持て余していて、株の短期売買を50回ほどしていました。結果としては運良く15万円ほどプラスになっているのですが、自分の利益のためだけに相場と向き合うことに飽きてチャートを見るのが苦痛になっていました。
それから「24歳の若者にとって、100万円の1番良い使い道は何だろうか?」と考えるようになりました。Googleで「100万円 買えるもの」「100万円 投資」「100万円 不動産」などと検索して記事を読みあさっていたのが懐かしいです。
結論としては、2020年3月に、約70万円で事業を買い、約30万円で金貨(アンティークコイン)を買うという決断をしました。面白くて希少性も高く学びになる機会だと思ったからです。
事業を買った時の見積書はこんな感じでした。
【3】最速でWEBマーケティングを勉強したかかったから
僕は本業でSaaS事業のカスタマーサクセスチームのマネジメントをしています。ちょうどテックタッチに注力して施策の仮説検証を進めていくフェーズでした。その中で、「WEBマーケティングスキル」が必須となるため、破壊的なスピードで学習することが求められていました。笑
事業を買ってその事業のWEBマーケティングを実践することが最短で学習できる方法だろうと思ったので買ってみることにしました。何かしら商品を持っていると、いろんな戦術を高速で仮説検証できるのでよかったなと思います。
【4】経営者/投資家として成功体験がほしかったから
綾野剛さん主演の「ハゲタカ」に感動し、事業を買って再生する仕事のおもしろさに魅了されたため、「自分もいつか事業を買ってみたい!」という想いがありました。とはいえさすがに大きな会社を法人ごと買収するほどの器はないため、小さな休眠事業や後継者探しに困っている事業で挑戦してみたいなと思っていました。また、将来的には産業保健分野のビジネスで自ら起業し会社を経営することや、スタートアップに出資して日本の産業保健を変革していこうとしていたため、良い勉強になるだろうと考えていました。
「100万円稼いだ」という経験は社会課題の解決を目指すようなスケールで考えるととてもちっぽけなものです。ただ、この小さな成功体験が僕にとっては次により大きな挑戦するための勇気になると感じています。
実際に本業でも、経営者の視点でよりリスクを取った意思決定にコミットできるように思考と行動が変化してきた実感があります。
実は新卒入社した会社を退職する前後で「1000万円くらい出資するから産業保健市場で起業したら?」というお誘いを受けたことがありました。その時の僕は「産業保健について無知すぎるから、今の自分には価値ある事業をゼロイチ起業では創れない」と言い訳して断っていたのですが、今同じチャンスがあったら全く捉え方は変わるだろうなと思います。リスクを取って行動することの価値を学んだからです。
【5】「自分にもワンチャンできる」と思えたから
最後に決め手となったのが「自分でもワンチャンできるんじゃないか!?」という謎の自己効力感を持てたことです。24歳のサラリーマンである僕が、個人で事業を買収しようと思ったきっかけは、ある1冊の本との出会いでした。三戸政和さんの『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』という本です。100万円の貯金があった僕は、「300万円なら手が届きそうだし、会社を買うって面白そうだな」とタイトルに惹かれてこの本を買いました。読み始めたら止まらず、一気に3時間ほどで読み終えていました。
この1冊だけをバイブルに事業を買収し、経営改善し、売るという一連の挑戦をやり切ることができたと言っても過言ではありません。本に書いてあったことを行動に移しただけです。
「事業を買う」というと難しく思えるかもしれないですが、実はとっても簡単なんです。この本を読めば「自分にもできるかも」と感じる方は少なくないと思います。というのも、「事業を買う」ということは、「不動産を買う」感覚や、「株を買う」感覚とほとんど同じだからです。価値を見極めて購入し、営業利益(インカムゲイン)をとりつつ、売却してキャピタルゲインも得ることができるというものです。
そして実務面で絶対に必要なのは「基礎的な営業スキル」のみです。もちろん、細かいノウハウや契約時の注意点、税務上の処理の問題などわからないことはありましたが、ネットで調べたり、税務署に電話したりすれば意外と何とかなりました。
僕にとってのこの1冊のように、誰かにとってこのnoteが「自分でもワンチャンできるかも」と考えるきっかけになれば嬉しいです。
良い事業をスマホで簡単に買える時代
事業を買うということは、営業権や著作権などを全て買い取り、事業を経営する権利を引き継ぐということです。何千万円も使って、銀行から借金して買収するイメージを持つ人がほとんどかと思います。僕も最初は買収というと「億単位のM&A」しかイメージしていなかったです。
日本には約410万の企業があります。そのうち中小企業が380万社です。個人事業主の事業も含めたらもっとたくさん事業はあります。そして、たくさんの魅力的な事業が、後継者を探している現状があります。
僕は最初信じられなかったデータがあります。休廃業・解散する企業のうち、60%以上は当期純利益が「黒字」であるということです。
(出典:東京商工リサーチ『2019年「休廃業・解散企業」動向調査』)
黒字でも廃業する要因は、代表者の高齢化と後継者不足です。そのため、国をあげて中小企業の事業継承に取り組んでおり、民間の事業売買マッチングプラットフォームサービスがたくさん増えてきています。数十万円〜数百万円で優良な事業を買うチャンスは今後ももっと増えていくでしょう。
魅力的な事業を探せるサービス
僕は最初に三戸政和さんの『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』という本で紹介されていたTRANBI(トランビ)を利用して事業を買いました。最近はビズリーチやリクルートなどのメガベンチャーも参入していて市場が盛り上がってきています。
以前はTRANBIの手数料は買い手側が買収金額の3%を支払う形で割安だったのですが、現在は最低30万円+消費税の手数料がかかる縛りがあります。つまり、低価格帯の事業売買にTRANBIはあまり向かなくなってしまっています。
事業の経営は難しくないのか?
チャンスがあるからといって事業を買って経営できるのなんて優秀なほんの一握りの人だと思う方もいるかもしれません。ですが、事業を買う方法は、営業の流れとほとんど同じです。
僕がやったことは、
TRANBI(トランビ)などで買いたい事業を探し
交渉して価格や条件を決定し
契約書を作成して
お金のやり取りをして
オペレーションを引き継いで
事業を改善し
売却相手を探して
価格や条件を交渉して
契約書を作成して
お金のやり取りをして
オペレーションを引き継いで
おしまいです。
買う時も売る時も、基本的な流れは同じでした。
事業売買の交渉時に、いわゆる「デューデリジェンス」と呼ばれる評価額が適正かどうかのチェックを行う点以外は、社会人として企業で働いたことのある人なら誰もがもっているビジネスリテラシーで対応可能だと思います。
「デューデリジェンス」も、法人で複雑な事業だと専門家に依頼した方が良いレベルで難易度が上がりますが、事業のみの譲渡で事業内容がシンプルであれば自分でもできるレベルでそこまで難しくはありません。
そして事業を経営することもまた、自分の得意な分野であれば意外とこんなもんかという感じです。社会人としてビジネス経験を積んで、ある程度のスキルを身につけていれば得意な分野が必ずあるはずです。
従業員を雇用しているケースだと難易度は上がりますが、従業員が自分だけの事業であれば、そんなに悩むことはありません。経営の基本さえ学べば、自分のスキルを活用して事業を成長させることはそこまでハードルの高いことではありません。当たり前のことを、当たり前にやれていなくて、利益を出ていない事業が世の中にはたくさんあります。サラリーマンが会社で当たり前に行われていることを愚直に実践するだけでも、事業を伸ばせる可能性は大いにあると思います。
TRANBI(トランビ)の使い方
TRANBI(トランビ)とは、株式会社トランビが運営しているM&Aのマッチングサイトです。事業を買いたい人と事業を売りたい人をマッチングし、成約したら買いてから手数料収入を得るビジネスモデルです。様々な事業が売りに出されているので、まずはサイトでいくつか事業を見てみるとイメージがつきやすいかと思います。
フリマアプリのような感覚で、事業が出品されています。出品されている事業で興味のあるものを検索し、より詳細を知りたければメッセージを送信して交渉を始めます。
交渉画面はよくあるチャットサービスのUIで、気軽にメッセージとファイルをやりとりできます。僕は最初に簡単な自己紹介と事業について気になる質問を送信していました。また、同時に実名での交渉の申請も行うことができます。(匿名でも交渉可能です)
ちょっと恥ずかしいのですが、若さゆえに相手にしてもらえないことも多いので、それっぽいキーワードを並べて、頑張って「すごい感」を出していました。笑
メッセージを送っても無視されることも普通にあります。いかにして交渉の土台に上がるかをまずは考えて工夫していました。
TRANBIは交渉画面の右側に、事業売買の進め方や、各プロセスでのチェックリスト、契約書の雛形などが全てまとまっているので、わかりやすかったです。事業売買の初心者でもあまり迷わずに取引を進められるかと思います。
事業を買うときに重視した3つのポイント
この3つを重視してTRANBIなどの事業売買プラットフォームに出品されている案件をチェックしていました。
それぞれ詳しくみていきます。
【1】固定費の低さ
固定費とは、毎月/毎年継続的にかかる費用です。例えば、賃料やサーバー代、ドメイン代などがあります。固定費が高いビジネスは、毎月/毎年その費用を上回る売り上げを出さないと赤字になるため、難易度があがります。
例えば、新型コロナウイルスの打撃を強く受けた航空業や飲食店、民泊などが固定費率の高いビジネスです。個人でやる場合、資本が潤沢でないケースが多いため赤字が長期間続くと事業を続けられなくなる可能性が高いです。そうすると安値で事業を売るか資金調達するしかなくなり、大きな損失だけが残るリスクが高まります。
反対に、WEBメディア事業やコンサルティング事業など、固定費がほとんどかからないサービスもあります。僕はこのような固定費の低いビジネスをひたすら探していました。
僕が買った事業は、無形商材(プログラムファイル)をWEBサイト経由で販売する事業なので、固定費はほぼゼロでした。レンタルサーバー代、ドメイン代しかかからないので、せいぜい年間1万円〜2万円程度です。コロナショックはむしろ追い風で、相場が乱高下したことをフックにキャンペーンメルマガを配信したりしていました。
【2】労働集約性の低さ
次に重視したのが資本集約性です。ビジネスには労働集約性の高いものと、資本集約性の高いものがあります。顧客に付加価値を提供する上で人間の「労働力」に依存している度合いが高い事業を「労働集約型」の事業といいます。例えば、スーパーのレジ打ちを人がやっていればそれは労働集約型の事業です。反対に、ユニクロのようにレジを無人化・機械化すれば労働力を投入せずとも利益が上がり続けるため資本集約型の事業に転換していることになります。
個人で事業を買って1人で経営することを前提とした時に、労働集約型の事業は相性がよくありません。自分がせかせか働かないと利益が上がらないためです。そのため、なるべく自分が手を動かさなくても利益が上がる資本集約型の事業を探していました。
【3】割安さ
最後に割安で売られているかどうかと、その理由をチェックしていました。僕が買ったFX事業は、経営者の能力と時間が不足していて売上が立たずに休眠事業となってしまっている案件でした。また、実績ベースで見た時に「営業利益が上がっていない」ということは評価額を下げる交渉材料として有力です。事業の価値を的確に見極めることさえできれば未来のインカムゲインとキャピタルゲインを獲得するイメージを高い解像度で描けると思います。
事業自体は営業利益をぐっと伸ばせる可能性があるのに、適切にリソースを投資できておらず休眠している事業は個人が買うにはぴったりです。
【参考例】TRANBIに掲載されている魅力的な事業
2020年7月22日にTRANBIに公開された事業で、気になるものがちょうどありました。僕なりの視点でどういうポイントをチェックしているのかを整理していこうと思います。
こちらが案件の概要です。売却希望価格が「250万円以下」なので交渉次第では数十万円〜百万円代で買える可能性もなくはない事業かなと思い気になりました。
売上が500万円以下、営業利益も500万円以下なので、この情報だけだと「営業利益×3年分」で事業の価値を概算することができません。
「月曜から夜ふかし」に出演する株主優待名人として有名な桐谷広人さんの影響もあって、株主優待はここ数年で注目をあびています。
また、コロナショックの影響で証券口座の口座開設数はものすごい勢いで伸びています。検索ボリュームは直近数年間上がっていくことが見込まれる魅力的な市場で戦っているサイトかなといえます。もちろん大量にお金を持った証券会社たちがWEBコンテンツを作っているので、競合の多い市場でもあります。
また、個人的にも株主優待や株式投資は好きなので、自分でも経営しやすそうだなと思いました。
案件の詳細ページにある【ビジネスモデル】にある事業の強み/差別化ポイントをみると、直近4ヶ月の月間PV数と売上の数字がありました。売却想定金額も「20万円〜60万円」と記載があります。割と手を出しやすい価格帯です。
月の売上が「1〜2万円」程度なので、月平均1.5万円×12ヶ月=年間18万円の売上と仮定します。経費はWEBメディアなのでレンタルサーバー代とドメイン代程度と少額と想定できるので今回は無視します。
年間営業利益18万円×3年分=58万円です。売却想定金額が20万円〜60万円なので、割と妥当な数字であることが伺えます。
PL(営業利益)ベースでの事業の評価をしたあとは、資産の評価を行います。この事業の場合、WEBメディアのコンテンツにどれだけ価値があるのかが論点になります。
・記事数は480本
・検索1位表示の記事が100本(これは結構すごいです)
・現時点でキャッシュポイントはGoogleアドセンスのみ
というのはぱっと見で資産としての価値がある程度大きいように見えます。
資産を評価するときは2つの視点が大切です。
①その資産を得るためにいくらかかるのか?
②その資産で将来いくらの利益を生み出せるのか?
ケースバイケースですが、買う側の時は後者を重視して、売る側の時は逆に前者を丁寧に説明して資産価値も高く評価してもらえるようにします。
【1】その資産を得るためにいくらかかるのか?
480本の記事があるので1本1000円と仮定すると48万円の価値があることになります。1本500円でも24万円です。自分で執筆するにしても時間がかかりますし、クラウドワークスやココナラなどを使って安価にアウトソーシングしてもこれくらいの費用はかかります。
ただし、株の情報は日々変動するため、過去の記事を常にリライトする必要性に迫られる懸念や、今PV数を稼げている記事が1年後には全く役に立たない記事になっている可能性もあります。特に2020年度は業績が悪化して株主優待を廃止する企業も少なくないでしょう。これらの懸念材料で評価額を下げて見積もっていきます。
【2】その資産で将来いくらの利益を生み出せるのか?
買う側として最も重要なのが資産によって将来見込める営業利益がどれくらいなのかです。WEBコンテンツの場合マネタイズの方法は「Googleアドセンス」「アフィリエイト」「純広告」の3つがメインです。
例えば、SEOが強い記事で1本でもアフィリエイトで高額を稼げる見込みがあれば、それは資産として大きな価値を秘めています。これは実際のWEBサイトのURLを売り手から教えてもらってサイトを確認しないとわかりません。
他にもメルマガ会員をたくさん保有していたりすると、アフィリエイトや純広告で収益化するポテンシャルが高くなります。
また、ドメインパワーも重要です。新しい記事を書いた時に、上位表示をさせやすくなるためです。検索1位表示の記事が100本あるというのは、それ相応のドメインパワーを持っているため、ドメインにも資産としての価値があると評価できます。
最後に、自分が持っている既存の事業・アセットとどれだけシナジーを生むかを考えます。例えば、既に投資について教えるYouTuberとして活動している人であれば、WEBコンテンツを480本手に入れることで、YouTubeの集客に活用してYouTubeの広告収入を伸ばすことが期待できるかもしれません。
自分のスキルがどれだけ活用できるかも重要です。僕の場合、株主優待や株式投資にはある程度詳しい方で、WEBサイトを売買した経験もあるので、僕が経営することで事業を伸ばせる価値が高いと考えています。
【案件概要】はこちら。譲渡対象資産をみると、法人ではなく事業のみの譲渡であることがわかります。また、「無料サポート期間(3ヶ月)」がついているのは少し珍しいです。
売却希望時期は半年内なので、すぐに現金が必要で売り急いでいるというわけではないことが伺えます。
【その他の案件情報】にある「事業の譲渡に際して何を最も重視されますか?」という項目に「価格」と記載があります。売却想定金額「20万円〜60万円」程度でなるべく高く売りたいということが伺えます。2020年7月22日に公開されたばかりなので、早めに50〜60万円の金額で事業譲渡の提案をすれば契約締結できる可能性は高いといえるでしょう。
新たなキャッシュポイントを創り出して、月5万円ほど稼げる事業にして、200万円ほどで売却しキャピタルゲインを得ることは期待できそうかなという気がします。
こんな感じで事業をアセスメントして、気になるポイントを整理してチャットで連絡します。WEB系の事業の場合は、最初にとりあえずURLを教えてもらうことが多いです。サイトを見てから、具体的な交渉をするかどうかを決めるためです。
事業について考えるのは好きなのですが、考えれば考えるほど愛着が湧いて買ってみたくなっちゃいます。有利子負債もなしなので、気が向いたら僕もメッセージを送ってみようかなと思います。
TRANBIの個人M&Aセミナーでいただいた質問
2023年7月19日に、株式会社トランビ主催のセミナーで「はじめてサイトM&A」についてお話させていただきました。参加者の方にいただいた質問への回答をまとめます。
【1】自分でメディアを1から構築するという発想はありましたか?
はい。当時は個人ブログと、1つのWEBメディアを自分でゼロから立ち上げて運営していました。そこに加えて、2つのメディアを買収しています。
良い事業があれば買ってもいいし、熱量込めて作れそうなメディアがあって既存事業がないなら自分で作るのもいいと思います。
現在は、個人ブログと会社のオウンドメディアの2本のみに注力していて、それ以外のメディアは全て運用を止めたり、売却してしまっています。
【2】サラリーマンで仕事をしながら事業買収をする際に、注意することや心構えがあれば教えてください!
マインド面では、小さな企業の買収だとしても「経営者/資本家」に考え方の変化は求められると思います。特にお金を稼ぐ「時間軸」がサラリーマンと資本家では大きく異なります。
全てを自己決定し、全ての責任を自分で追う
資本家は利益を1番最後にもらう
同じ瞬間は二度とやってこない(時間は不可逆 / 啐啄の機)
お金がないなら、借りれば良い
能力が足りないなら、人の力を借りれば良い
などなど。
事務的な面では、いきなり事業買収から始めるのではなく、クラウドワークスで小さな仕事を受注するなど小さな副業から始めて個人事業主としての事業経営の基礎を経験しておくと、下手な躓きは少なくて済むのかなと思います。大抵の場合、個人事業主として開業届を税務署に提出して、帳簿をつけ、青色申告をすることになります。基礎的な、会計、税務、労務、法務、知財の理解が浅いと無駄な失敗の原因になるので一通り勉強すると良いかと思います。
買収する事業の特性の面では、「労働集約性」が高すぎない事業かは大事かと思います。平日日中の稼働がなくても問題なく事業成長させられる事業なのかが重要です。
一方で、サラリーマンとして副業で個人M&Aをする立場だからこその強みもいくつかあります。
小規模な事業買収にも挑戦しやすい
サラリーマンとしての安定した収益基盤があるためリスク許容度が高い
サラリーマンであるが故に銀行からの融資を引き出しやすい
こういった強みは生かしていけると良いかと思います。
【3】買収交渉の際、どのようにサイトのバリュエーションをしましたか?
将来生み出し得る収益を仮定して、「営業利益の2〜3年分」で評価するのが一般的です。
自分が経営した場合の蓋然性高いシナリオの事業計画に対する営業利益の2,3年分が自分にとっての「許容できる最大金額」になります。その上で、現状の数字やマイナス材料をもとに減額していった金額を「買収希望価格」として提示して交渉します。
【4】WEBメディア事業買収ならではの困難だった点はありますか?
飲食店の買収交渉を契約締結の直前まで進めたことが1度あるのですが、基本的にはWEBメディアの買収しかしたことがないので他と相対化するのが難しいです。
強いていうなら、
とにかく他社の動きも含めてスピードが速いのでスピード勝負になる
Googleのアルゴリズムの変化の影響を受けやすい
などが難しいポイントかと思います。
一方で、
定量的なデータを容易に回収できるので事業価値の算定がしやすい
ビジネスモデルが明確なので取るべき施策も明確
原価がとにかく安い
事業によっては10万円などハードルの低い案件も多い
などのメリットもあると思います。小規模事業だと月次の収支すら把握できていなくて事業価値の算定が困難なことが少なくありません。WEBメディアであれば、大抵GoogleのアドセンスやASPなどに数字が全て入っているので、客観的に事業価値を把握しやすいです。
【5】最終的に売る決断に至ったキッカケや当時の判断条件があれば知りたいです!
別の事業に集中したかったのが1番ですが、たまたま「売りたいと思ったタイミングで、買いたいという人が見つかったから」というのが正直なところです。
有料noteのご紹介
有料noteでは、僕が個人M&Aをするために実践してきた行動や考え方を、具体的なエピソードやリアルな数字を使って解説しています。「20代のサラリーマンが副業で事業を買って、3ヶ月で売ってみたリアルなストーリーを学ベる!」と思っていただけたら嬉しいです。
購入いただいた方には、副業の始め方や、実際に事業を買う時の相談も、ライトなものであれば無料で対応しようかと思います。
このnoteを読んで面白かったら、ぜひ「スキ」をクリックしたり、SNSで感想をシェアしていただけると嬉しいです。取材の依頼やご相談はTwitter(@yasumasa1995)やFacebookなどでご連絡ください!
余談ですが、2021年10月にも新たに小さな事業を20万円ほどで買ってみて、試行錯誤しております。個人M&Aにチャレンジしたい方の背中を押すきっかけになれば幸いです。
「サラリーマンの副業個人M&A」「3ヶ月間の超短期で事業を売っている」「約70万円と手を出せそうな価格帯での個人M&A」という3つの点が多くの方に刺さったようで、50名以上の方に購入いただき、たくさん反響をいただきました。本当にありがとうございます!
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