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【本日の漁の記録】船長判断

9月16日(金)曇りたまに晴れ 北西~北の風強め うねりあり
中潮 満潮11:05
9:30出港 15:00帰港
スミイカ、シャコガイ、サザエ、タカセガイ、タコ

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どんよりとした朝だった。

朝の競りに行った夫から電話が来て、「今日は北寄りの風が強くて予定していた漁場に行けないし、天気も悪いし、海やめようか」と言われた。
すっかり漁に行くつもりだった私は「午後から晴れる予報だよ」「南なら行けるんじゃないかな」「シャコガイとかタコとかだけでも」となんだかんだまくし立てた。
「もう一回考えてみて」と言って、電話を切った。

夫は勘の人だ。理屈ではなく、体で、肌で感じるのだと思う。もちろん天気予報や、漁の仲間の情報も合わせて、出漁の判断をする。
その彼が、今日はやめておいた方が良さそうだな、と判断した。

対して私は理屈屋だ。私は頭で考えて、言葉で説明したがる。納得できないままでは黙っていられない。
曇り予報の午前中は島の南側でシャコガイなどをとり、晴れる予報の午後に干潮時間が近くなってからスミイカを探してできるだけとれば、大儲けとはいかないが、燃料代+αくらいにはなるだろう・・・最悪一日中曇りが続きスミイカが見えなくても、終日シャコガイをとれば、なんとか燃料代+αくらいにはなるだろう・・・
というのが、私のプランだった。

しばらくして、夫から再度電話が来た。「準備しておいで」とのこと。そのセリフの向こうに「しょうがないな、ダメもとで」という心の声が聞こえた。
「やったね」 私は心の中でつぶやいた。

結局、伊良部島の南側でシャコガイをとり、時折の晴れ間にスミイカを見つけてとり、場所を変えながらタコやサザエも少しとれた。
大儲けではないが、燃料代+αになった。
「だからやめようって言っただろ」と言われなくて、心底ホッとした。

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私がワーワー言うと、夫の勘がブレてしまう気がして、いつも怖い。
そもそも夫は腕の良い漁師であり船長なのだ。その判断は、新米の私が口を出すことじゃない。
でも、私も海歴はまあまあある。海況の判断もしてきたし、酸いも甘いも経験した。
「よろしければ、私のプランについても再考お願いします」というくらいの謙虚な気持ちではあるが、我慢はせずに一応伝える。
そのうえで、夫が判断したことにはもう言い返すことはしない。
彼の勘は長年の経験に裏打ちされたもので、私には太刀打ちできない。
しかも彼は、海に関して無理はしない。その点も私が尊敬する彼の長所だ。

海では、船長判断は絶対だ。
今日も、理解のある信頼できる船長とともに漁をできることに感謝!




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