「コンセントの向こう側」「13」二つの写真集


中筋純さんの311原発事故被災地の風景の移り変わりを記録した写真集「コンセントの向こう側」

石井正則さんの全国のハンセン病療養所を訪ね写した「13」どちらも、心がズキズキとする写真集だ。

中筋さんの方は写真に優れた随筆、詩もそえられている。写真の技術としてもすごいし、私達が見ることのできない場所を長期間追って撮られている。

チェルノブイリを取り続けた中筋さんが、全く違う場所なのに福島とチェルノブイリに同じものが見えると言っている言葉が重々しい。

はげた政治家のポスター、空々しいスローガンが書かれている。山積みされたフレコンバックの後ろにうつる満天の星空。
蔦に覆い尽くされてゆく家。。汚染され処分されてゆく野生動物。。

中筋さんは、文字通り身体を張って汚染された地域に入り、この書の何十倍もの写真を撮ったのだろう。昼も夜もとりつかれたように歩き撮り続ける中筋さんが見えてくるのだ。


石井正則さんは、古畑任三郎などでお馴染みの役者さん。去年は、息子のドラマに出ていた方だ。

13は全国にあるハンセン病療養所の数だ。大きなフイルムカメラを持って誰に言われるでもなく、全国の療養所を石井さんは訪ね撮った。患者さんの詩もたくさん収録されている。

フイルムカメラならではの味わいがある。強制隔離や、断種、中絶、ホルマリン漬け…などの忌まわしい歴史を包み込むようにやさしく撮られているものもある。

この写真集を見ると、遅まきながら、療養所に行って手を合わせたい気持ちになる。

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