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8月5日 4600mの峠を越えて

 朝、雨は止んでいた。良かった。雨の中、テントを畳んで、自転車に荷物を装備するのは非常に辛い。お湯を沸かしてスープとカロリーメイトを朝食にする。うんこして、荷物を整理し、最後に濡れたテントを畳んで自転車に装着して、準備完了8:20。轍の激しい泥道を自転車押して上がっていく。
 

この泥道をひたすら上る

 ほんと疲れる。12時を過ぎた。4時間で進んだ距離は12kmほどだが、標高は4500mに達した。空気の濃度は海面の6割もない。昨日もらった缶詰を温めて昼食にする。あとどれくらい登るんだろう?分岐からまだ40kmくらいしか進んでいない。でも、分岐からの登坂高度は1000mを越えた。貢嗄山展望台まであと60km。この調子で登っていくと、標高は6000mになるが、それはありえない。あっても5000mだろう。そうすると、あと500m上って峠、そこから1000m下がってまた1000m上がれば、5000mの展望台か。それなら明日中に着くけど、あと60㎞で峠が1つというのはないじゃろうなぁ。だとしたらやはり明日中には着かないか。やっぱり分岐から4日かかるか。どうか、峠は2つまでにしてください。3つは非常にしんどいです。
 昼食後、再び自転車を押して行く。30分ほどでタルチョが見えた。「ん?峠か?」もしかして、最悪のパターンでここが1つ目の峠で、この先に2つ目、3つ目の峠があるのか?
 峠に着くと、雪山が見えた。あれが貢嗄山か?峠で写真を撮っている人が何人もいる。その人に聞いてみると、どうも違うようだ。やはり、ここは貢嗄山展望台じゃあないようだ。(>_<) そりゃそうだ。貢嗄山展望台は分岐から102kmなのに、ここはまだ40kmほど。あと60kmもある。峠から先はかなり下っている様子。あ~、参った。ここからどのくらい下がって、その後にどのくらい登らされるんだろう・・・この峠の標高は4600mくらいだ。とりあえず、ここで大休憩をとろう。しばらくすると、晴れてきたので、テントを広げて乾かす。目の前に広がる雪山の雲は晴れないが、テントは30分弱で乾いた。そろそろ出発するか。

雲に隠れて見えないが、あれが貢嗄山だと思う

 結構下った。景色は最高だった。花の咲いた草原に遊牧民のテントや牛? 本当にのどかな風景だ。こんなところにテントを張って、星空を眺め、朝に貢嗄山を見られたら最高だな。と思いながら500mほど下ると、村があった。家が点々とあり、しばらくほぼ平坦な道が続いた。宿もあったがまだ、17時前なので、通り過ぎる。でも、次に宿があったら泊まろうかな。どうせまた夜か朝には雨が降るだろうから、テントはしんどいな。と思っていると、2軒目の宿があった。17時を過ぎている。今日はここに泊まろうかな、と思っていると、中から兄ちゃんが出てきた。1泊いくらか聞くと、食事付きで1000円。よし、ここに泊まろう。

 この兄ちゃんは大学生で、夏休みで帰省中らしい。そして、明日、貢嗄山にホーストレッキングしないかと勧めてきた。えっ!!それはかなり魅力的だ。どのくらいかかるのか聞いてみると、時間は8時間で値段は6000円。これは非常に魅力的だ。でも、話を詳しく聞いてみると、馬を1頭借りるのに6000円で、その兄ちゃんの分もぼくが払わなくてはならないみたいで、結局12000円かかるとのこと。それでも日本や欧米に比べてみて決して高いわけではないけど、ここ中国のど田舎では、高過ぎる。「思ってたより高いからやめとくよ。」というと、「じゃあ、10000円でいいよ。」「いや、そんなにお金を持ってないからいいよ。」「じゃあ、いくらなら行く?」いつものパターンである。5000円まで値切れたら行こうか。でも、今は雨季だから、貢嗄山は見られないだろうなあ。まあ、今回はやめておこう。でも、いつか乾季に来て、ぜひホーストレッキングをしてみたい。

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