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感性によびかける建物や空間

新しい建物は個性的なものもあるが、スマートで洗練
されていて、その時代の空気を映していると感じる。

能登島ガラス美術館を設計した建築家の毛綱毅曠氏
は、形而上の概念を建築にあてはめることに意欲を
燃やしたという。合理的で機能的な建築に意を反する
ポストモダンの時代、毛綱毅曠氏の建築は異彩を放つ。

そして同時代の建築家の六角鬼丈氏が設計し、1980年
に建てられた宗教施設も、感性によびかける建築だ。

福岡市の高宮にある宗教施設。円筒部分の内部が気になる
反対側はまた別の表情に。複雑でこだわりのあるデザイン
左隣の建物も氏の設計。対照的で不思議な組み合わせ


六角鬼丈氏の設計といえば宮城県の感覚ミュージアム
が思い出に残っている。以前に東北をぐるりと巡った
旅行で立ち寄った。2000年に開館のこの建物の目的は
感覚体験を通し感性を磨き、想像力を高め、心の豊かさ
を取り戻すというもの。展示は楽しく刺激的であった。
幼かった子供たちがはしゃぐ様子を今も覚えている。


期待感の高まるアプローチ
中庭を取り囲むようにいろんな形が配置され
水盤に面した回廊も楽しげな空間
ロビーにある創作楽器で子どもたちも楽しく遊んでいた
サークル・ン・サークルでは台の上でペダルを回すと
その動きで黒板に無数の線が描かれる
天井のアクリル板は壁面に色を落とす
太陽の角度によっては、床まで伸びる光の筋
トイレだって感覚に訴えかける
外の空間も楽しくて
建物を周囲をぐるりと回る
広がる空も気持ち良い
階段で屋上に上がると
トップライトに映りこむ空と雲
屋上にも楽しげな空間が広がっている

見る・聞く・触れる・嗅ぐという感性を刺激する所。

時代の中で生み出された建築。今の時代に同じものが
作られることはないかもしれない。建物や空間全体が、
あたたかな温度とともに感性によびかけてくる。時代
は移り変わっても、その空間は輝きを放つと感じる。

大分県の国東半島にある不均質な自然と人の美術館。
現代の感覚ミュージアムだ。太陽と月の部屋が感動的。

どの時代の建物も、その時代を背景に、いろんな建築家
が想いを込めてつくった結晶である。そして今もまだ
使い続けられ、建築として空間して愛され続けている。
そのような建築に出会いに、少しずつ旅を続けよう。


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