佐賀の魅力に触れる旅
武雄温泉から始まった佐賀での楽しい自転車旅。
いつものように、予定はどんどん変わっていくが、
それもまた楽しい。旅先で初めて見る風景や建物
とのであいが面白い。気になる所にはまた来よう。
だいたい、いつも予定通りにはいかない。いろいろ
気になるから仕方がない。やはり行って、自分の目
で見て初めてわかることもある。そこに漂う香り、
ざわめきや静けさなど、行ってみないとわからない。
帰りの電車に乗るために、田園風景の中をひた走る。
雲行きが怪しいなと思っていたら、案の定、雨が降り
出した。しかもそこそこの雨。雨宿りする場所もなく、
そのまま走り続ける。肥前山口駅はまだまだ先にある。
ようやく雨も上がり、肥前山口駅まではもう少しである。
前方に見えてきたのは、かりん亭というスイーツのお店。
その建物の佇まいに惹かれる。植栽との関係性、茶色の
鋼板の素材感と、壁面にランダムに設けられた開口部。
緩やかな片流れの屋根の形状に、袖壁と連続する軒先。
また、建物のシルエットをあらわしたサイン。良いと
感じる要素がいろいろと散りばめられた建物である。
雨でびしょぬれでなければ、店内でスイーツを頂くのに
と思いながら、最後の気力を振り絞ってまた走り出す。
最後の目的地は、肥前山口駅の近くにあるみんなの公園。
株式会社Open Aによる設計である。コンクリートの壁を
抜けると芝生広場のある気持ちのよい空間が広がる。回遊
できる園路に面して、市民農園なども設置されている。
ここは公園法によらない公園である。設計時に住民との
ワークショップにて、公園の使われ方についていろんな
議論がなされたという。「みんなの公園」は、都市公園法
による都市公園とせず、建築基準法上は「交流拠点施設」
として扱われることによって、都市公園法によらない
フレキシブルな公園運用がなされているとのこと。近く
の人にとって、散歩がてら公園のイベントに立ち寄り、
カフェでひと休みもできるという貴重な場所だと思う。
一日の終わりに、コーヒーをいただく。まだTシャツは
湿っている。ふと武雄温泉のことを思い出す。コーヒー
もよいが、旅の最後に温泉につかれたらどんなに気持ち
よかっただろうかと。風呂上がりのビールが目に浮かぶ。
その後は、電車に自転車を乗せて帰路につくだけである。
今日一日を、逆に回っていたらどうかと思い返してみる。
でも、一日が終わってやっと気づくこともあると思う。
一日の終わりを温泉でしめくくる旅はまた今度にしよう。
株式会社Open Aは、今年の3月にオープンした福岡に
ある海の中道海浜公園の泊まれる公園 INN THE PARK
も手掛けている。日帰り温泉の利用もできるようなので、
サイクリングに出掛けよう。その時は電車で帰れるように
輪行バッグを持っていこう。温泉とビールが待ち遠しい。
佐賀のいろんな建物や風景、自然、日本酒などの文化に
触れて充実した一日であった。福岡の隣に位置する佐賀。
海と山の恵みをうける豊かな食文化、料理に舌鼓を打ち、
日本酒に酔いしれたい。大陸文化の入り口として役割を
果たしたロマンの地。遺跡からは弥生人の声が聞こえ、
大陸から伝わった陶磁器の技術により唐津、有馬、伊万里
などの焼き物文化が花開いている。福岡と佐賀は程近い。
まだ知らない佐賀の魅力をゆっくりと味わっていこう。
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