有田町には深川製磁本店がある
CHINA ON THE PARK忠次館へ、昨年の夏に訪れた。
そこは、深川製磁の初代・深川忠次氏が手がけた作品
から、現代の作品まで、深川様式のすべてを展示する
ギャラリーである。さまざまな魅力のあるうつわや、
深川恵似子さんによる洗練された作品にも惹かれた。
そして有田の町に深川製磁本店がある。路地裏の先に
見えるさくら色の外壁に、当時のモダンな様子を思い
浮かべる。1934年の大正期に建てられた深川製磁本店
はスクラッチタイルを外壁に用いた木造3階建。建物
と所蔵品は、近代化産業遺産群にも認定されている。
本館建物は築約90年。大正から令和までの長い年月を
有田の町で刻み続けている。スクラッチタイルの外壁、
特徴のある窓のデザインやステンドグラスに、建物の
頂部に掲げられる富士山のモチーフに、圧倒的な情熱
を感じ、そこに時代を超える力強さがある。よいものは
他に変えがたい価値を有し、大切に受け継がれている。
深川製磁がうみ出す美しいうつわの数々、そして建物
が刻んでいる価値のある風景に出会うことができた。
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