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当時の姿へ生まれ変わった西洋館

深川製磁本店の向かいには、西洋館が建っている。
緑の円柱に支えられたバルコニーが特徴的な建物。
優しい色合いでも、 有田の街並みに存在感を放つ。

木造2階建ての寄棟造り、その疑似洋風建築の名
は旧田代家西洋館。有田焼の買い付けに訪れていた
西洋人をもてなすため、有田を代表する貿易商の
田代助作により、明治9年(1876年)に建てられた。
2018年には国の重要文化財にも指定されている。

淡い緑の柱やバルコニーや窓枠に目をひかれる
床は大谷石のようだ。緑色によくあっている
和洋折衷の建物。2階の床は畳敷で、天井にはシャンデリア
シャンデリアの笠は陶磁器で明治時代のものが使われている
同じ有田の香蘭社にあるシャンデリアを元に復元されている
アーチ型の窓にはめ込まれたステンドグラス
窓の外には深川製磁本店の姿
広々としたバルコニーで、建物の意匠を楽しむ
軒天井の淡い緑の菱目状の天井が印象的
バルコニーの頂部のアーチ部分も菱目で装飾されている
バルコニーの手摺格子の隙間からも
室内の壁や天井の仕上げは、当時は唐紙貼であったという
復元の際には和紙が使われている。壁や天井で異なるデザイン
天井は木瓜紋と田代家の十字紋を配置したデザイン
木版手摺により作られた唐紙。昔の建物のこだわりを感じる
壁には桐の文様。花の数から五七の桐。格調の高さが伺える
階段部分の唐紙は瑞雲のようにも。吉兆への思いだろうか
有田の西洋館は、大火や道路拡幅を乗り越えて今にいたる
道路拡幅の際には、挽家により建物ごと移動されている
右下の写真が保存修理事業前の様子
保存修理によって見違える姿となった西洋館
建物の姿にある歴史。訪れて始めて知ることばかりだ

有田にある西洋館は、2014年から2016年にかけて、
保存修理事業を実施して、建築当初の姿に復元され、
2017年より現在の姿で一般公開されている。1876年
に建てられてから140年以上も、有田の町を見続けて
きた建物。町は大火に遭い、道路拡幅により姿を変え、
そしてその建物は今、当時の姿に再現された。建物は
活かされ、受け継がれていく。建物を大切にする心を
感じ、有田にある西洋館にて豊かな時間を過ごした。


また、九州にある疑似洋風建築といえば、グラバー邸
を思い出す。グラバー邸は、日本に残る最古の木造洋風
建築であり、江戸時代末の1863年に建てられている。
かなり前に、長崎への出張のついでに朝の時間を利用
して訪れたが、時間もなく通り過ぎただけであった。

早朝のグラバー邸。早足でみてまわった
旧三菱第2ドックハウスは、旧田代家西洋館とよく似ている

今は福岡から、SとNへの向けての旅の途中である。
もうすぐ長崎へもたどり着く予定だ。その時は、もう
一度、グラバー園にある疑似洋風建築を楽しもう。


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