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ミュージアムへのいざない。アートだけではない楽しみがある

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入り口までの期待感や周りの風景を取り込んでいること、アートの展示だけでないミュージアムの魅力。アートとよい関係をもつミュージアムに物語を感じる。素敵なミュージアムを求め旅に出よう。
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2021年12月の記事一覧

そのデザインへのこだわりは後世へと継承される

福岡市美術館  1979  前川國男 日本を代表する建築家が設計した建物である。 1960年代後半から晩年にかけて国内各地で つくられた公立美術館・博物館の一つであり、 有名なものに国立西洋美術館、熊本県立美術館、 東京都美術館、埼玉県立博物館などがある。 この建物は施設の老朽化により2016年から休館し、 前川國男氏の建築意匠を継承することを前提に、 2019年3月にリニューアルオープンされている。 建物全体のデザインを尊重しつつ、大濠公園側に 新しいアプローチを設

贅沢なエスプラナードという空間

福岡市美術館の黄色いカボチャが設置された スペースはエスプラナードと名付けられてる。 エスプラナードとは、スペイン語で広場の意味。 広場には他にもいくつかの作品が設置されている。 その2階部分に位置しているエスプラナードは、 開放的な空間で、周囲に視線を遮るものはない。 大濠公園の水辺空間とも視覚的に一体感があり 緑と空と水に囲まれた気持ちのよい空間である。 とても贅沢なエスプラナードという空間である。 ゆるやかな階段で地上から2階の広場へ導かれ、 そこから美術館内部にア

宍道湖のほとりの美術館

島根県立美術館 1999  菊竹清訓 設計は多くの美術館を手掛けた菊竹清訓氏である。 建物は低く抑えられ、湖に寄り添うに様に建つ。 湖と呼応するようなゆるやかな屋根の形状や、 内部からガラス越しにつながる宍道湖の眺め、 美しい自然や風景と一体となった美術館である。 シンボルマークのデザインは田中一光氏である。 水、宍道湖、建物の形状からイメージしてデザイン され、この建物にふさわしいマークとなっている。 そのデザインに合わせたソファーも設置されている。 建物の入り口では