傘。

今日も変わらずに私は君を待っているんだけれども、一向に気配がない。
雨が降れば傘を差せば良いんだよ。
簡単なことなんだ。

私は雨が好きなのだけれど(泣いたとしても目立つことがないから)、傘を差すのは嫌い(人も自然の一部だということを忘れない為に)。
それでも人の目を気にして傘を差してしまう(雨が降ったら濡れることが当たり前なのだと思うけれど、どうやらそれでは人間社会を生きていくことは難しい)。
人から心配されることがとても苦手なのだ。
差し伸べられた手を払いのけ、それでもまた手が差し伸べられるのを待ってしまうのだ。
人に助けてもらうという経験があまりに乏しい為、何もかもを疑ってしまうんだよ。
そして何度も手を差し伸べられて、何度もその手を払いのけ、きっと嫌われてしまうんだと思う。

人から憧れられるような立派な存在になりたいと思うのだけれども、私には向いていないと思う。
静かに過ごしたいだけなんだよ。

今日も君は来ないし、明日も君は来ない。
もしかするともう二度と会えないのかもしれない。
会えないから、会えた時のことを考えるんだよね。
君が傘に困っていないことを祈っているのです。

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