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Netflixドラマ『暗黒と神秘の骨』の面白さを解説(ネタバレあり)

週末にNetflixの『暗黒と神秘の骨』を一気に見ました。

https://www.netflix.com/browse?jbv=80236319

私は魔法が出てくる中世っぽい物語は好きなジャンルで、少し前に観た『ニミュエ〜選ばれし少女〜』とか、金字塔と言えば『ゲーム・オブ・スローンズ』でしょうか。

ニミュエ〜選ばれし少女〜』
https://www.netflix.com/watch/80199393

『ゲーム・オブ・スローンズ』
https://warnerbros.co.jp/tv/gameofthrones/

ちなみにドラクエでも「魔法使い」や「賢者」、ファイヤーエムブレムでも「アーチャー(弓使い)」が好きです。

こういう魔法が出てくる中世っぽい物語の特徴として、

・いろんな能力者、いろんな種族が出てきて楽しい
・そんな人たちに揉まれて主人公が成長していくのが期待できる
・人の生死が切実で、人間ドラマが濃密
・クライマックスは戦闘シーンでエキサイティングなことが多い

などが挙げられると思いますが、ひとえにキャラクターが楽しめるというのが一番のポイントかもしれません。

大きくは物語性はベタなことが多く、最初に提示された目的を達成できるかどうかでひたすらぶれず(そして大体はちゃんと成功する)、それゆえその過程で会う敵対者や協力者、援助者といったキャラクターを楽しみやすいといえるかもしれません。

現代だと王様とか出てくると少し嘘っぽくなるのですが、こういう物語だと王様から末端の庶民まで、幅広く出せるので、魔法とかドラゴンとかも含めて、世界観が大きく構えられるところが物語としてのポテンシャルに繋がっているのかもしれません。

最後に、『暗黒と神秘の骨』のストーリーメソッド的な分析をして終わりたいと思います(ここからは完全にネタバレ有りなのでご注意ください)。

■物語の構造

・大きくは「主体+障害」のパターン

・主人公は覚醒して「主体+客体の目的」 →「主体+目的」というふうに変化する。
→この辺りは多くのヒーローものに共通する形(例:エヴァンゲリオン)

■キャラクター

主体:アリーナ・スターコフ:地図製作者、「太陽の召喚者」、シュー人との混血。
客体:マルイェン(マル):アリーナの幼馴染の孤児。追跡者。
敵対者:キリガン将軍(アレクサンダー)(援助者→協力者→敵対者) :グリーシャにして第2軍の司令官、数百年生きる「闇の主」、「影の召喚者」、「黒の将軍」。
協力者:
援助者:バグラ : グリーシャの訓練者、キリガン将軍の母。
犠牲者:(明確にはいないが時々「マルイェン(マル)」がなりかける)
いたずら者:カズ・ブレッカー : ケテルダムのギャング「クロウ」のリーダー

○カズ主体においては、
客体:イネジュ・ガファ : スリ人。カズの手下。
協力者:ジェスパー・フェイヒー : 狙撃者。カズの手下。

■構成

大きくは2つの視点から物語が進む。

①主人公といえる「アリーナ・スターコフ」
②主人公を捉えることで賞金を狙う「カズ・ブレッカー 」

途中、「アリーナ・スターコフ」と別れている間は「マルイェン(マル)」も主体となり、3人の主体がいるような感じになる。

CQとしては以下のポイントを期待しながら見る形。

・「影溜まり」という世界にとっての「障害」を取り除けるか
・主人公はマルと再会、結ばれることができるのか
・主人公は自分の能力(および自分)を肯定し、自立できるのか

■特徴・面白い点

・魔法が出てくるだけでちょっとワクワクする。1話で魔法の「風」で船が出港する瞬間の気持ちよさ。

・「影溜まり」というこの世界での「障害」の設定がとてもユニークで面白い。しかもそれがどうやってできたか、怪物ヴォルクラがなんなのかという解き明かしの瞬間はとても良かった(5話)。

・エリート集団の気持ちよさ。1話で船が出港するときにも感じた。

・1話のラスト主人公の「覚醒」(能力を発動する瞬間)は気持ち良い。

・少女時代の「マルと草原を走って逃げ手を握り合った思い出」のこすり方(何度も回想する手法)はとても効果的だったと思う。

・キリガン将軍が「影の召喚者」で、「太陽の召喚者」と対になる設定が面白い。二つの対立がどう「昇華」されるのかを期待しながら見れた。

■検討できる点(たちばな主観)

・マルのことが幼馴染から好きになった瞬間というのを明確にした方が良かったかもしれない。

・エリート集団の気持ちよさは、第一軍と第二軍の対決感からも出しづらいところはあるが、3話でリトルパレスに行った時などに、もう少しエリート軍団のかっこよさをやれた可能性はある。

・3話キリガン将軍は援助者でもあり、恋敵でもあるドキドキもいいが、こういう魔法ものには「援助者」の気持ちよさが追求しやすいので少し勿体無いか。2話で助けてくれるところとかあざとくもう少しヒーローにできたかも。あるいは「バグラ(キリガン将軍の母)」をもっと援助者として美味しく作れたかも。

・「協力者」という存在がもう少し強くあっても良かったかも。全体の尺の中でこれ以上に足すことが一長一短ではあるが、特に「リトルパレス」に行ってから、友達になった二人なのか、もう少し「協力者」との物語があっても良かったか。

・それは「カズ・ブレッカー 」主体の物語の部分と相殺になっていると言えるかもしれない。「カズ・ブレッカー」が単なる「いたずら者」として登場する感じであった場合、そのスペースが確保できたであろう(こういう類の物語の多くがそういう作り方をされていると言えるかもしれない)。

■最後にコメント

検討点を書きながら思ったのは、どこかで同様の物語性の中で、自分が好きだったシーンやキャラクターを思い浮かべながら、もう少し伸ばせたのではないかという気になっているのだろうと気づいたということ。

そういう意味では好みと言えば好みでしかないのですが、その多様な好みをいかに最大公約数的にやりきるかがこういう作品の成功を分けるのではないかと思ったりしています。

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