推古天皇の小説を書いています
マガジンの方に先ほど第一章一節をアップしたのですが、兼ねてから取り組んでいた「推古天皇」の小説を少しずつアップしていくことにしました。今日はこの小説を作るに至る経緯などを書きたいと思います。
元々のきっかけ
私は以前、『暁の帝』という演劇作品を制作、上演しています。
これは友人の女性プロデューサーが、元々飛鳥時代をテーマにした舞台を上演しており、それを自分なりにアレンジしたいと思ったのがきっかけです。
2018年6月には『暁の帝~壬申の乱編』
2019年6月には『暁の帝~朱鳥の乱編』
を上演しました。
壬申の乱は、672年に、天智天皇(当時はまだ天皇ではなく大王と呼ばれていました)の後継をめぐって弟・大海人皇子と息子・大友皇子が争った戦乱で、『暁の帝~壬申の乱編』は大海人皇子を主人公に天武天皇として即位するまでのお話です。
『暁の帝~朱鳥の乱編』は、その後のお話を描いた作品で、天武天皇の妻である鸕野讃良が天武天皇亡き後、持統天皇として即位するまでのお話です。
ちなみに今もDVDは販売されています。
小説にしようと思ったわけ
舞台を制作するにあたり、最も自分が意義を感じていたのは、今の日本という国としての仕組みは、この時代にベースが作られていると感じたことです。
自分たちのルーツを知る意味でも、とても有意義であると感じ、また純粋にこの時代に興味を持ちました。そして、もっと掘り下げて物語にしたいと思うようになったのです。
それでこの舞台作品と制作した2作品を小説にしようと思ったのですが、構想を練っていく中で、もう少し前から物語をスタートさせるのが良いと感じるようになりました。
それは先ほど書いた、国としてのシステムがある程度形になったこの時代にさかのぼること100年ほど前、593年に即位した推古天皇、そして摂政となった聖徳太子が作った「冠位十二階」や「十七条憲法」などが、中央集権国家体制の確立の第一歩だったと感じたからです。
推古天皇が日本における女性初の天皇ということも描く意義があると感じました。それでどうせならば、この時代から始めようと決めたのです。
シリーズ構想
構想を考える中で、なんとなく以下のような形で、舞台で作った時代の前に2作品を作ろうと思いました。
①推古天皇を主人公に即位するまで
②中大兄皇子を主人公に大化の改新を経て天智天皇として即位するまで
③大海人王子を主人公に壬申の乱を経て天武天皇として即位するまで(舞台で制作済み)
④鸕野讃良を主人公に朱鳥の乱を経て持統天皇として即位するまで(舞台で制作済み)
そして、まずは①の推古天皇の物語からスタートすることにしました。
そしてコロナ禍に立ち上げた、このnoteでのサークル「ストーリーラボ」に参加してくれたメンバーと共に、一つのプロジェクトとしてスタートし、あらすじを考え始めました。
私たちは歴史の専門家ではありませんが、いろいろな本を読んだり、専門家の方に取材して、自分たちなりに当時の出来事を整理し、それをどうやって小説にしていくかを話し合い続けました。
そしてそれを小説として形にし始めていったのです。
小説のテーマとスタイル
小説にする際に意識したのは以下の2点です。
①現代において描く意味を考える
②海外で翻訳されたものが読まれることを目標にする
①はつまるところテーマですが、具体的には「女性天皇の誕生」と「仏教と神道の対比」といった点について意義を見出したいと思っています。
私は、兼ねてから「西洋と東洋」というのがストーリーを作る上で常に頭をよぎるテーマなのですが、推古天皇が生きたこの時代は仏教が日本に入ってきた時です。
それまでに信奉されてきた神道と仏教は、現代の感覚で言えば同じ東洋的な思想といえますが、当時は大陸から最先端の技術や文化と一緒に持ち込まれ、さながら江戸時代に突然やってきたキリスト教にも近いコントラストとインパクトがあったと想像します。
私はここ数年、日に日に「西洋の限界を東洋が補完する」というイメージを強く持っていますが、物語の中で推古天皇が果たした役割について、その辺りが少し重ねられるところが出てくると思います。つまり、仏教と神道がぶつかる中で、どういった世界を作り上げようとしたかを一つのゴールとして描いています。
また、②の翻訳したものが海外で読まれるということですが、日本の成り立ちにおいては、一つの原点とも言える古代を描くことで、日本文化に興味を持ってくださる方に、何らかの理解や示唆を与えるものにできたらと願っています。
「東洋を西洋の視点からも理解できる」ものにするのが目指すところでもあります。これは難しい挑戦ではありますが、とても意義のあることだと思っています。またそれを意識して、文章はなるべく標準的な文章で構成することにしました。
これは、そもそも複数メンバーで作り上げるというプロジェクトの性質もありますし、翻訳の精度が高くなるためにも適切だと判断しました。そもそも、小説家としての文才があるわけでもない私が取り組むにあたってもそれしかできないということもベースにはあります。
小説というのは、その文体が重要であることは理解しています。一文一文に至るまで作者の個性やスタイル、世界観が宿っているべきであるとも思っていますが、今回はフラットな文章だが、物語としては読みやすいというものを目指したいと思います。
元々、映像作品を作れるシナリオとして完成させてから、それをノベライズしようとした経緯も含めて、本格的な小説と呼べるものではないと思いますが、自分らしいやり方で作り上げ、多くの人に読んでもらえるものになればと書き続けているところです。
今後の予定
先ほど、「マガジン」の形で第一章第一節をアップしました。
推古天皇編は、第六章までストーリーとしてはできていて、現状各章が3万字~5万字、現状一旦上げた初稿が25万字というかなりのボリュームです。
当初は各章2万字程度の予定だったのですが、10万字でも長編小説と呼ばれることを考えると、25万字は上巻、中巻、下巻と3巻構成になるようなボリュームです。
流石にそんなに長い作品を読んでもらうほどの実績も信頼もないのでどうしたものかと考えていますが、現在、チームライティングで書かれた小説を、私が最終リライティングしているところです。
今回上げた一章一節はそこまで終わったという意味です。それでも一万字程度なので、本当に長い道のりになりますが、まだそれでもプレビュー版と言いますか、一度この形でアップしていきつつ、最後まで言ったら、また最初からブラッシュアップして、小説として世に販売されるのはそれからになるかと思います。
今も1本100円の有料記事設定になっているのですが、販売して利益をあげたいという意図はなく、「ストーリーラボ」メンバーシップ会員の方々に、少しずつ不定期でお送りしているものが、まとまって読みやすくするための措置でした。
実際、月額100円のメンバーシップ会員の方には無料で読める設定になっていますので、もしご興味ある方はそちらに入って読んでいただければと思っています。(メンバーシップの方にしても、利益目的でやっているのではなく、有料記事の方と同じ、noteの最低価格設定が「100円」なので、その価格にしています)
まずは最後まで書き上げること優先という思いがあり、誤字脱字含めて、読んでいただいた方に満足いただくものにはなっていないかもしれませんが、経過をご報告していくプロジェクトのようなつもりで、見守っていただければ大変幸いです。
今後は、メンバーシップの方では少しずつ送っていき、二節の終わりまで言ったら、マガジンの方にもまとめてアップする予定です。忙しい時期になるとぱたっと止まってしまう性格なのですが、途切れることなく続けていけるように、頑張りたいと思います。
この小説の完成まで、何卒応援いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
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