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【NPO書評】助成財団センター・レポート日本の助成財団の状況2022

日本の助成金業界の唯一の情報源といえば、助成財団センターですね。
その助成財団センターが1985 年より 30 年以上にわたって刊行してきた『助成団体要覧』を新たにリニューアルして発行するということです。

ということで、助成金マニアの山田は、早速購読しました。

助成財団センター・レポート
日本の助成財団の状況2022

2020年代の助成財団の動向は、なるほど勉強になります。
この業界の通説として、バブル崩壊後、低金利も相まって、助成財団が新設されることなく、減少の一途をたどっているということでした。しかし、ここ最近、助成財団が増えてきているそうです。
「最近の助成財団設立のリバウンドの背景とその社会的意義について」という記事で詳しく書かれていますが、企業創業者やその親族によるファミリー財団のような助成財団が増えています。さらに、これまでは首都圏中心に設立されていたのが、ローカルで設立され、その地域の奨学プログラムを立ち上げています。実は、助成財団が増えているということで、コミュニティ財団や休眠預金の影響かなと思っていましたが、違っていました。

実際のデータをもとに分析されている情報はとても貴重ですね。自分のなんとなくの感覚をしっかり修正することができます。やはり、この分野を専門にしている組織の調査レポートは貴重です。本書まるまる勉強になります。

最近の助成財団の状況を知るにはうってつけの一冊です。
適度な情報量で読みやすいので、気になる方はぜひどうぞ。

あと、メインのレポート記事は「高等教育段階の奨学金制度に関する政策動向と民間助成財団の役割への期待」です。日本の高等教育の奨学金制度の中心となっている「日本学生支援機構」による奨学金制度の変遷を丁寧に解説しているものです。同機構は独立行政法人ですので、いわゆる国の奨学金制度ということです。国の制度の変更による民間の助成財団への影響という視点は、とても面白いですね。助成財団、助成プログラムも、業界内でのポジショニングを考えていくことが必要ということがよくわかります。


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