【NPO書評】インベンション 僕は未来を創意する
寄付付き商品を見つけると、ついつい購入してしまいますよね。
今回も、それほど興味があるわけではなくても、何か気になって購入してしまいました。
そう、この本が寄付付き商品なんです。
「ジェームズ ダイソンは本書の収益金をすべて、エンジニアリング、先端技術や科学の分野を主軸に次世代の教育・育成に取り組む一般社団法人 日本先端科学技術教育人材研究開発機構(JASTO)に寄付の予定です。」
サイクロン式掃除機のダイソン社創業者のジェームズ・ダイソンさんの自伝です。
インベンション 僕は未来を創意する
2022/5/25
ジェームズ・ダイソン (著), 川上純子 (翻訳)
ダイソンさんの生い立ちから起業、サイクロン式掃除機の開発、そして現在のグローバル企業となり、様々な商品展開を行っているダイソン社の現状まで、かなりこと細かく語られています(400ページ強!)。
ジェームズ・ダイソンさんも、サイクロン式掃除機も、ダイソン社も、もちろん名前はよく知っています。起業から現在の成功のストーリーまで、とても興味深く読み切りました。
最初のサイクロン式掃除機の開発まで、5126回の失敗。
徹底的にこだわってモノづくりをする姿。
掃除機を開発しても、ビジネス的に訴訟を起こされたりしての苦難の道。
モノづくり系の企業のストーリーはほとんど読んだことがありませんでしたが、とても面白かったです。特に、英国政府の製造業支援のダメさ加減の中で奮闘するダイソン社、そしてシンガポール、マレーシアを中心とするグローバル企業へとなっていく姿がなるほどでした。
そして、一番共感したのは、常にサステナビリティを意識した製品開発を行うジェームズ・ダイソンさん&ダイソン社の姿勢でした。はじめは紙パック不要、吸引力が変わらないという機能性から、購入者にとっての使いやすさ、消費電力のこだわり、購入者の健康や生活環境への配慮など、そして環境配慮などと展開していく姿はすごいですね。
今の時代のものづくりだからこそ、そのこだわりが成功している要因の一つなんですね。
もう一つ、ジェームズ・ダイソンさんは素晴らしいフィランソロピストでした!
ジェームズダイソン財団を設立して、将来のエンジニア養成を行うための教育関係の活動を行っています。英国だけではなく、日本にも財団があるんですね、知りませんでした。
ジェームズダイソン財団ジャパン
https://www.jamesdysonfoundation.jp/
本書の中でも、ダイソンさんのエンジニア教育に関する思いが熱く語られています。本業に近いフィランソロピー活動、素晴らしいですね。
本書は、NPO活動にはちょっと離れた内容ですが、信念をもって製品開発を行い、失敗をしても成功するまで続ける(逆に失敗することの大切さも語っています)ダイソンさんの姿勢に勇気をいただける本です。
最後に、掃除機以外のダイソン社の商品展開の物語は知らないことばかりだったので、すごく面白く読めました。