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【チャリティ・イベント・レポ No.10】慈善家-フィランスロピスト@下北沢「劇」小劇場

今回は純粋なチャリティ・イベントではなく、寄付をテーマにした舞台を見てきました。上演初日の11月17日(金)夜に行ってきました。

名取事務所
現代カナダ演劇上演 ニコラス・ビヨン
「慈善家-フィランスロピスト」


※劇作家ニコラス・ビヨンの2作品を、回替わりで上演するもの。

「慈善家」というタイトルの舞台なら、これは見ないわけにはいきません。
舞台で「ファンドレイジング」というセリフを聞くことが出来るとは!

『慈善家-フィランスロピスト』
主人公はKW製薬の共同オーナーで取締役会長。強烈なカリスマ性を持つ白人。
有名美術館の館長は容姿にも華のあるインド系女性。
そして館長の秘書は二十代の野望に満ちた韓国系アメリカ人。
美術館に雇われている生真面目な切れ者の女性弁護士。策略に富む日本人の弁護士。
多人種多様。
「慈善事業といえどもビジネスである」これは医薬品ビジネスで財を成したアメリカの富豪 アーサー・ミッチェル・サックラーの顧問弁護士の言葉です。
慈善事業をめぐり資本主義社会と慈善団体の関係を見つめる。

この劇は、鎮痛薬オピオイドによる薬害被害を生んだ医薬品会社のサックラー家を題材にした物語です。
数百億円以上の寄付を行う、超大口寄付者と美術館側の攻防を舞台にしたものです。サックラー家の事件については、以前から知っていたので、大変興味深く鑑賞しました。

今回は、劇作家のニコラス・ビヨンが名取事務所のために書き下ろした新作を舞台化したものだそうです。
アメリカの慈善事業(芸術分野のパトロン)をリアルに感じることが出来ました。大口寄付者は単なる慈善家ではない。寄付に対する対価を必ず求めているということ。寄付者に翻弄される美術館側の姿が本当にリアルですね。
アメリカのファンドレイジング事情を垣間見ることが出来ました。
大口寄付の怖さ、寄付を受ける側の倫理観、寄付の対価、団体の経営と資金調達、ダークマネー、理事会と事業執行者(館長)、契約書の大切さ、寄付者の評判による団体への影響などなど、寄付を扱う人間にとってはかなり身につまされて、考えさせられる物語でした。
ぜひ、NPOのファンドレイジング関係者には見てほしい舞台でした。
山田ももう一度鑑賞したいので、ぜひ再演してほしい!

最後に、サックラー家の事件について、参考になる記事をご紹介します。
これらを読んで舞台を見ると、物語の怖さ倍増です。


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