「確率思考の戦略論」を読み解く 第2章 戦略の本質とは何か その2 プレファレンスの伸びしろ
以前、読んで感銘を受けた森岡、今岡著の「確率思考の戦略論」。読み直しをしながら自分なりのまとめ、気づきを記しています。
前回、戦略実現のための3つの経営資源の配分先のうち、量的な成長につながるAwareness(認知)とDistribution(配荷)まで進めました。
今回は、ブランドの質的成長につながるPreference(好意度)についてです。
第1章から、Preferenceについては定義が述べられていますので、もう一度見てみます。
まず、この章における結論は、戦略の本質は市場全体における自社ブランドへの1人あたりの購入量をどう増やすかであり、そのためには市場全体に水平的にアプローチする方が成功の確率は高い、です。
そのことを証明するために、NBDモデル(負の二項モデル)という数式を用いています。
NBDモデルの数式は以下の通りです。
数式を理解することは統計の知識が必要となるので、本書では巻末解説で(興味がある人向けに)説明されています。
本章では、2つの記号に注目せよ、と言ってます。それが、MとKです。
Mは、自社ブランドを全ての消費者が選択した述べ回数を消費者の頭数で割ったもので、Kは、消費者の購入確率がどのような分布の形を示すのかを決める指標です。
Kについては、消費者のPreferenceによって決まってしまうので直接的にコントロールすることはできません。
よって、結論として、戦略の本質は1人あたりの購入数をどう増やすのかを考えることに集約されてきます。
Mを拡大するための方策としては、既存顧客の購入回数を増やすことと(垂直拡大)、新規顧客を増やすこと(水平拡大)の2側面が考えられます。
さて、どちらの方が成功する確率が高いでしょうか?
ターゲティングや差別化の観点から考えると、顧客の生涯価値(LTV)を高めるために前者の垂直拡大を志向するかもしれません。しかし、本書では後者の水平拡大がより成功する確率が高いとしています。そして、水平拡大によるプレファレンス向上の有効性ををUSJの成功事例を元に説明しています。
ターゲティングを狭めすぎることによって本来、そのブランドが持っているポテンシャル狭めてしまうことは本末転倒です。
実際、USJのように本来テーマパークとして大きなポテンシャルがあるのに、映画ファンにフォーカスし縛られることでブランドのポテンシャルを制限してしまっているというケースは多いでしょう。
安易な、セグメテーションやターゲティングがブランドのポテンシャルを狭める、ということですね。
第3章では、具体的にどう戦略を作るのかになります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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