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11.独自の世界観を深めてたどり着いた境地 = Ghost

Ghostは2010年にデビューしたスウェーデンのバンドです。HEAVY METALというか、ハードロック、LAメタルなどの軽やかさ、聞きやすさを取り入れつつ、世界観はダークで寓話的。メロディは北欧的という、ありそうでなかったバンドです。メンバーが覆面をしているバンドですが、中心人物はトビアス・フォージという人で、ボーカルとメインソングライターを務めています。Ghostはトビアス・フォージのソロプロジェクトという色合いが強いバンドです。

トビアス・フォージはキャリアが長い人で、Repugnantというデスメタルバンドを1998年に結成。2002年にファーストアルバムをリリースしています。デスメタルではありますがいくつかの曲ではGhostにつながる構築美や作曲センスを感じます。たとえば「Another Vision」のイントロなどはそうですね。ボーカルギターがトビアス。

Repugnantはスウェーデンのスーパーバンドでそれぞれキャリアを積んだメンバーが集まっていました。当時からトビアスは才能あふれるミュージシャンとしてそれらのメンバーを集めるだけの力があったことが分かります。

Repugnantが活動停止した後、Crashdïetというバンドに参加しますが短期間で離脱、次にSubvisionというバンドを組みます。こちらは今のGhostにつながるメロディーセンスがより前面に出ています。後にGhostデビュー時のNameless Ghoul(バンドメンバーをこう呼ぶ)になるギターとベースもこのバンドに在籍していました。一曲「Room611」を。

次にMagna Carta Cartel(MCC)というバンドにギター/ベースとして参加します。こちらではボーカルは担当していませんが、やはりトビアス・フォージ印のどこか浮遊感と陰影のあるメロディーと音作りを聞くことができます。一曲は「Metropolis Flow」を。

このバンドに在籍しつつGhostの活動をはじめ、Ghostがデビューする2010年まで在籍していました。なお、MCCはその後一度活動休止するものの2017年にトビアス以外のメンバーで復活し現在も活動中です。

トビアス・フォージという人は作曲能力が高く、うまくメタル的な雰囲気、高揚感、ダークさを保ちながら耳に残るメロディーを提示してきます。キャリアを通じて多くの引き出しと一貫した世界観を持ち、さまざまな才能と知り合って独自のエコシステムやクリエイティブチームを作っているのでしょう。Ghostでついに世界に発見されたわけですが、自分のイメージ通りの音を作り出す力に長けている印象です。すでにグラミー受賞などアメリカではブレイクしつつあり、今後のさらなる進化が楽しみです。


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