TM Network好き男性が選んだメタル10曲
非メタラーが選んだメタル10曲シリーズ第四弾、今までのシリーズはこちら。今回は前回(第三回)と一緒に、二人のゲストに同時に選んでもらいました。そのため、方法は前回と同じです。
1.最初に10曲ほどメタル曲を聴いてもらって「これなら聴ける、好き!」という曲を選んでもらう。
2.「好き」と言った曲に雰囲気が近い曲を40~50曲ほど選んで聞いてもらい、「好き!」といってくれる曲を集める。
3.集まった曲の中から10曲に絞る。
今回のゲストはTM Network好きの男性です。下記のようなプロフィールに近い方にメタル入門として聞いていただき、好みを探るプレイリストとして活用していただければ幸いです。
ゲストプロフィール:アラフォー、男性
・日頃メタルは聴かないが、中学高校時代周りの友人の影響で一通り聞かされていたしメジャーどころのアーティストの名前は分かる。
・酒を飲みながらライブを観るのは好き。六本木Abbey Road(Beatles Bar)にも通っていた。
・好きなアーティストはTM Network。
人間の音楽の好みは中高時代に作られるそうです。中高時代、周囲でメタルが流行っていたため一通り聴かされてはいたそうで、メタル耳が十分に養われていると思われます。そのため、気に入った曲は多く絞り込みに苦労するほどでしたが、こちらも好みの系統が出てきます。具体的にはパワーメタルとプログレメタル系が好きですね。Primal FearとかDream Theaterとか。曲展開が早くてテクニカルなものがお好み。ただ、一番気に入ったのはANNIHILATORのArmed To The Teethだったのでどこまでプログレっぽさが必要なのかわかりませんが、ギターリフが複雑で勢いがあるものが好きなのかもしれません。先述した通り、第3回のゲストと一緒に選んでもらったのですが、メタル耳の持ち主同士とはいえ結構好みが違ったのも印象的でした。
それでは、プレイリストをどうぞ。
以下、メタラー向けの解説です。
1.ANNIHILATOR / Armed To The Teeth
プレイリスト1曲目は「一番気に入ってくれた曲」を選んでいます。ANNIHILATORとは渋いチョイス。キレがいいギターリフでスタートし、けっこう展開が激しいですね。これから10曲を聴きながら好みの系統と、共通点を探していこうと思います。改めて聞くと結構コード進行も複雑で変拍子もありプログレ的ですね。そうはいってもスラッシュ・パワーメタル系なのでそこまで重厚感がなくサラッと聞けるので、こういうテクニカルで展開が激しいが疾走感がある曲が好きなのかもしれません。
2.DGM / Flesh and Blood
イタリアのプログレメタルバンドDGMの2020年の曲。今年リリース予定の新譜が楽しみなバンドです。ANNIHILATORからの流れで聴くと同様の疾走感がありますね。ドラムの手数が多いのとキーボードが入ってくるところがプログレメタル色が強く違う感触ですが、意外と自然につながります。ボーカルも朗々と歌い上げるパートもありますが、ヴァースなどはスラッシーな吐き捨て感もありますね。テクニカルで疾走感がある曲です。ちなみにこれは音ゲー好き女性はダメでした。展開が激しすぎるのでしょうか。
3.RAGE / The Price Of War 2.0
ジャーマンメタルのベテランRAGEです。年々(物理的に)巨大化し続けるピーヴィーの貫禄が素敵。オールドスタイルながらRAGEらしい耳に残るメロディーです。そんなにものすごく凝ったメロディーではないのに耳に残るメロディーを作るのが上手いバンドですよね。揮発するメロディーというか、フッと消えてしまうような着火性のあるサビが印象的なバンドです。疾走感はあるもののそれほど展開は激しくない曲ですが、やはり中高時代聞かされていたからか、90年代マナーのオールドスクールさがあるバンドは耳になじむのかもしれません。これも音ゲー好き女性はNG。サビが耳に残らなかったのかな。
4.DragonForce / Highway to Oblivion
DragonForceもOKでした。演奏がテクニカルで疾走感がある曲、には見事に当てはまっていますね。ちょっと意外だったのは音ゲー好き女性がNGだったんですよね。OKだろうと思ったのですが。メロスピとはいえ、この曲はちょっと整理されすぎているのかもしれません。奇想天外なトリッキーさがないというか、耳に残らなかったのかも。90年代マナーのメロスピをカリカチュア化したような曲なので90年代に育ったメタル耳には心地よいのでしょうが、2010年代のゲーム・アニメ耳には物足りなかったのかも。なお、「二人とも好きといった曲」もたくさんあるのですが、それぞれの違いを出したかったので「片方だけOKを出した曲」を中心にプレイリストを組んでいます。
5.Magnus Karlsson's Free Fall / Hold Your Fire
DIOを彷彿とさせるパワーボーカリストDino JelsickをフューチャーしたFree Fallの楽曲。シンフォニックかつパターメタルですね。ボーカルの表現力が白眉。これも展開が複雑な曲です。パワーメタルとプログレメタルが好き、とシンプルに考えてもいいかもしれません。これは「二人とも好き!」ということで一致。プレイリストの流れを考えてこちらに入れました。最後に「二人とも好き!」といったプレイリストはおまけでつけておきます。
6.VICIOUS RUMORS / Pulse Of The Dead
USパワーメタルのベテランVICIOUS RUMORS。こうして聞いてくると空気感が似ていますね。さすが中高時代にメタルのエリート教育を受けただけあって、日ごろ聞いていなくても90年代マナーの王道を外しません。いわゆるポップス的な歌メロのキャッチーさはあまり求めていない様子。やはり展開の複雑さや疾走感の方が大事なポイントのようです。あとは、北欧的なメロディとケルト的なメロディも好きな様子。「90年代はメタルを聴いていたけれど、しばらくメタルから離れていた非メタラー」と言ってもいいかもしれませんね。北欧はEuropeやTNT的なメロディーで、ケルトといえばGary MooreやThin Lizzyです。王道ですね。
7.Primal Fear / I Am Alive
こうして聞いてくると見事なまでに「同じ感じ」ですね。好みがはっきりしています。この曲も疾走感あるパワーメタルです。ドイツのPrimal Fear。元Gamma Rayというか、他にもいろいろ活躍しているベテランボーカリストラルフ・シーパーズやSINNERのマット・シナーを要する、今やジャーマン・パワーメタルの雄と言っても過言ではないでしょう。音ゲー好き女性はNG。パワーメタルだめなんでしょうか。音が暑苦しくて迫ってくる感じがダメなのかもしれません。
8.Dream Theater / Untethered Angel
プログレメタルの雄Dream Theater。ここでちょっと雰囲気が変わり疾走感より複雑さに重きを置いていますがこの曲もOKとのこと。中高時代にも聴かされていたので馴染みがあるのかも。この曲はコロナ対策で別々に録ったようなPVですがコロナ前の映像。単にそれぞれの録音時の演奏を撮影しただけなので、同じスタジオでの映像です。各人の超絶テクニックを堪能できます。これも音ゲー好き女性はNG。主張が強すぎたのか。
9.Soen / Covenant
北欧プログレメタルのスーパーバンドSoen。面白かったのはOpethは音ゲー好き女性はOKでTM男性はNG。Soenは逆、という。まぁ、実際音像は結構違いますが、面白いなぁと思いました。こちらはプログレ色が強すぎるのかもしれませんね、耳に残るというか主張が強い。クリエイターのエゴが強く出る音楽は個性によって好き嫌いが分かれますね。耽美的なところもある曲です。
10.Pinnacle Point / Weight Of The World
Deep PurpleのHighway Starを彷彿させる始まり方。ブルージーで疾走するハードロックからのメロハー的なサビに展開する曲。これもいろいろな要素が詰まっていてプログレ的ですね。アメリカンプログレハード。Deep Purpleの新曲は二人とも気に入ってくれましたがこちらは好みが分かれ、音ゲー好き女性はNG。メロディー展開の好みが違うのかもしれません。
以上、10曲でした。テクニカルで疾走感のある曲を好みつつ、90年代オールドスクールマナーの曲は比較的好んでくれることが分かりました。逆に、Bring Me The HorizonやPoppyなど「90年代にはなかった音」はNGでした。90年代にメタルを聴いていればジャーマン、パワー、スラッシュ、プログレメタルなどは一通り通っていると思うので、しばらくメタルから離れていた方に再度2000年代以降のメタルを聞いてもらうにも良いプレイリストかもしれません。ただ、一つ不思議なのはTESTAMENTがダメだったんですよね。人の音楽の好みはパーソナルなのでそうそう分かった気になってはいけませんね。好き嫌いを素直に受け止め、互いの好みを受け入れましょう。
最後に、前回の音ゲー女性と今回のTM好き男性が「二人とも好き」と言ったプレイリストをお届けしましょう。16曲あります。一部はそれぞれのプレイリストと重なっています。
ちなみに、「二人ともダメ」だったのはラップメタル、ドゥームメタル、メロデス、越境メタル(の中の非西洋)系ですね。越境メタルは個人的に好みなのでもっとリスナーが増えてほしいものです。
以上、今回の10曲(+16曲)でした。世にメタラーの増えんことを。
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